Non-reciprocal frustration physics
Project/Area Number |
23K19034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0202:Condensed matter physics, plasma science, nuclear engineering, earth resources engineering, energy engineering, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
花井 亮 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教 (60976372)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 非相反相互作用 / フラストレーション / 非平衡開放多体系 / 非平衡多体現象 / フラストレーション物理 |
Outline of Research at the Start |
作用反作用の法則を有効的に破る非相反相互作用は、生態系、神経回路網、生命系などの自然界に存在する系から、人工的に制御された非平衡環境下等の幅広い文脈で現れる。にもかかわらず、その多体物性への影響はほとんど理解されていないのが現状である。 本研究では、非相反系を「フラストレーション系」として捉えるという、新たな視点を持ち込むことによって、この現状の打破を目指す。最近提唱された幾何学的フラストレーション系の物理とのアナロジーをもとに、後者の分野で確立された理論的枠組みを非相反系をも適用可能な形に再定式化する。構築した枠組みを用い、非相反相互作用がもたらす多体効果を系統的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、非相反相互作用系と幾何学的フラストレート系が、類似性を見出せるか?という根源的な課題に取り組んだ。結果、この両者ともに、「(対称性に保障されない)マージナルな軌道を持つ」という重要な共通点があることを示すことに成功した(前者はリウビルの定理を証明することによって示した)。これは、幾何学的フラストレート系においてよく現れる基底状態の偶然縮退の動的対応物である。この類似性の結果、後者でよく知られている「無秩序による秩序」現象やスピンガラスに類似の現象が現れることを示した。本研究結果は、Physical Review X誌に掲載され、アメリカ物理学会が発行するPhysicsの"Viewpoint”にて特集された。 また、実効的に非相反に結合するようにデザインされた量子開放スピン系における多体効果の研究も行なった。非相反量子開放系では、リウビルスペクトルが境界条件に対して異常な敏感性を示す、リウビル表皮効果という現象が知られている。通常、リウビルスペクトルは系の物性に決定的な影響を及ぼすと考えられているため、リウビル表皮効果が物性に常に大きな影響を与えると素朴には期待される。本研究では、この予想に反し、リウビル表皮効果の存在がスケーリング則に影響を全く与えない例があることを示した。これは、相関長がシステムサイズを超えない限り、系の端の情報が系のバルクにまで影響を与えることはほぼないためである。そのため、この研究結果は、量子スピン系に限らず、幅広い非相反系において成立していると期待される。本研究成果は、Physical Review Letters誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
熱平衡系では必ず成立する自由エネルギー最小化原理は、作用反作用の法則が成立する。しかし、非平衡開放系では一般に、その限りではない。本課題では、このような非相反相互作用系を「フラストレートした系」として捉えることにより、発展途上にあるこのクラスの系の多体物性を明らかにすることを目指すものである。 本年度、その最も重大な土台と言える、非相反相互作用系と幾何学的フラストレート系との直接的なアナロジーを確立したのは、大きな成果である、と言える。このアナロジーはネットワークの構造によらない非常に広いクラスの非相反相互作用系で成立する。そのため、ロボティックス、生命科学、生態系、量子多体開放系など、非常に幅広い文脈への応用が見込まれる。 また、非相反系で中心的な概念として知られるリウビル表皮効果についての重要な知見が得られたことも大きな成果である。リウビル表皮効果があると、例えば周期境界条件においてギャップレススペクトルを持っていた系が、開放境界条件下ではギャップが開く、という場合も存在する。そのため、リウビル表皮効果はスケーリング則に影響を及ぼすことが自然と期待される。本研究で明らかにした、リウビル表皮効果の存在の有無に全く依存しないスケーリング則の発見、それが現れる物理的な描像を明らかにしたことは、このような見解に警告を与えるものであり、重要な成果であると考えている。 以上から、「(1)当初の研究計画以上に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果を受け、今後は、(1)非相反相互作用系と幾何学的フラストレート系とのアナロジーのさらなる追求(2)この非相反フラストレーション物理が現れる現実系の模索の二つを中心に研究していきたいと考えている。 具体的には、(1)の課題の一つとして、スピンアイスとの類似性を探ることを計画している。幾何学的フラストレート系において、スピンアイスと呼ばれる、フラストレーションから生じる局所的な保存則が例えば磁気モノポールの類似物等の非自明で興味深い励起構造をもたらすことが知られている。今後、この動的対応物が非相反相互作用のみで現れることが出来うるかについて研究を行っていく予定である。また、これまで解析してきた無秩序による秩序現象は、「軌道の偶然縮退」を特徴づけるパラメータが、ミクロな数しかない場合に限定してきた。今後は、幾何学的フラストレート系におけるパイロクロア格子系のような、マクロな縮退がある場合の非相反系における無秩序による秩序状態の研究を行う予定である。 (2)現実的な系への実装へ向けた理論研究も進めている。既に、量子固体に光を適切に当てることによって、実効的な非相反相互作用を与える研究を進めており、予備的な結果を得ている。特に、実験的にも十分現実的なパラメータ領域において、非相反相転移が起きうることを明らかにしつつある。また、生態系、ロボティックス、生命科学において、非相反相互作用系をフラストレート系として捉えるという視点が有用な局面がないか、探っていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(7 results)
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[Presentation] Non-reciprocal frustration physics2023
Author(s)
Ryo Hanai
Organizer
the programme at the Isaac Newton Institute for Mathematical Sciences in Cambridge, “New Statistical Physics of Living Matter: Non-equilibrium states under adaptive control”
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Int'l Joint Research / Invited
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