Project/Area Number |
23K19014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0201:Algebra, geometry, analysis, applied mathematics,and related fields
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
寺門 康裕 東京電機大学, システム デザイン 工学部, 助教 (30783930)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 志村多様体 / アーベル多様体 / 四元数環 / 志村曲線 / 質量公式 / 簡約代数群 / 保型形式 |
Outline of Research at the Start |
保型形式の数論的性質の研究において、志村多様体と呼ばれる多様体が重要な役割を果たす。本研究では、志村多様体の法p還元上のbasic跡の性質を研究する。basic跡は、モジュラー曲線における超特異跡の自然な一般化であり、その性質は数論・表現論・幾何などの様々な理論を用いて記述される。志村多様体がジーゲル・モジュラー多様体の場合には詳しい性質が明らかになってきているが、一般の場合には未解決の問題が多い。本研究では、ドリーニュ・ルスティック多様体や簡約代数群の質量公式の理論を駆使して、志村多様体のbasic跡の既約成分の個数の明示的公式などについて研究する。さらに法p保型形式の数論への応用を与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
志村多様体の法p還元上のbasic軌跡は、数論幾何的に興味深い性質を豊富に持っていると期待されている。しかしながら、basic軌跡の構造は非常に複雑であり、その具体的な性質は特別な場合にしか知られていない。申請者は、簡約代数群に付随するアフィン・ドリーニュ・ルスティック多様体と質量公式の理論を用いて、basic軌跡の性質を研究している。 2023年度は、武漢大学のJ. XueとAcademia SinicaのC.-F. Yuと共同で、総実体上の不定値四元数環上の歪エルミート形式のユニタリ群に付随するPEL型の志村多様体の場合について研究を行った。研究成果として、まず四元数乗法を持つ主偏極アーベル多様体のモジュライ空間としての志村多様体が空集合にならないための、四元数環に関する必要十分条件を与えた。また、その条件の下で、法p還元上の超特別軌跡(superspecial locus)が空集合にならないことを示した。さらに、良い素数pでの法p還元上におけるbasic跡の既約成分の個数に関する明示的公式を与えた。この結果は、ジーゲル・モジュラー多様体の場合のEkedahl・橋本・伊吹山・桂・Li・Oortらの結果の自然な一般化である。これに加えて、特別な場合である志村曲線について詳細に研究し、悪い素数pでの還元上のbasic軌跡の既約成分の個数に関する明示的公式を与えた。 これらの研究成果は論文にまとめて学術誌に投稿した。また、8月に中国科学技術大学で行われた研究集会「The 3rd Cross Strait Workshop on Arithmetic Geometry」と12月に京都大学数理解析研究所で行われた研究集会「代数的整数論とその周辺2023」で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず総実体上の四元数乗法を持つ主偏極アーベル多様体のモジュライ空間としての志村多様体が空集合にならないための必要十分条件を与えることができた。証明は四元数環上の歪エルミート形式に含まれる格子の存在条件を示すことに帰着される。 またその条件の下で、志村多様体の法p還元上の超特別軌跡が空でないことを示すことができた。証明は、四元数乗法を持つ主偏極超特別アーベル多様体に対応する、付加構造付きのデュドネ加群を構成することに帰着される。 さらに、アフィン・ドリーニュ・ルスティック多様体と質量公式の理論を用いて、良い素数pにおける還元上のbasic軌跡の既約成分の個数の公式も得た。 予想外の進展として、悪い素数における還元上の場合にも、志村曲線のbasic軌跡の既約成分の個数の公式を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
悪い素数における還元上のbasic軌跡の既約成分の明示的公式を、志村曲線に限らずに高次元に拡張する。そのためには、簡約代数群に付随するアフィン・ドリーニュ・ルスティック多様体の理論を用いた計算をさらに推し進める必要がある。そこでは簡約代数群の表現に関する重複度公式を使った記述が予想される。まずは古典的なヒルベルト・ジーゲル多様体の場合を考えたい。 また、これまでの研究は志村多様体の法p還元の代数的閉体上での性質を考えていたが、今後は有限体上での点や既約成分などの性質についても考えたい。 さらに、虚二次体に限らない一般のCM体上の歪エルミート形式のユニタリ群や、直交群、スピノル群に付随する志村多様体についても取り組む。
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