Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
武力行使禁止原則の二元的理解とは、同原則を国家対国家的視座と人間的視座の両者から理解するという独自の理論枠組である。国家は現在の政治秩序における決定的な単位であり、特に武力行使は国家対国家的性格の強い分野である。本研究の対象である自衛権は、武力行使禁止原則の例外であり、「国家に固有の権利」(国連憲章第51条)といわれるように、それ自体として価値を認められる国家が有する権利であるとされてきた。本研究では、一見人間的利益とは対極にあるようにみえる自衛権を論ずることで、武力行使禁止原則ひいては国際法全体に人間的視座(国籍に関わらず人間の利益・価値に着目する視点)がいかに浸透しているかを探究する。