Project/Area Number |
23K19021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0201:Algebra, geometry, analysis, applied mathematics,and related fields
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
須田 智晴 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 特別研究員 (20980923)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 化学反応ネットワーク / 微分包含式 / 常微分方程式の公理的理論 / 常微分方程式 / 多項式ベクトル場 / 力学系 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、多項式ベクトル場により定義される常微分方程式の挙動に関し、値が未知のパラメータがある場合について、微分包含式を利用した考察を行う。すなわち、常微分方程式の微分包含式への埋め込みを考察し、埋め込み先の情報から、元の系の挙動、なかでもパラメータによらない制約条件を得ることをめざす。埋め込みの操作により、パラメータへの依存性を消すことがこのアプローチの原理である。具体的な内容としては、常微分方程式の微分包含式への埋め込みと、そのもとで力学系的な性質の対応関係を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,値が未知のパラメータに依存した多項式ベクトル場により定義される常微分方程式の挙動について,微分包含式を用いた考察を行うことである.パラメータ付きベクトル場の族を微分包含式に埋め込み,後者の力学系的な性質を調べることで前者についての知見を得るという筋書きである.また,既存の結果は主に平衡点の性質に関するものであるが,そこに至るまでの挙動についても考察を行うことを目標としている.本年度は主に埋め込みの方法と埋め込み先の力学系的な性質について研究を行った.まず,トーリック微分包含式の構成方法をより一般のベクトル場に拡張する方法について,G.Craciunによる論文に基づき検討を行った.また,パラメータに依存したベクトル場の生成する力学系について,常微分方程式の公理的理論を用いた考察を行い,力学系の族の挙動について記述・解析する方法を得た.このようにして得られる「力学系」は現在一般的に研究されている力学系とはかなり異なるものであり,概念を一般化する必要がある.そこで,これを合理的に行う方法について,圏論を用いた考察を行った.これらの考察の結果は今後学会・研究集会などで発表した後,論文として報告する予定である. また,平衡点以外での挙動について考察を進める上での第一歩として,化学反応ネットワークを具体例とし,非自励系の実効的なダイナミクスの数学的な定式化を行った.その成果については国際学会にて発表し,現在論文として投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画に沿って研究を進めることができ,一定の成果を得ることができた.特に,常微分方程式の公理的理論の枠組みの元で,複数の力学系の「一様な」性質について考察する方法が得られている.また,特に化学反応ネットワークに関しては,平衡点以外での挙動を簡略化して記述する方法が得られた.これは応用上も意義のある成果であると考えられる.一方,本年度の研究を通し,平衡点以外の挙動を扱う際の,トーリック微分包含式を軸としたアプローチの問題点が明らかになりつつある.この方針は平衡解に近づくかどうかを考える際には有用であるが,その速度などの情報についてはあまり詳細にわかるわけではない.平衡点以外の挙動について調べることが目的である場合,微分包含式への埋め込みに関してはより単純な方法の方が適切である可能性がある.また,微分包含式への埋め込みでは途中でパラメータ値が変わるような軌道も許されてしまうため,常微分方程式の公理的理論を用いたアプローチの方が有利である可能性も考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究により得られた成果を踏まえて,次年度では以下の方針で研究を進める.まず,微分包含式への埋め込み方法に関しては,より単純な埋め込みでも力学系的な性質が保存される可能性があるため,この点について検証を行う.また,単純な錐により定義される微分包含式の力学系的な性質について研究を進める.これにより,具体的な埋め込み方法によらず利用可能な結果を得ることを試みる.さらに,パラメータに依存したベクトル場の族について,常微分方程式の公理的理論を用いた考察を進める.
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