Project/Area Number |
23K18883
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
鎌田 祥輝 摂南大学, 全学教育機構, 助教 (50980736)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 科学教育 / Socioscientific Issues / STS教育 / カリキュラム / STEM教育 / socioscientific issues |
Outline of Research at the Start |
近年科学教育研究において、科学技術が関わる社会問題を理解し、意思決定を行う市民の育成を目的とした科学教育が志向され、科学の概念・方法の修得を目指すだけでなく、政治・経済・倫理などの人文・社会科学の視点を取り入れた科学教育が提案されてきた。ただし、市民育成を謳う科学教育は一枚岩ではなく、育成を目指す市民像の違いによって、カリキュラム開発の前提となる教育目標や人文・社会科学の視点の取り入れ方が異なる。本研究では市民像が異なる複数の科学教育論と教材に着目し、教育目標、および人文・社会科学の視点の取り入れ方の違いを解明することを通して、市民の育成を目的とした科学教育カリキュラムの在り方を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、市民の育成を目的とした科学教育カリキュラムの在り方を検討することである。近年、市民育成を目的とする科学教育の重要性が指摘されており、単元レベルの短期間の実践が開発されている一方、長期的なカリキュラムの開発には課題が残る。長期的カリキュラムの開発には、教育目標やカリキュラムの編成原理、人文・社会科学の視点の取り入れ方などを明確に意識する必要がある。そこで本研究では、長期的なカリキュラムの開発に対する示唆を得るべく、育成を目指す市民像が異なる複数の科学教育論を対象に、比較検討を行う。 今年度は、(1)科学技術が関わる社会問題を取り上げる意図と教育目標の関係、(2)カリキュラムの編成原理に着目して、これまでの研究で注目してきた科学教育論の比較検討を行った。具体的な対象は、(a)倫理的ジレンマを含む科学技術の社会問題(SSI)を取り上げる科学教育を主張したザイドラー(Zeidler, D. L.)の所論・教材、(b)英国におけるSTS教育を主導したソロモン(Solomon, J.)の所論・教材である。両者の比較を通して、長期的カリキュラムを開発する上での論争点や可能性を析出した。例えば(1)に関して、科学的知識や普遍的な正義と、個々の状況や価値観とを、どのように調和させることを目標とすべきか、(2)に関して、科学教育カリキュラムの開発において念頭に置かれる科学的知識の系統性と、人文・社会科学の知や社会問題とをいかに関連づけるべきか、さらには、科学的知識の系統性に囚われない科学教育カリキュラムの編成原理の可能性である。 以上の文献研究と並行して、学校現場における人文・社会科学の視点を取り入れた探究活動のカリキュラム開発にも継続的に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述のように、文献調査を進め、市民の育成を目的とした科学教育の長期的なカリキュラムを開発する上での論争点を析出した。しかしながら、研究成果の公表まで至ることができなかった。次年度は、これまでの研究実績をまとめた論文の投稿を行うとともに、後述する次年度の文献調査を並行して進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、人文・社会科学の視点を取り入れた科学教育論を取り上げ、比較検討を行う。次年度は、市民育成を志向する科学教育カリキュラムの編成原理について探究することを主目的として、2つの科学教育論に着目した文献研究を行う。 第一に、公正で持続可能な世界を目指して活動するためのスキルや態度、価値観の形成を重視して、SSIに対する批判を展開している科学教育論者の所論に着目する。第二に、STEM教育のカリキュラムやそれに対する批判に着目する。特に後者について、STEM教育の発端は、米国における科学技術人材育成政策にあるとされるが、近年では、社会問題を理解し意思決定や解決を行う市民育成を志向する教育としてもSTEM教育が捉えられ、議論されている。ただし、STEM教育において社会問題を扱う場合には、科学・技術・工学の応用に解決策が求められ、人文・社会科学の視点が捨象されているとの批判もある。STEM教育やそれに対する批判を検討することで、人文・社会科学の視点を取り入れた科学教育カリキュラムの編成をめぐる論点に対する示唆が得られると考えられる。
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