Project/Area Number |
23K18635
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武本 宗一郎 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (40978699)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 論義 / 天台宗 / 法相宗 / 教判論 / 最澄・徳一論争 / 三時教判 / 提謂波利経 / 三講 |
Outline of Research at the Start |
周知のように、「論義」による教学研鑽は日本仏教の特色の一つである。とりわけ、天皇家が主催する格式高い論義法会への出仕が僧官としての出世に直結してくる中世において、「論義」の重要度は極めて大きい。 現在の論義研究は、その実態解明の途上にあり、天台宗の論義は天台教学史上に、法相宗の論義は法相教学史上に位置づけられ、別個に検討されている。このように宗派別に行われる論義研究に対して、本研究では、論義における中世天台・法相宗間の教理交流の解明することで、日本中世の仏教学研究に宗派間の「教学交流」という視点を提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は論義を視座として、中世天台・法相宗間の教理交流の解明を目的としている。 「論義」とは、主に教学研鑽を目的として、仏教の教義を口述の問答形式で究明する場である。周知のように、論義は日本仏教の特色の一つであるが、とりわけ、天皇家主催の格式高い論義法会への出仕が僧官としての出世に直結してくる中世において、論義に関する検討はより重要度を増す。従来、天台・法相宗間の思想的対立は、立脚点が根本的に相違し、議論が平行線を辿ることから、しばしば「空虚な水掛け論」と見做されてきた。しかし、両宗派の教理交流が皆無であった訳ではない。両宗の論義資料を注意深く読解すると、その議論には思想的連関を看取できる。本研究では、古代の天台・法相宗間で問題となった論点について、中世天台・法相宗の論義資料の議論と比較・分析を行うことで、両宗派における教理交流史を描出する。 2023年度は、教判に関する議論を中心に学究を進めた。「教判」とは、経典を形式・内容・順序・教義といった各側面から、分類・体系化した宗派ごとの歴史観である。法相宗の教判である「三時教判」が「初・昔・今」(年月)の三時か、「有・空・中」(義類)の三時かという問題に関して、最澄・徳一論争を起点とした、中世天台・法相宗間の教学に双方向的な影響関係を跡付けた。この研究成果を『天台学報』第65号に投稿し、日本印度学仏教学会第74回学術大会においても口頭発表(オンライン)した。また、『提謂経』の天台教判論上の位置づけについて、中世天台宗の論義では、諸解釈を決着させるために、最澄・徳一論争の議論や中国宋代の天台僧の釈義が尊重されていくことを論じた。その研究成果を『日本仏教綜合研究』第21号に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、天台・法相宗の教判に関する教理交流の解明が進み、成果の発表を行うことができた。 天台宗の五時教判と法相宗の三時教判に関する論義内容を分析し、平安時代初期から鎌倉時代までの関連議論を宗派横断的に検討したことで、天台・法相宗以外にも、新たに華厳宗や三論宗といった学派の立場からの教理交流も把捉することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023度は、主に教判に関する研究を進めた。2024年度は、仏身論について研究を進める。「仏身論」は、仏がどのような身体を有しているかに関する教理上の論点である。最澄撰『守護国界章』に見られる最澄と徳一の報身常無常論について、その思想的淵源と、後代の論義への影響を精査し、この研究成果を論文化する。
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