Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
奈良県明日香村一帯に広がる飛鳥地域には、古代の遺跡と一体となった古都の農村景観が広がる。「日本の原風景」として讃えられるこの地域では、歴史的風土の審美的・考古学的な保全を目的に、農地や山林が収公されては管理の担い手を失い、景観の荒廃が進んでいる。この問題に対し、本研究では文化的景観の概念と博物館の機能を基軸に、動態的な景観保全の指針となるべき地域特性の再構築を試みる。現代飛鳥地域における景観と風景認識の変遷を踏まえ、必ずしも「古都」や「歴史的風土」に収斂されない飛鳥の地域特性を抽出し、博物館を拠点として成果を広く発信する。この試みは、地理学からの景観保全への関わり方を提示するものでもある。