Project/Area Number |
23K18830
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0108:Sociology and related fields
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
百瀬 由璃絵 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教 (80846121)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | Two-Body Problem / Dual-Career Couples / Work-Life Balance / Long-Distance Couple / International Marriage / Multiracial Families |
Outline of Research at the Start |
本研究では、二体問題(two-body problem)の実態と解決策を明らかにする。これは、自身と人生のパートナー(配偶者や恋人など)が相互に合理的な通勤・通学距離内で在職・在学することが難しいため、家族形成とキャリア両立を行う上でジレンマが生じる問題のことである。この議論の発端は米国であるが、日本ではこれまでほとんど研究がなされてこなかった。本研究の成果からは、共働きのパワーカップル(高学歴や高所得など)のワーク・ライフ・バランス、転勤や遠距離恋愛におけるカップルの生活設計など、現代社会における多様なカップルのライフスタイルに関わる問題の解決に繋がる知見が得られるだろう。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二体問題(two-body problem)の実態と解決策を明らかにするための萌芽的研究をおこなう。二体問題は、1999年にLaurie McNeilとMarc Sherがウェブ上で物理学の女性研究者にアンケート調査を行ったことで、明るみにでた問題である。McNeil & Sherは、「研究者同士のカップル(Dual-Career Academic Couples)」が同じ大学や、相互に合理的な通勤距離内で仕事を得ることが難しいことから、家族形成とキャリア両立を行う上でジレンマが生じることを「二体問題」として問題視した。学術界における研究者同士のカップルのキャリアアップには国際的な移動(international mobility)が必要であり、お互いがキャリアを追求するデュアルキャリアカップルには課題があるとされている。 当該年度においては、二体問題に関連した多様な夫婦や家族の問題についての文献整理や分析を進めてきた。その結果、二体問題は、研究者同士のカップルに注目したことから一部のカップルのみが抱える問題に見えるが、多くのカップルに該当する問題であることが考えられた。自身と人生のパートナー(配偶者や恋人など)が相互に合理的な通勤・通学距離内で在職・在学することが難しいため、家族形成とキャリア両立を行う上でジレンマが生じる問題であると言えるだろう。また、既婚者のみならず、転勤の可能性がある男女や遠距離恋愛中の男女にも生じるような問題でもある。そのことから、二体問題は、少子高齢化や女性活躍、男性育児に直結する社会政策的課題である可能性が高い。本研究を遂行していくことで、共働きのパワーカップル(高学歴や高所得など)のワーク・ライフ・バランス、転勤や遠距離恋愛、国際結婚におけるカップルの生活設計など、現代社会における多様なカップルのライフスタイルに関わる問題の解決に繋がる知見が得られるだろう。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本ではこれまでほとんど研究がなされてこなかった点から、図書館などに文献資料がほとんどなく、海外からの取り寄せ等に時間を有した。また、二体問題(two-body problem)は、当初の想定よりも共働きを望む多くのカップルが関係する問題であることが考えられた。そのため、既存研究との相違点をより広範囲から整理していく必要があり、当初よりも時間を有している。
|
Strategy for Future Research Activity |
第1に、米国や欧州諸国ではどのようなデータを用いて二体問題に関連した実証的研究をおこなってきたか、体系的にまとめる。このレビューを行う際に、二体問題がどのように位置付けられてきたのか/位置付けられてこなかったのかに関して、キャリア研究のみならず、転勤や国際結婚に関する研究も含めて考察する。 第2に、二体問題に関する実証的研究を模索する点にある。ここまでの整理の中で、家族形成とキャリア両立を行う上でジレンマに関して、転勤や国際結婚におけるカップルの研究はあるものの、それらの実証研究が少ないことが判明した。そのため、二体問題の根底に何があるのか、そのメカニズムを解明するために、まずは転勤や国際結婚におけるカップルが抱えている問題の実証研究を進め、二体問題との接点を考察する。
|