Project/Area Number |
23K18959
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | University of Marketing and Distribution Sciences |
Principal Investigator |
佐古 恵里香 流通科学大学, 商学部, 特任専任講師 (80979691)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 第2言語習得研究 / ICT活用 / 言語情報と視覚イメージ / 語彙学習支援方法 / 日本語教育 / アイトラッキング計測 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ICTを活用した研究手法を発展させることで、日本語教育分野におけるイメージ形成をはぐくむ学習支援の運用モデルを構築することを目指す。具体的には、第2言語におけるイメージを用いた学習支援法の確立に焦点をあて、①既存のオンラインツールを援用し、語彙とイメージを結びつけるワークシートを作成した上での授業実践、②留学生と日本語母語話者に対するアンケート調査の実施及び視線計測器によるワークシート上の視線移動の比較を行う。最終的には、これらの研究成果を論文として学術雑誌に投稿する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ICTを活用した研究手法を発展させることで、日本語教育分野におけるイメージ形成をはぐくむ学習支援の運用モデルを構築することを目指すものである。 具体的には、2年間で、4つの課題に関する研究計画を立てた。1年目は、①対面授業における既存のICTを活用した実践研究と、②視点計測機を用いた留学生と日本人における視線計測の実験を検討した。 課題①は、順調に進み、国際会議で1本、全国大会で2本、支部研究会で2本の合計5本を研究成果として、発表することができた。その内の3本は、2023年度の学術論文として、発刊された。1本目の論文では、中上級日本語学習者クラスのオンライン授業で、Google Suiteの機能などを使用して、学習状況情報を共有し合うことについて、アンケート調査を分析・考察した。この論文では、オンラインツールが学習者の学習支援に役立ちそうであることは示唆されたが、一方、使い手の学習者が、どの程度、オンラインツールを受容しているのかについては論じられていなかったので、新しく6段階評価のアンケート調査を実施して、2本目の論文で報告した。3本目では、これまでのオンライン授業や対面授業での実践研究を基に、対面授業デザインにおけるICT活用を具体的に提案した。 課題②は、日本語母語話者20名と中国語母語話者日本語学習者21名のアイトラッキング計測実験が終わり、視線位置と選択される日本語文法や想起されるイメージとの関係を分析しているところである。これらの研究成果は、現在、国際会議や全国大会に投稿中である。 2年目は、残りの2つの課題に取り組む予定である。③これまでの対面授業を振り返って改善を加えること、④既存のICTを活用した新しい学習支援法の提案と運用法を提案することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、おおむね計画の通り実施されている。1年目は、課題①対面授業における既存のICTを活用した実践研究と、課題②視点計測機を用いた留学生と日本人における視線移動の実験を実施した。また、課題②の成果は、2024年4月27日に台北で開催された国際シンポジウムの予稿集において、報告されている。この発表では、日本語母語話者と中国語母語話者日本語学習者の視線計測結果を分析したところ、視線の注視域を比較したt検定において、有意な差が見られたことが報告された。日本語母語話者と日本語学習者が作文をする際に、視線の異なりが生じている可能性が示せたことは大きな成果であり、現在、成果をまとめているところである。今後、精緻化したものを学術論文として、投稿したいと考えている。 2年目は、課題③対面授業の振り返りや改善を実施して、課題④既存のICTを活用した新しい学習支援法の提案と運用法を提案したい。具体的には、イラストや写真などの視覚情報は、最終的な言語理解に向けて、留学生との間に生じている日本語・日本文化理解の程度差を埋めて、補うことができることを検証していきたいと考えている。また、仮説を実証するために、意識調査や視線計測実験のデータを分析して、オンラインツールを対面授業において工夫して活用していくことで、日本語教育分野におけるイメージ形成をはぐくむ学習支援の運用モデルを構築することを目指したい。調査や分析結果は、今後、アメリカや台湾などの国際会議や国内の研究会で、発表したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、1年目は十分な成果を出しており、2年目も順調に、研究成果を投稿中である。2年目は、合計で、6本(国際会議、全国大会、支部大会)の研究発表と、約4本の予稿集や論文投稿を考えている。日本語教育関連の学会で、5月に、キャリア教育としてカタカナ語の学習で、どのようにICTを活用するべきかを発表する予定である。特に、留学生が在職する日本語母語話者の業種別のICTスキル期待度を推定したところが、大きな成果と言える。今後も、ICTを活用した研究手法を発展させていきたい。 また、2つの仮説の検証も進めたいと考えている。仮説①印刷のワークシートよりもオンラインツールのワークシートの方が、留学生の成果物に対する日本語母語話者の印象評価中央値が高くなることについては、現在、アンケート調査を分析中である。仮説②ワークシートで使用されたイラストは留学生の言語理解を補完する役割を担っていることを検討することについては、現在、アイトラッキング計測結果を分析中である。最終的に、これらの研究成果は、2025年3月までに、国際学術雑誌へ投稿したいと考えている。そして、日本語教育分野におけるイメージ形成をはぐくむ学習支援の運用モデルを構築することを目指していきたい。 一方、第1回目の実験において、日本語母語話者と中国語母語話者日本語学習者のアイトラッキング計測結果を分析したところ、視線の注意点域に関するt検定結果に有意な差が見られたことから、今後の方略として、異なる母語を持つ日本語学習者の被験者を増やす必要があると考えている。
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