Project/Area Number |
23K18801
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0107:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
李 晨 京都大学, 経済学研究科, 特定助教 (40984985)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 情報設計 / 私的情報に対する頑健性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ゲームにおける情報設計問題に焦点を当て、プレイヤーが情報設計者の知り得ない私的情報を持つ状況を許容する最適情報構造の分析を行う。本研究は一般的な分析の枠組みの提供を目的とし、情報設計者の問題を新たに定式化し、内生的に正当化できる頑健性の再定義を行う。こうした文脈に依存しない分析の枠組みを提供することにより、本研究は理論的新規性を保証し、情報設計問題の理論研究に大きく寄与することが期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は研究実施計画に記載した通り、情報の受け手が送り手に知られていない私的情報を持つ状況に着目し、最もシンプルなベイズ勧告の例を用いて、Esponda and Pouzo (2016)が提唱した考え方に基づく情報伝達ゲームのモデル構築を検討した。ゲームの流れは一般的な情報設計問題と同じである:情報の送り手が情報構造を選んだあとに、受け手が送り手からもらった情報と私的情報を考慮した上で自分にとっての最適行動をとる。しかし本研究では、客観的モデルの他に、プレイヤーたちがそれぞれ主観的モデルの集合を持つと仮定する。ここで、各主観的モデルはプレイヤーたちの効用に直接に影響するゲームの第2段階の結果への確率的予測である。情報の送り手の立場から見ると、主観的モデルは受け手の私的情報に関する不確実性への予測として解釈でき、受け手の立場から見ると、主観的モデルは送り手からもらう情報に関する不確実性への事前的予測として解釈できる。我々が興味を持つ均衡では情報の送り手と受け手のそれぞれの主観的モデル集合上の信念が存在し、均衡戦略がその信念のもとで最適戦略となり、加えてその信念は客観的モデルに最も近い主観的予測にしか正の確率を与えない。このような均衡は情報の送り手でも受け手でも逸脱しない意味で内的な頑健性を保証できるが、受け手が送り手の情報構造選択に関しても間接的に主観的予測を持つことの解釈とモデル化の仕方は困難であった。 上記理論モデルの構築を検討したほか、今年度は引き続き関連研究の情報収集を行い、重要な先行研究を改めてレビューし、各手法の類似点と違いを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要で述べた通り、Esponda and Pouzo (2016)が提唱した均衡概念を最小限に修正して適用する場合には、情報の受け手が送り手の戦略、すなわち情報構造選択に関しても間接的に主観的予測を持つ必要がある。しかし、情報設計問題は逐次手番ゲームであり、受け手が戦略を選ぶ前に送り手が送った情報を観察できるため、送り手の情報構造選択について主観的予測を形成する必要性を説明するのは困難だと思われる。また、Esponda and Pouzo (2016)が指摘した通り、プレイヤーたちの信念更新を明示的にモデルに記述する必要があるため、彼らのモデルを同時手番ゲームから逐次手番ゲームへ拡張する際の適切なアプローチは自明ではない。上記問題が解決できなかったため、今年度で完成する予定のモデル構築は成功しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に完成させる予定のベイズ勧告の例を用いるモデルの構築を引き続き検討する。具体的に、情報の受け手が送り手の戦略に関してまったく予測しないもしくは完璧に予測できるといった解釈しやすいケースを考察する。得られたモデルの一般化を検討し、予定通りに均衡概念に着眼する情報設計問題に関する先行研究との比較検討を行う。 また、当初の予定とは違うが、情報の送り手のみが受け手の私的情報に関してEsponda and Pouzo (2016)型の主観的モデルを形成する理論モデルを検討する価値も十分にある。送り手の主観的モデルは第2段階ゲームの結果への予測となるため、最適情報構造のもとでどういった結果が実現されるかを調べ、同じくゲームの結果に着目するBayes Correlated Equilibriumなどの概念との関連を精査する予定である。
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