Project/Area Number |
23K19028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0202:Condensed matter physics, plasma science, nuclear engineering, earth resources engineering, energy engineering, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 隆司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90984550)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 量子情報理論 / 量子プロセス |
Outline of Research at the Start |
量子力学において許される一般のダイナミクスは量子プロセスと呼ばれ、量子効果が顕著に現れる物理的状況から量子状態を操作する量子情報処理にいたるまで、多くの場面で根本的な役割を果たす。しかし、「ある量子プロセスから別の量子プロセスに与えられた操作で変換できるか」を問う量子プロセスの変換性の問題は、限られた状況でしか解析されていない。本研究は、量子プロセスの変換性を普遍的に記述する一般理論の構築を目標とする。特に、与えられた可能な操作を用いて実現できる量子プロセスの変換性の条件と背後にある量子的な特徴量との関係を定量的に明らかにし、一般論が具体的な物理系及び量子情報処理に与える洞察について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、量子プロセスの変換性の具体的な問題として、まず量子コヒーレンスの変換可能性の特徴づけの研究を行なった。量子コヒーレンスは量子熱力学やquantum metrologyで有用な量子特徴量であり、物理的に許される操作によってどの様に量子コヒーレンスが変換できるかを明らかにするのは重要な問題である。本研究では特に「触媒」と呼ばれる、状態変換を手助けする量子状態を許した時に、どの様な量子コヒーレンスの変換が可能かを解析した。その結果、触媒の状態と注目系の間に相関を許した場合、任意の量子コヒーレンスの変換が可能となることを示すことに成功した。 次に、量子プロスセスの一般的な性質を解析するため、一般量子リソース理論の操作的特徴づけの問題に取り組んだ。量子的特徴量の有用性を理解する上で、与えられた量子状態等がどの様なタスクにおいて有用なリソースとして働くかを明らかにするのは根本的な問題である。先行研究により、凸リソース理論と呼ばれるクラスのリソース理論については、全ての量子状態および量子チャネルが何らかの識別問題に有用であることが示されたが、リソース理論が凸でない時にどの様にその結果を拡張できるかは大きな問題であった。本研究ではこの問題を解消し、一般のリソース理論における任意のリソース状態およびチャネルについて、それが有用となるチャネルおよび状態識別問題が存在することを証明することに成功した。これは、これまで知られていた結果を、凸とは限らない任意のリソース理論に拡張し、適用範囲の一般性を大きく広げるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、具体的なリソース理論の変換性の問題と一般量子リソース理論における操作的特徴づけの問題の双方から量子プロセスの特徴づけに迫ることができたことより、期待される成果が達成されているいと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は具体的な物理的な状況から洞察を得て、一般性の高い操作的特徴づけに還元するということをより推し進める。例えば興味深い設定として、マジック状態蒸留や量子熱力学における仕事の取り出しの解析などが考えられる。また、量子誤り抑制、量子誤り訂正をノイズつきプロセスの変換と捉えることで、量子プロトコルの原理的な限界に迫ることを目指す。
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