Project/Area Number |
23K18729
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0104:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相田 豊 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (40986171)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 人類学 / アンデス地域研究 / ポスト関係論 / 精霊 / 流通業従事者 / 能力 / アンデス / アマゾン / ひとりでいる能力 / コンパニオン・オブジェクト |
Outline of Research at the Start |
本研究は、南米ボリビアにおいて「ひとりでいられる能力」がどのように社会的に位置づけられ、その能力がどのように獲得されているのかを、通常単独で行われる、アンデス地域とアマゾン地域の間を行き来する異なる気候帯への移動実践を事例に、文化人類学のポスト関係論的視点から考察しようとするものである。本研究の遂行に当たっては、とりわけウィニコットの諸理論を参照することとし、事例研究での検討を通じて、それら理論の文化人類学における位置づけを探ることとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、もともとフィールドワークを実施する予定だったが、現地の調査協力者の体調の悪化の影響を受けたため、これを延期し、これまでに研究者が収集したデータの整理と分析に時間を当てることとした。研究補助者の助力を得つつ、これまでの現地の聞き取りインタビューなどの研究資料の整理や翻訳を集中的に実施することができた。その結果、アンデスにおける移動の問題について、①カリカリやセイレーンのように、場所に根ざした精霊的な存在の介在が多く関わっていること、②「流通業従事者(トランスポルティスタ transportista、あるいはバストラック運転者)」には、独自の職業倫理や、職業上のアイデンティティー、語りの型が存在していることを見出すことができた。こうした成果については、アンデス地域研究においても重要な意義を持つものと考えられる。また、本研究の理論的支柱といえるウィニコットの理論について、人類学や哲学・思想・表象文化などの研究者で構成される研究会を複数回にわたり実施し、有意義な成果を得ることができた。とりわけ、ウィニコットの議論をフロイトやクラインなどと比較しつつ検討する中で、ウィニコットが子どもの発達上に起きる問題を、単なる「病理」ではなく、様々な能力の実現の過程として捉えていたことは注目に値するこということが確認できた。このような議論の中で、「能力」とその実現という概念の有用性を発見できたことにも大いに意義があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究協力者の体調の問題で、フィールドワークが実施できず、計画の順番の変更を余儀なくされたものの、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでの資料整理や理論に関する研究会を継続して実施しつつ、フィールドワークについても進めていきたい。とりわけ、19世紀末から1980年代ごろまで、ラパス市を出入りするアンデス=アマゾン間の停泊所としての役割を果たしてきたラパス市のガリータ・デ・リマ(Garita de Lima)広場で集中的な調査を実施する予定で、すでに調査協力者を選定している。そこでは、旅の際によく持参される伝統楽器の製作や販売が行われていることでも知られている。本研究ではこの広場周辺に店(多くは露店)を構える楽器製作者に対して聞き取りを行い、アンデス=アマゾン間の移動の様子や、そこにおけるコンパニオン・オブジェクトとしての楽器の役割について調査を行う。
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