Project/Area Number |
23K18944
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
河村 真由美 大分大学, 教育学部, 講師 (00982464)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | アイデンティティ / 生徒へのアンケート / 教師へのインタビュー / 教師のアイデンティティの特定 / コモグニション |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,日本の高等学校の生徒と教師がもつ数学に関係するアイデンティティが数学授業でのコモグニション(数学的認識とコミュニケーション)にどのように影響するのかを明らかにすることである。本研究の目的を達成するために,まずアンケート,インタビューの質問項目を検討して調査を行う。次に生徒と教師のアイデンティティを特定し,生徒と教師それぞれのアイデンティティがどのように数学授業でのコモグニションとして表出するのかを解明する。本研究により,アイデンティティを観点とした授業分析の実用的な方法の提案や,日本の生徒の非認知能力が世界平均より低いという課題の解明と解決に向けた提案を行うことが期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本の高等学校の生徒と教師がもつ数学に関係するアイデンティティが数学授業でのコモグニション(数学的認識とコミュニケーション)にどのように影響するのかを明らかにすることである。目的を達成するために、令和5年度は①先行研究の整理とアンケート等の質問項目の検討、②データ収集、③生徒へのアンケート及び教師へのインタビューの質問項目の妥当性の検討、④教師のアイデンティティを特定するための分析枠組の作成を行うことを計画した。 ①については先行研究を整理し、生徒へのアンケート及び教師へのインタビューを行うための質問項目を検討した。整理した先行研究に関しては、大分大学教育学部研究紀要へ論文を投稿し、採択された(査読有り)。②については、①で検討した質問項目を用い、広島と大分の高等学校2校で、生徒へのアンケート及び教師へのインタビューと授業録画を実施し、データを得た。③については、②で得られたデータを基に、アンケート及びインタビューの質問項目を検討した。その結果、教師へのインタビューは半構造化インタビューであったため、授業者のアイデンティティを検討することができた。しかし、生徒へのアンケートは、質問項目に対する生徒からの回答が詳細でなく、単語や短文でアイデンティティを特定することが困難であることが明らかになった。④について教師のアイデンティティは,間接的な言語による方向性の確認,比較と問題の価値付け,教師の発話の意味,暗黙的な非言語による発話を板書する行為,発話のスピード,発話の繰り返し、授業の構造として現れることを明らかにした。この結果を、7月に行われる15th International Congress on Mathematical Education 及び 47th Psychology of Mathematics Educationで発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画で、次の①~④を令和5年度に予定していた。①先行研究の整理とアンケート等の質問項目の検討、②データ収集、③生徒へのアンケート及び教師へのインタビューの質問項目の妥当性の検討、④教師のアイデンティティを特定するための分析枠組の作成。以下に①から④の成果と課題を示す。 成果として次の3点が挙げられる。1点目は実証的に検討を行うため、①アンケート及びインタビューの質問項目を検討することができたことである。2点目は②広島と大分の高等学校2校で、①で検討した質問項目で、実際に生徒へのアンケート及び教師へのインタビューを行い、データを得たことである。3点目は①で行った先行研究の整理を大分大学教育学部研究紀要に投稿したり、④で行った検討の結果を、7月に開催される2つの国際学会で発表することである。 課題は③生徒へのアンケートの質問項目の妥当性の検討に関してである。生徒のアイデンティティを特定するためのアンケートをGoogle Formsで行った。得られたデータから生徒へのアンケート項目の妥当性を検討したところ、質問項目の言葉に関して様々な捉え方があったり、回答が単語あるいは短文であったりした。そのため、アイデンティティを特定するために生徒へどのようなアンケートを実施するかについては、再度、検討する必要があることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に行った研究では、生徒のアイデンティティを特定するためのアンケートをどのような内容にするか、が課題として挙げられた。この課題に関しては、大分大学大学院の内田昭利教授が開発した集団式簡易潜在連想テストのアプリを用いて、生徒のアイデンティティを特定することにした。集団式簡易潜在連想テストは、アンケートと単語への反応時間から数学に対する個々人の認識を調査するものである。アンケートでは数学に対して否定的な回答をしていても、潜在意識では数学に対し肯定的な可能性のある生徒を明らかにすることができる。 令和6年前期は生徒と教師のアイデンティティを特定する。具体的には、広島と大分の高等学校2校の生徒と教師にアンケート及びインタビュー、授業録画による本調査を実施する。新クラスへの研究の説明及び生徒への集団式簡易潜在連想テストは、既に実施した。集団式簡易潜在連想テストアプリの結果を基にすると、生徒たちは数学が好き/どちらでもない/嫌いと、潜在意識として肯定的/否定的の3×2通りに分類される。数学が好き/嫌いと、潜在意識が肯定的/否定的それぞれに分類される生徒たちから、録画対象とする生徒を選出する。そして、それぞれの生徒たちが授業でどのような数学的行為を行っているかを録画する予定である。 令和6年度後期は、前期で得たデータを基に生徒と教師それぞれのアイデンティティとコモグニションにどのような関係があるかを検討する。具体的に行うこととして、教師のアイデンティティについては、令和5年度に検討した教師のアイデンティティを特定する枠組を用いて、授業を分析することが挙げられる。生徒のアイデンティティに関しては、上述した集団式簡易潜在連想テストのアプリを用いて、それぞれのアイデンティティをもつ生徒たちが、数学授業でどのようなコモグニションを行うかを、質的に検討する。
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