Project/Area Number |
23K18694
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0102:Literature, linguistics, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片倉 峻平 東北大学, 学術資源研究公開センター, 特任講師 (60976190)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | デジタルアーカイブ / 人文情報学 / 上古中国語 / テキストデータ / 出土資料 / 郭店楚簡 / 用字避複 / TEI / 中国出土資料 / 古漢字 |
Outline of Research at the Start |
本研究では上古中国語の「用字避複」(一定範囲内に同一文字が重複した際に意識的に字形を差異化する現象)について考究する。主に戦国時代の出土資料を対象に、適切なテキストデータを作成した上でコンピュータを利用して調査対象箇所を抽出する網羅的な定量調査を進めることで、用字避複現象の体系的な説明を見出す。出土資料は「後世の手が加わっておらず特定地域から出土した」という特徴を持つため、時代・地域を限定した考察が可能となる。時代性・地域性の異なる資料の調査結果を対照することで、用字避複現象発生の要因を探る。 またコンピュータ利用のために作成した各種データは、データベースやデジタルアーカイブとして公開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「包山楚簡」「郭店楚簡」を中心に用字避複調査を行った。それぞれの楚簡のテキストデータを作成してコンピュータで一定範囲内の重複を抽出し、各重複を目視で確認することで、避複現象の様相を探った。包山楚簡の調査結果は「日本中国語学会 第73回全国大会」にて発表し、郭店楚簡の調査結果は「令和5年度第7回 文化財情報資料部研究会」で発表した。包山楚簡では「簡」を単位とする範囲及び「篇」を単位とする範囲の二種を設定して調査を進め、先行研究の提示する仮説のいくつかについて検討を行うことで、それぞれの仮説の妥当性を再確認することが出来た。また郭店楚簡では新たな調査方法として、重複とみなす範囲を「前後n文字以内」と設定した上でn部分を可変させ、避複の出現率がどのように変化するかという検証を試みた。その結果、郭店楚簡では文字間隔が離れるほど避複が増加するという傾向にあることが判明した。あわせて、次の調査に向けた準備として「睡虎地秦簡」のテキストデータの作成も進めた。 一方で、コンピュータを用いた今後の避複調査に向けて知見を深めるため、人文情報学分野の各コミュニティにも積極的な参画に努めた。TEIマークアップにまつわる研究会で行った共同作業の成果は、共著者として『じんもんこん2023論文集』に掲載された。文部科学省の推進する「文化財の匠プロジェクト」での作業報告は、共著者として『月刊文化財』722号に掲載された。またアウトリーチ活動として『人文情報学月報』149号にも寄稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「包山楚簡」「郭店楚簡」の調査は一定の成果として報告することが出来ており、計画の中で残るは「睡虎地秦簡」「侯馬盟書」「銀雀山漢簡」の調査である。これまでの調査から、調査方法の厳密化や調査結果の適切な分析方法についての知見は蓄積されてきているため、今後の調査はより円滑に進むと想定している。 本研究課題の達成に必要な人文情報学に関する成果も、論文や研究発表として公表することが出来ており、ここで獲得した知見は今後の調査への援用が期待出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは本年度に行った「包山楚簡」「郭店楚簡」の調査結果を論文にまとめて投稿する。次いで「睡虎地秦簡」「侯馬盟書」「銀雀山漢簡」のテキストデータを作成した上で避複調査を進める。作成したテキストデータはリポジトリに登録し、デジタルアーカイブ上での公開を目指す。
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