Project/Area Number |
23K18664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | National Institute of Technology(KOSEN),Numazu College |
Principal Investigator |
長谷川 豊輝 沼津工業高等専門学校, 教養科, 助教 (50980710)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 上代文学 / 日本文学 / 古代文学 / 風土記 / 日本文学一般 |
Outline of Research at the Start |
奈良時代において、朝廷が地方をどのように統治していったのかについては多くの謎が残されている。この謎を解くためには、朝廷からの命を受けて各国の国司が記述・編集した報告書である風土記の分析が不可欠である。 本研究計画は『豊後国風土記』(現大分県)及び『肥前国風土記』(現佐賀県・長崎県)を分析対象として、『日本書紀』との比較を行うことで、朝廷が示した歴史に対して地方がどのように自らを位置づけたのかを明らかにすることを目的とする。九州地方統治のメカニズムを一つのモデルとして提示し、奈良時代の政治のシステムを文献の解釈手法により明らかにすることで、文学・歴史学分野へ貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は奈良時代に成立した地方誌である『豊後国風土記』(現大分県を主な対象とする)及び『肥前国風土記』(同佐賀県・長崎県)を分析対象として、次に挙げる二点について明らかにするものである。目的①:九州で編集された2つの風土記の類似と差異及び歴史を明らかにする。目的②:地方が示す歴史と朝廷の示す歴史の関係性を明らかにする。 目的①~②の達成のために、2023年度は『豊後国風土記』『肥前国風土記』における地方の記し方の差異について明らかにすることを目指した。具体的には、それぞれの風土記の序文(総記)の差異を比較分析することで、地方の歴史の始まりとして設定された天皇が異なっている意味を明らかにすること、それぞれの天皇の地方巡行の記され方の差異について会話文を中心に分析し、地方へのアプローチが異なっていることを明らかにすることを目指し、論文執筆・研究発表を行った。また、他の風土記における会話文の分析も行った。 【論文(※応募時投稿済み)】「「美麗」しき狭手彦――『肥前国風土記』松浦郡/鏡渡・褶振峰における狭手彦の位置付けについて」『日本文学』72(8)(日本文学協会・2023)、「『肥前国風土記』佐嘉郡における賢女地名起源譚の意義――土蜘蛛を指す呼称「二女子」「婦」「賢女」を中心に――」『風土記研究』45(風土記研究会・2023)。 【研究発表(※採択前に発表済み・現在論文執筆中)】「『肥前国風土記』総記考――始発たる景行――」(古代文学会1月例会・2023)、「『豊後国風土記』『肥前国風土記』における天皇の会話叙述の類似と差異について」(古事記学会令和5年度研究発表会・2023)。 【研究発表】「『豊後国風土記』『肥前国風土記』の「言語」観」(古代文学会11月例会・2023)、「『常陸国風土記』筑波郡考――福慈の語りと筑波の語り――」(富士学会2023年度秋季学術大会・2023)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募時投稿済みのもので採択後に刊行された論文が2本、採択前に発表済みのもので論文執筆中の研究発表が2本、研究発表が2本である。したがって、進捗状況としてはおおむね順調に進展しているといえよう。なお、2023年度は研究発表・論文執筆に必要となる書籍の購入やデータベースの利用など研究環境の利便化・充実に努めた。加えて国文学研究資料館や他大学の図書館及び諸学会への参加を通じて、論文の収集・研究状況の把握に努めた。以上の成果をいかし、最終年度である2024年度は本研究課題の成果を活字化(論文化)していく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度である2024年度は、前年度(2023年度)明らかにした、地方が示す歴史について『日本書紀』との比較を行い、朝廷(中央)の歴史との関係性を明らかにする。具体的には、地の文を重ねていく『日本書紀』に対して会話文により地方の状況を示す風土記の在り方を明らかにする。以上を統合して、朝廷は地方を統括してどのような歴史を志向していたのか解明する。なお、本報告書提出時(2024年5月31日)現在、新たに2本の学会発表が決定している。これらは、日本学術振興会科学研究費助成事業若手研究に採択された研究課題「九州の風土記と正史・漢籍の比較分析による地方統治システムの解明」(24k15992)の成果として計上予定であるが、本研究課題にも関連するため本報告書に記載する。なお、本研究課題としては2023年度に行った発表4本の活字化(論文化)を目標とする。 【研究発表】「『日本書紀』八番歌考――「御謡」としての来目歌――」(美夫君志会 令和六年度研究発表会・2024)、「天皇の「御謡」――『日本書紀』『古事記』における「同一歌」の利用態度について(仮題)」(二松学舎大学人文学会研究発表会・2024)。
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