Project/Area Number |
23K18906
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
柴田 里彩 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 助教 (30975587)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 高校教育制度 / 男女共学制 / 戦後教育民主化政策 / 教育の機会均等 / 男女比率 / 新制度論 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、戦後男女共学制下における「女子高」の確立過程を解明することである。なお、本研究において「女子高」とは、法規上は男女共学校であるにも関わらず実質的に女子のみが入学・在籍する高校を指し、入学者を女子のみに限定することを明文化している女子高と区別する。本研究では、その分析において、人々の行動を非公式に規定する要素を重視し「制度」を幅広く捉える新制度論の視座を参照し、戦後高校教育制度における戦前期男女別学制との潜在した連続性を可視化することを試みる。またその際、これまで看過されてきた男子生徒の存在にも焦点を当てて検討を行う。以上の試みにより、男女共学制研究への新たな知見の提供を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、戦後男女共学制下における「女子高」の確立過程を解明することである。なお、本研究で「女子高」とは、法規上は男女共学校であるにも関わらず実質的に女子のみが入学・在籍する高校を指し、入学者を女子のみに限定することを明文化している女子高と区別している。 令和5年度には、研究成果が全国学会誌(日本教育行政学会『日本教育行政学会年報』)に掲載された。 当該論文では、高等女学校を前史とし戦後教育改革期に男女共学化した熊本県の高校を事例として選定し、戦後男女共学制下において「女子高」が学校及びその関係者と、その動きを斟酌した教育行政当局の、教育民主化政策への対応の集積によりもたらされた過程を示した。そしてその作業を通じ、行政当局・学校が男女共学を「女子教育の高度化(「男並み化」)」として理解していたことや、また事例校では旧制中学校を前史とする近隣の高校と「伍する」学校になることを目指していたこと、すなわち戦前の女子教育機関としての延長に男女共学化が位置付けられていたこと、加えてそこで語られる男女共学の意義にも、特性論が内包されていたことなどを示し、公式制度上は男女共学校である「女子高」の戦前期男女別学制との隠れた連続性を可視化した。 また、当該論文では、従来の男女共学制研究がその主題を女子教育問題、女子(女性)の問題として捉える傾向があったことを指摘したうえで、男子生徒の存在に焦点を当て分析を行った。結果、女子教育機関を前史とした事例校に対し、男子生徒が入学・在学することが不適切な場であると理解され、しかもその理解のあり方が学齢期男子生徒の進学行動を規定する側面があったことを明らかにし、このことを非公式な形での男子生徒への「入口からの排除」として指摘した。このように、男子生徒の側に焦点を当て「女子高」の制度的課題を示した。 以上2点が、本研究の目的に照らした主たる成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に、研究目的に照らした主たる研究成果が全国学会誌(査読有)に掲載されるに至った。そのうえで、当該年度には、次年度に研究成果をより発展させることに向け、書籍の累積と理論的基盤の検討、また、学会や研究会への積極的な参加により研究コミュニティの拡張を行うことができた。それに加えて、全国・地方学会における指定討論の依頼を受けるなど、学会における議論の深化に貢献する活動も行うことができた。以上のようにして構築した研究の基盤を土台にしながら、次年度には更なる知見の創出に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書では、熊本県の高校を事例として選定するとしていたが、採択1年目中に、その一定の成果を学術論文にまとめることができた。これを受けて、今後は他地域での実地調査を研究の射程に入れその成果から事例比較を行うことで、研究成果の精緻化を目指す。
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