Project/Area Number |
23K18764
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0106:Political science and related fields
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石山 将仁 早稲田大学, 政治経済学術院, 助手 (20979356)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 自律 / リベラリズム / ロールズ |
Outline of Research at the Start |
自らの生き方(=善の構想)や、法とそれを支える(正義)原理を、他者から強要 されることなく自らの意志で決めることは、自由民主主義社会において追求されてきた理想の一つである。こうした自己統治という理想は「自律(autonomy)」と呼ばれてきた。自律は単なる自己決定を意味するのではなく、自らの善の構想の捉え直しや、現行の法や私た ちが考える正義原理に不備がないかの吟味という側面があり、批判的反省と不可分である。こうした自律の批判的反省を促進することは、この社会の不正義を問うことに結びついており、それが社会の安定性へと繋がり得ることを本研究は(政治哲学的に)明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、〈批判的反省としての自律〉の増大は社会の安定を導き得るゆえに、市民の自律の制度的保障(〈特定集団から離脱する権利〉の積極的保護と〈他者の背景の認知〉の機会の促進)を志向するリベラリズムを哲学的に正当化することを目的としている。 そのために2023年度は以下の研究を行った。第一に、ジョン・ロールズのリベラリズムないし正義論における市民の批判的反省に焦点を当てて研究を行った。ロールズの反照的均衡とは市民の〈熟考した判断〉と一定の手続きによって導出された正義原理を互いに照らし合わせ、その妥当性を検討するものである。すなわち、市民は自らの〈熟考した判断〉に基づいて、正義原理の妥当性を検討するだけではなく、正義原理によって自らの判断を批判的に反省することになる。こうしたロールズのモデルの瑕疵について検討を行った。この成果は2024年度に査読誌に投稿予定である。 第二に、人格的自律の批判的反省について焦点を当てて研究を行った。行為者が自律的であると言い得るための規準は何かという論争をサーヴェイした。特定の行為や選好に対して直接的な規範的制約を課す立場も、そうではない立場もそれぞれ問題を抱えている。そうではなく、自身の行為や選好に対する肯定的な感情を規準に据える立場が一番有望である。その立場の問題点を指摘しつつ、他者の背景による批判的反省のモデルの提示を試みた。この成果は第31回 政治思想学会研究大会 (於 国際基督教大学、2024年5月26日 )で報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では1年目に〈批判的反省としての自律〉それ自体についての研究を行い、2年目にその制度的保障について研究を行う予定であった。この計画の通り、1年目の研究が進んだので、おおむね順調に進展していると言える。その成果を2023年度内に出せるのが最善であったが、2024年度5月に学会報告を行う。報告原稿は5月頭に学会に提出しており、おおむね順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、2年目の研究(今後の研究)では、これまでに明らかにした〈批判的反省としての自律〉自体を、どのように制度的保障を行うかについて検討する。J.ロールズの基本財やM.ヌスバウムのケイパビリティについて批判的に検討していく予定である。研究計画の変更はない。
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