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恒常的な移動生活における移動要因としての共同性に関する観光社会学的研究

Research Project

Project/Area Number 23K18845
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section 0108:Sociology and related fields
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

鍋倉 咲希  立教大学, 観光学部, 助教 (50980207)

Project Period (FY) 2023-08-31 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Keywords移動生活 / 脱定住 / 地域社会 / 共同性 / 交流 / 観光 / 農業 / モビリティ
Outline of Research at the Start

本研究は、恒常的な移動生活を営む人びとが移動先で紡ぐ共同性のあり方を、その一時的性格に注目して明らかにするものである。計画として、農業や観光業に従事して各地を渡り歩く移動生活者とそれを受け入れる地域社会に対する聞き取り調査・参与観察を行い、個人の身体的移動とともに変容する関係性の生成・消失・維持のプロセスや形式を分析する。以上を通じて、定住生活/移動生活という人文・社会科学における既存の二分法を問い直し、両者の相互作用や摩擦を明らかにするとともに、移住や多拠点生活などの日常的な移動が広がる現代社会における遊動的生のありようを検討する。

Outline of Annual Research Achievements

本研究は農業や観光業に従事して各地を渡り歩く移動生活者とそれを受け入れる地域社会の接点に注目し、移動生活を営む人びとが移動先で紡ぐ共同性のあり方を、その一時的・流動的性格から検討するものである。2023年度は文献調査と予備調査に取り組んだ。主たる成果は以下の2点である。
(1) 既往研究の整理:現地調査の視点を明確化させるため、日本の農山村社会を出入りする人の移動(主に農業・観光業の臨時雇用)を扱った農業経営研究と村落社会研究を整理した。前者では柑橘産地におけるJA主導のアルバイト等に関する研究がみられるが、いずれも制度や参加者の実態把握を中心としており、さらなる議論の余地があることが分かった。同分野は農業アルバイト参加者を主に「労働力」という観点から捉えるために、労働と観光が入り混じる参加者の参加動機や具体的な生活経験等は明らかになっていない。また、村落社会研究でも、近年は農山村社会のあり方をめぐって「脱定住」「移動」の視点が導入され、U・J・Iターンなど、生活拠点をうつす移住に言及した研究が増えつつあるが、多拠点生活やアドレスホッパーなど、生活拠点をうつさない/あえて宙づりの状態にする生活の実践に関する検討は進んでいない。以上から、恒常的な移動生活者の生活実践を描き出すことを目指し、身体的移動にともなう共同性の変容を問う本研究の独自性が指摘できる。
(2) 現地調査:予備調査として和歌山県紀美野町を訪問し、地域おこし協力隊や移住者による活動への参与観察を行った。同町は2000年代以降、移住の先進地域として多様な人の出入りを受け入れてきたが、長期的な活動のなかで制度と現状とのずれによる種々の問題が生じている。調査を通じて、地域社会が移住者や一時的居住者と向き合う方法は時代・社会によって変化すること、また、そこで目指される共同性のあり方も相互交渉的であることが確認された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は文献調査と理論的視座の検討に力点を置いた。前述のとおり、前者については、先行研究の整理を通じて事例への理解を深めるとともに、そこで行われる議論の問題点を明らかにした。
後者については、これまでの研究成果を単著『止まり木としてのゲストハウス――モビリティと時限的つながりの社会学』(晃洋書房、2024年)として刊行し、本研究課題につながる理論的関心をまとめることができた。具体的には、現代社会における移動生活のあり方や、観光の場で行われる一時的・流動的コミュニケーションの社会的意味を検討し、「時限的つながり」という概念を導出した。「時限的つながり」は交通システムや情報通信技術の発展により、共同性やコミュニケーションが「とぎれる」可能性に注目する視座である。本研究課題もまた、こうした問題関心の延長線上にあり、人びとが恒常的な移動生活のなかでいかに他者と関係を取り結んだり、休んだり、清算したりするのかを明らかにしようと試みるものである。今後は以上の理論的関心をさらに深め、現代日本における遊動的生のありようを検討したい。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究では、2023年度の成果をもとに現地調査に取り組む。また、村落社会研究やモビリティ研究等の文献調査を続け、データの整理・分析を行う。具体的には以下の作業を進める。
(1) 現地調査:愛媛県や和歌山県における農業アルバイトについて、地域の行政・JAの担当者に対する聞き取りを行い、制度運用の困難や利点、移動生活者と地域住民との関係性の作り方等を明らかにする。また、2024年9月や11~12月には農業労働の場において参与観察を行い、アルバイト参加者と生活をともにしながら、彼/彼女らのライフスタイルや生活基盤、参加動機等について聞き取りを重ねる。
(2) 文献調査:引き続き、農業経営研究や村落社会研究の先行研究を渉猟する。これまでの調査から、今日の臨時雇用のあり方は出稼ぎ/季節労働の歴史のなかで把握する必要があることが分かった。したがって、同トピックに関連する研究を収集し、社会状況の変化や制度の変容を明らかにしたい。また、通時的視点だけでなく、他国との比較を行うことで事例の特性を検討する。具体的には、ワーキングホリデーやファーム・ツーリズムなど、労働と観光が混在した生活のあり方に関する海外文献を整理し、日本国内の事例との共通点・相違点を探る。
(3) 研究成果の発表:以上の2点を統合し、移動生活における流動的な生活の実態とそこでの共同性のあり方を検討する。研究成果は観光学術学会や日本社会学会などにおいて発表と論文投稿を行うとともに、研究協力者に対するアウトリーチの場を設ける。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Book (2 results)

  • [Journal Article] 野外飲酒とはいかなる飲み方なのか?――池袋西口公園における考現学的調査を通じて2023

    • Author(s)
      関駿平・庄子諒・佐藤裕介・鍋倉咲希
    • Journal Title

      生活学論叢

      Volume: 43号 Pages: 1-14

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Book] 『止まり木としてのゲストハウス――モビリティと時限的つながりの社会学』2024

    • Author(s)
      鍋倉咲希
    • Total Pages
      244
    • Publisher
      晃洋書房
    • ISBN
      9784771038264
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Book] 「ゲストハウスの『夜の魔法』とパフォーマンス」神田孝治・遠藤英樹・高岡文章・鈴木涼太郎・松本健太郎編『移動時代のツーリズム――動きゆく観光学』48-49。2023

    • Author(s)
      鍋倉咲希
    • Total Pages
      2
    • Publisher
      ナカニシヤ出版
    • ISBN
      9784779517686
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-09-11   Modified: 2024-12-25  

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