Project/Area Number |
23K18661
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
久保 博雅 四国大学, 文学部, 助教 (30975975)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 方言 / 瀬戸内海 / 対人的モダリティ / 文末音調 / 記述的研究 / 日本語学 / 文法 |
Outline of Research at the Start |
瀬戸内海域諸方言における対人的モダリティ形式を調査し、その意味・機能や使用場面を記述するとともに、方言間で対照し当該地域における対人的モダリティの異同を明らかにする。加えて、本研究では形式だけでなく文末音調についても詳しく取り扱う。各方言における対人的モダリティに関わる動詞の活用形や終助詞に伴う文末音調について、音調の違いによる意味や機能の変化、文末音調の通方言性を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、瀬戸内海域を中心とした西日本諸方言における対人的モダリティについて、そのモダリティ形式が有する意味と語用論的な機能を音調の観点を含めて記述・分析し、方言間で対照研究を行うことで、モダリティ形式の方言間の意味・用法の異同を見出すとともに、文末音調の通方言性を明らかにすることである。対象を瀬戸内海地域の方言とすることで、共通する文法形式の方言差と、異なるアクセント間での文末音調の振る舞いの記述が可能となる。当初の予定では、方言区画を考慮した上で、近畿方言、中国方言、四国方言、豊日方言を研究対象の地域と設定している。 2023年度は3月22日~24日に広島県尾道市(中国方言(備後方言))にて4名の話者を対象にフィールドワークを行った。当該地域では主に命令表現と疑問表現に関する調査を行い、特に「勧め」の場面で用いられる形式「ケー」について、様々な場面においての使用の可不可について調査を進めた。当該形式は、原因・理由の接続助詞「ケン」(地域によってケー、キンなど)を由来に持つ表現と考えられ、愛媛県とその周辺地域に見られる。地域によって用いられる場面や有する発話機能が異なるため、当該地域では特にフォーカスを当てて調査に臨んだが、個人差や市内での地域差もあり、現時点でまとめるに至っていない。 また、本研究課題の調査研究の前段階として、方言の基礎的な情報収集を行うため愛媛県旧三崎町与侈集落にてフィールドワークを行ったほか、他大学との研究者との情報交換のために愛媛大学、広島大学を訪れた。 本来であれば瀬戸内海沿岸の複数地点でフィールドワークを行い、データ収集を行う予定であったが、2023年度の調査は1地点のみで大きく遅れており、それに伴って論文や学会発表などの成果報告はかなっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の研究対象は瀬戸内海諸地域の方言であり、具体的には方言区画を考慮し近畿方言、中国方言、四国方言、豊日方言を研究対象の地域と設定している。また、各方言区画内でも複数の地点を想定しており、各地点におけるモダリティ形式が有する意味と語用論的な機能を音調の観点を含めて記述・分析することを想定していた。しかしながら2023年度は、調査地点は実際に調査研究が行えた地点は広島県尾道市の1地点のみとなり、大幅に研究の進行が遅れている。 理由として、申請者のメンタルヘルスの不調が挙げられる。そのため、健康的に研究を遂行できる状況でなくなった時期があり、当初の計画通りのフィールドワークが行えなくなってしまった。 現在は投薬を始めとした治療を行っており、通院を重ねる中で回復傾向にあるため、2024年度は本格的に調査を行える見込みである。前期~夏季休業期間の間に積極的にフィールドワークを行うことで遅れを取り戻したい。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定では、長期休業期間中にまとめて調査を行うことを予定していたが、2023年度は申請者のメンタルヘルスの不調のため、調査の遂行が大幅に遅れた。したがって、2024年度は長期休業期間にとらわれず、前期授業期間でも土日を活用させながら調査の遅れを取り戻したい。具体的には次のように進める。 6月:大阪府大阪市、兵庫県神戸市(摂津方言)、赤穂市(播磨方言)、徳島県鳴門市(下郡方言)/7月:愛媛県新居浜市(東予方言)、松山市(中予方言)、八幡浜市(宇和方言)、伊方町(宇和方言)、香川県観音寺市(西讃方言)/8月~9月:岡山県岡山市(備前方言)、笠岡市(備中南部方言)、広島県広島市、呉市(安芸方言)、山口県周南市(周防方言)、福岡県北九州市(豊日方言)、大分県国東市(東部方言A)、香川県高松市、東かがわ市(東讃方言)、丸亀市(中讃方言) 当初の予定ではより細かい方言区画のもと、50地点程度を想定していたが、現実的な進行状況を鑑み、上記のように設定する。 10月以降は調査結果をまとめ、報告書の作成を行う。
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