Project/Area Number |
23K18688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石川 まりあ 立命館大学, 文学部, 准教授 (20979413)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | The unknowable / the 19th-century US / literary genres / Asian American studies / Black studies / intellectual history / 不可知 / 19世紀アメリカ文学 / 認識論 / 文学ジャンル / 人種(主義) |
Outline of Research at the Start |
19世紀アメリカにおける「不可知(the unknowable)」の表象に着目し、知の限界をめぐる文学的想像力と知識史との接点を明らかにする。科学発展にともなう知識拡大の陰で、一部の著述家や思想家らはむしろ「知りえない領域」の意義や構造を究明した。とくに社会の周縁に置かれた黒人やアジア系、先住民作家らにとって、「不可知」は、白人至上の知的活動から疎外された自らを理解し表現するための政治的主題でもあった。本研究は、小説、スレイブナラティブ、アフォリズムなど広い文学ジャンルを分析し、従来見過ごされがちなBIPOC (Black, Indigenous, and People of Color) 作家による哲学的探究を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究一年目である本年度は、①資料の収集と検討、②議論の枠組み作り、③国内外の研究コミュニティとの連携、を三つの柱とした。長期目標は、博士論文で行った研究を発展的に拡大し、最終的に海外の大学出版社から研究書として発表することであり、本課題はその基礎固めである。 このため、まず近年のアメリカ研究分野での議論を踏まえ、「不可知」を考える本研究の枠組みを模索・確立することを目指した。さしあたっては、先行研究を広く検討し、19世紀文学研究と思想史、ブラック・スタディーズ、アジア系アメリカ研究など隣接分野を見渡し、論点を整理することに専念した。 いっぽうで、一次資料の発掘と収集にも努めた。海外では、Boston College、Harvard University Archives、Massachusetts Historical Society、University of Massachusetts Amherstを拠点に、19世紀の天文学・似非「人種科学」・秘密結社など、さまざまな「謎」をめぐるディスコースの現れ方を調査し、当時の手稿や印刷物を閲覧・収集した。 また、19世紀アメリカ研究分野の国際学会C19: The Society of Nineteenth-Century Americanistにて、初期中国系アメリカ文学におけるアフォリズムと「アジア人=不可解な他者」の人種的クリシェとの摩擦について口頭発表し、活発な議論を行った。さらに国内では、日本アメリカ文学会全国大会や所属する立命館大学のヴァナキュラー文化研究会に参加することで、文化や思想の様相について新たな知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理想をいえば論文執筆などアウトプットにより時間を割きたかったが、本研究課題の基礎作りを目標とした一年目の研究活動としては、おおむね満足できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題の二年目は、①資料の収集と検討、②議論の枠組み確立、③原稿執筆、④国内外の研究コミュニティとの連携、という四つの柱で進めたい。まずは、現在準備中の初期アジア系アメリカ文学を扱った論文を投稿し、書籍のプロポーザルも同時進行で執筆する。7月の日本エミリ・ディキンスン学会では、「ディキンスンと環境」を扱うパネルのメンバーとして研究発表を予定している。また今年度も海外での資料調査を行い、アメリカ東海岸および西海岸の資料館・図書館を拠点に、19世紀の手稿や写真など現地でしか利用できない一次資料を閲覧・複写する。
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