Project/Area Number |
23K18963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Yamanashi Gakuin Junior College |
Principal Investigator |
末岡 尚文 山梨学院短期大学, その他部局等, 講師(移行) (50980059)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 障害児の普通学校就学運動 / 教育実践 / 教育史 / 子どもの権利 / インクルーシブ教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、戦後日本における障害児の普通学校就学運動を通じた具体的な教育実践の構築の過程において、権利主体としての障害児の意志がいかに尊重されてきたかを、運動当事者・関係者の書籍や論文、運動団体の機関誌やパンフレット、聞き取り調査などをもとに検討するものである。そのことを通じて、全ての子どもの権利を保障するインクルーシブ教育の実現を目指す今日の学校現場が抱える制度上・実践上の課題とその解決策を究明することを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「障害者の教育権を実現する会」が展開した具体的な教育実践を含む障害児の普通学校就学運動の歴史的検討を通じ、権利主体としての障害児の意志に着目しながら、インクルーシブ教育の実現を目指す今日の学校現場が抱える制度上・実践上の課題とその解決策を明らかにすることを目的とするものである。令和5年度においては、下記の3つの作業を行った。 第一に、「障害者の教育権を実現する会」が発行した書籍等に加え、同時期の障害児教育をはじめとする教育学研究に関する史資料を収集・分析し、戦後日本における教育運動の特徴とその背景にある権利論・教育論の整理を行った。 第ニに、障害児の普通学校就学運動の先駆けともされる成人障害者八木下浩一の小学校就学を求める運動に焦点を当て、障害者が学校に通うことの持つ意味と直面した課題について、障害当事者運動の文脈から検討を行った。就学後の学内外における八木下の活動について、八木下自身の著書や雑誌論文、関係者の指摘などをもとに考察した結果を、令和5年8月の日本教育学会第82回大会で報告した。 第三に、就学運動を通じた普通学校における障害児と健常児が「共に生きる」教育課程を構成する要素と実践が直面した課題について、長崎県の小学校教員・城台美弥子の教育実践の記録に焦点を当てて検討を行った。城台の実践記録からは、「共に生きる」教育における子ども同士の関係性の構築や実践の展開において保護者との連携が大きな役割を果たしていたことに加え、教員による諸々の配慮が学習活動の援助のみならず差別への抵抗や子ども同士の関係性をつなぐ手段としても機能していたことなどが確認された。これらの成果を、令和6年1月に山梨学院短期大学研究紀要に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の研究は主に資料収集が中心となり、現時点で令和5年度に行った研究の成果が公開されている論文は存在しない。しかしながら、研究の土台となる文献資料や先行研究等の整理は当初の計画以上に進展しており、研究の成果を論文として発表する準備は着々と進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度より資料の収集を進めている「障害者の教育権を実現する会」の運動の論理と具体的な実践とのつながりなどについて、関係者等による著書や論文などの資料をもとに考察し、その結果を論文としてまとめる予定である。特に全盲児浅井一美の担任となった小学校教師篠崎恵昭による教育実践を通じて、学校内において当事者としての子どもの意思がいかに引き出され、実践の中に位置づけられていたかを検討する。その成果を『教育学研究』に論文として投稿(再投稿)する予定である。 あわせて、令和5年度に学会発表を行った八木下浩一の就学運動の持つ意義と今日的示唆について、同時期の障害者当事者運動をはじめとする社会運動・教育運動の文脈に即して検討し、障害者の普通学校就学運動が有する歴史的な特徴と位置づけを明らかにすることを試みる。その成果を論文にまとめ、『障害学研究』に提出する予定である。
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