Project/Area Number |
23K19022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0202:Condensed matter physics, plasma science, nuclear engineering, earth resources engineering, energy engineering, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金城 克樹 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80981696)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 超伝導 / 強相関電子系 / 中性子散乱 |
Outline of Research at the Start |
普通の超伝導状態では、電子スピンが逆方向のペア(スピン一重項ペア)を組むため、強い外部磁場中では安定でないという性質がある。しかし、FuldeとFerrell、LarkinとOvchinnikovはそれぞれ独立に、磁場中でのみ安定化する特殊な超伝導状態(FFLO状態)が、一部の超伝導が磁場で壊れる寸前に現れるということを予言した。FFLO状態では、超伝導状態と常伝導状態(普通の金属状態)が空間的に振動する。本研究では、その周期性について、申請者が明らかにしたスピン凝縮をスピンに最も敏感な手法である中性子散乱実験によって明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従って、今年度は目的に即した新物質の探索と既知の物質の大型化に取り組んだ。 まず、新物質合成において、Sc-Ru-Sn系の物質をベースにY-系、Lu-系において新物質の探索を行った。結果、Snフラックス中から数㎜サイズの大きな単結晶を取り出すことに成功した。得られた単結晶をもとに粉末X線回折実験を行ったところ、未知の物質であることが示唆された。本系のSc-Ru-Snとの類推から、Y-系、Lu-系共にSc-Rh-Sn系で見られた擬スクッテルダイト構造に由来すると仮定するとすべてのピークが説明されるため、本系における新型の擬スクッテルダイト構造を持つ物質の合成に成功したと考える。加えて、Lu-Ru-Sn系の物質においては1 K程度から反磁性的なシグナルを得た。本シグナルは超伝導転移に由来すると考えられるが、より詳細な研究が必要となる。 加えて、Yb-Cu-Bi系において単結晶合成報告例のないYbCuBiにおいて、Biをフラックスとした単結晶合成を試みた。結果、数㎜角の単結晶合成に成功し、X線回折実験で確かめられた。本物質の低温物性を確かめたところ、約1 Kで反磁性的なシグナルをを観測した。本シグナルは超伝導に由来すると考えられるが、より詳細な研究が必要となる。 既知の物質の大型化では、先行研究の通り、物質合成を行った。結果、Ba-Nb-S系において0.5㎜角程度の小型ながらも単結晶の合成に成功し、X線回折実験と低温物性測定で確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新物質探索の結果、本年度はSc-Ru-Sn系の物質をベースにY-系、Lu-系において数㎜サイズの大きな単結晶を取り出すことに成功し、本系における新型の擬スクッテルダイト構造を持つ物質の合成に成功した。さらに、これらの2つの物質は超伝導の傾向である反磁性的なシグナルを示すことを発見した。加えて、Yb-Cu-Bi系において既知の物質に対して低温物性を測定し、超伝導であることを発見した。これら3つの系での超伝導は本実験の目的には使えないが、新物質探索という面で戦略的に新規超伝導体を開拓していくことが可能であると考えている。よっておおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究によって、新物質探索、既知の物質の大型化の両面へのアプローチが確立したといえる。 そこで本年度は、籠状構造や低次元的な構造を持つ様々な物質の類型構造に焦点を当てて、物質開拓を行うとともに、既知の物質に対する合成方法の改良を試行錯誤し、純良大型単結晶合成方法の開拓を行う。 例えば、Ta-Ba-S系、V-Ba-S系においてNb-Ba-Sと同型の物質の探索を行っていく。Nb-Ba-S系では2次元的なファンデルワールス結合を持つ結晶が報告されているが、Ta系、V系では報告例はない。さらに、これらの結果を踏まえ、第4族、あるいは第6族の遷移金属化合物群にも研究対象を拡大しながら研究を進めていく。
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