Project/Area Number |
23K18636
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
須藤 龍真 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (70978874)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ニヤーヤ学派 / 議論学 / Argumentation / 法典 / ジャイナ教 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、議論従事者の資質・行為や議論の構築方法への言及がみられる新ニヤーヤ学派、ジャイナ教、法典等のサンスクリット文献の分析を通し、中世インド議論学における議論構築の方法論を解明する。仏教の影響力が減退する後11世紀以降の文献に詳述される議論学の実践的様相を思想史上に位置づける本研究を通して、「討論術から論理学へ」という発展史観では捉えきれないインド思想のプラグマティックな側面を提示する。具体的には、【A】新ニヤーヤ学派の議論学説の解明、【B】ジャイナ教議論学史の構築、【C】哲学文献と法典の比較研究という相関的研究の方向性を基礎づけ、成熟期の中世インド議論学史の展開を追う足がかりとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、議論従事者の資質・行為や議論の構築方法への言及がみられるサンスクリット文献の分析を通して、【A】新ニヤーヤ学派の議論学説の解明、【B】ジャイナ教議論学史の構築、【C】哲学文献と法典の比較研究という相関的研究の方向性を基礎づけ、中世インド議論学における議論構築の方法論を解明することを目的とする。本年度は以下の通り研究を実施した。 【A】ヴァラダラージャ著『タールキカラクシャー』が、新ニヤーヤ議論学説の基盤となったウダヤナの分散的な見解を体系的に整理しており、かつその理解がインド議論学史の思想的発展段階を分析する際に有益であることを指摘した。また、その発展の到達点を示すシャンカラミシュラ著『ヴァーディヴィノーダ』において、哲学的議論の構築方法に関する詳細な分析がみられることを報告し、彼が先行する諸論師の見解を適切に踏まえた上で新たな視点を提示していることを明らかにした。また、バッタジャヤンタ著『ニヤーヤマンジャリー』の校訂・英訳作業を進めた。 【B】ジャイナ教議論学の全体像を把握する準備段階として、ハリバドラやアカランカにはじまりヤショーヴィジャヤに至るまでのジャイナ教諸論師による議論形態分類・勝敗定義に関する解釈を抽出し、ジャイナ教議論学史研究の狙いを定めるとともに、アカランカの議論学説に独自性や影響力の高さが認められることを指摘した。 【C】哲学文献とダルマ文献にみられる「裁定者」を示す術語の変遷を追うことで、哲学的議論と司法の場における裁定者を巡る概念史を示した。特に、prAznikaやsabhA関連語の多用傾向が「裁定者」概念の展開を示す一つの指標となる可能性を指摘した。 以上の研究成果は国内外の学会における口頭発表及び学術雑誌への投稿という形で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ニヤーヤ、ジャイナ、法典関係の文献読解を各種研究会の主催・参加を通して実施できている。そのうえで、思想研究についても、個別の研究目的に則って着実に成果を発表し、研究計画を進めることができている。2024年1-3月にはパリマル・パティル教授(ハーバード大学)のもとで『ニヤーヤマンジャリー』議論学章の英訳に着手し、以後、校訂テキストの最終確認も兼ねて定期的にオンラインでの研究会を継続している。2024年3月には、ニヤーヤ学派やヴェーダーンタ学派の議論学関連文献を中心として、タミルナードゥ州(インド)での写本調査を実施し、複数の写本データを入手できた。また、4th WORLD CONGRESS ON LOGIC AND RELIGIONにおける報告などを通して、国内外の幅広い分野での研究ネットワーク拡大にも精力的に取り組んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、ニヤーヤ学派、ジャイナ教を中心とした議論学関連文献およびダルマ文献の読解を行う。『ニヤーヤマンジャリー』「議論学章」の英訳作成についても現在のペースを維持し、年度内に半分以上を完了させたい。また、次年度の具体的な研究内容としては主として以下のものを予定している。【A】シュリーハルシャやヴェーダーンタデーシカなどのヴェーダーンタ学派の諸論師によるニヤーヤ議論学説の受容・非受容とその批判の検討、【B】前年度に完了できなかったヴァーディデーヴァスーリ著『プラマーナナヤタットヴァアーローカ』後半部の和訳の発表と内容分析、【C】哲学文献における議論形態分類などの法典綱要書における言及箇所の抽出・整理。なお、当初の研究計画の変更は現在のところ予定していない。
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