Project/Area Number |
23K18777
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0107:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
篠崎 弘毅 一橋大学, 社会科学高等研究院, 特任講師 (00979338)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | オークション / 効率性 / 耐戦略性 / 個数制約(スペクトラムキャップ) / 周波数オークション |
Outline of Research at the Start |
周波数オークションのように落札額が高騰するオークションでは、所得効果は無視できない。実際のオークションでは一部の入札者が財を独占することを防止するため落札できる財の個数に制約(個数制約)が課されることがあるものの、従来の研究は個数制約を無視してきた。本研究は個数制約と所得効果の両方を考慮したうえで、効率性や耐戦略性などの望ましい性質を満たすオークションルールの制度設計を分析する。 2023年9月現在、日本の5G向け周波数オークションの制度設計が議論されている最中であるが、本研究はオークション理論の観点から制度設計を検討する際の指針となることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は配分制約が存在する環境で、望ましい性質を満たすオークションメカニズムの設計可能性を分析する。本研究では特に同質の財が複数個存在するモデルを考察し、また配分制約として個数制約(獲得できる財の個数の上限、下限が各入札者に与えられるような配分制約)を考察する。応用例としてはフランスやスペインなど欧米諸国の5G向け周波数オークションが挙げられる。令和5年度は望ましい性質を満たすオークションメカニズムが存在するための個数制約についての必要十分条件を導出し、またその個数制約のもとで望ましい性質を満たすオークションメカニズムを特定した。 具体的には、まず(貨幣に対する財の)限界代替率が逓減であるという仮定のもとで分析を行った。この仮定は規模に対する収穫が逓減する場合に対応している。分析の結果として、望ましいオークションメカニズムが存在するのは1人の入札者を除いてすべての入札者の上限と下限の差が1であるという個数制約(独占制約)のとき、そしてそのときのみであることを示した。また独占制約のもとで、望ましい性質を満たすオークションメカニズムは一般化ヴィックリーオークションのみであることを示した。 次に、限界代替率が逓増である、つまり規模に対する収穫が逓増するという仮定のもとで分析を行った。結果として、望ましいオークションメカニズムが存在するのは各入札の上限と下限の差が一致し、かつそれが財の個数に比例的であるという個数制約(比例制約)のとき、そしてそのときのみであることを示した。さらに、比例制約のもとで望ましい性質を満たすオークションメカニズムは一般化ヴィックリーオークションのみであることを示した。 また、得られた結果の一部を京都大学・早稲田大学主催のワークショップthe 7th Spain-Japan Meeting on Economic Theoryで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、貨幣に対する財の限界代替率が逓増、または逓減の場合に望ましい性質を満たすオークションメカニズムが存在するための個数制約についての必要十分条件を特定し、またその条件のもとで望ましい性質を満たすオークションメカニズムを特定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、まず令和5年度に分析した内容を論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿することを目指す。さらに、令和5年度は貨幣の財に対する限界代替率が逓減、逓増の場合を分析したが、限界代替率が一定という仮定もしばしばなされるものである。そこで、令和6年度は限界代替率が一定の場合にどのような個数制約のもとで望ましい性質を満たすオークションメカニズムが存在し、そしてどのようなオークションメカニズムが望ましい性質を満たすのかを特定することを目指す。
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