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熱可塑性複合材料の成形時残留変形および長期変形発生機構の解明と変形量の予測

Research Project

Project/Area Number 23K19085
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section 0301:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, fluid engineering, thermal engineering, mechanical dynamics, robotics, aerospace engineering, marine and maritime engineering, and related fields
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

龍薗 一樹  東北大学, 工学研究科, 助教 (60982791)

Project Period (FY) 2023-08-31 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywords炭素繊維強化プラスチック / 熱可塑性樹脂 / 残留変形 / クリープ変形 / 粘弾性 / 幾何学的非線形 / マルチスケール解析 / 熱可塑性複合材料
Outline of Research at the Start

熱可塑性複合材料は再成形可能でサステナブルな素材である反面、熱硬化性複合材料に比べて粘弾性特性が顕在化し、長期的な寸法変化が発生する。したがって、航空機の構造部材として長期的な強度を保証するには、成形時に発生する残留応力を把握し、それを駆動力とした長期変形(クリープ変形)を予測する必要がある。そこで本研究では、成形条件と使用環境に起因する熱可塑性複合材料の残留変形と長期変形の発生機構を解明し、変形量を予測する粘弾性マルチスケール解析を開発する。

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、熱可塑性複合材料の成形時残留変形と長期変形の発生機構を解明し、変形量を予測する粘弾性マルチスケール解析を開発することを目的とする。
2023年度では、当初の予定通り、(1)熱可塑性複合材料の成形時残留変形および長期変形量の測定実験と(2)粘弾性マルチスケール解析手法の構築に取り組んだ。(1)では、熱可塑性複合材料(T700G/LMPAEK)と熱硬化性複合材料(T700G/2510)の非対称積層板を作製し、成形時の変形量とその後1か月にわたる長期変形量を測定した。その結果、T700G/LMPAEKはT700G/2510より成形時の残留変形が大きい一方で、長期的なクリープ変形は小さくなった。前者の理由は、熱硬化性樹脂の架橋反応による硬化収縮量に比べて、熱可塑性樹脂の広い成形温度範囲による熱収縮量が非常に大きいためである。また、一方向積層板を作製し、繊維垂直方向の動的粘弾性試験を実施したところ、T700G/LMPAEKはT700G/2510より活性化エネルギーが高く、高温ほど応力緩和が急激に起こることが分かった。このことから、T700G/LMPAEKの長期変形が小さくなった理由は、成形温度範囲ですでに応力緩和が完了したためだと推測できる。(2)では、異方性粘弾性と幾何学的非線形性を考慮した積層板スケールのマクロスケール解析を構築し、長期クリープ変形を予測した。(1)で実施した動的粘弾性試験から一般化Maxwellモデルに基づく緩和弾性率を決定し、長期変形解析を実施したところ、解析結果は(1)で測定した長期変形と最大変形量の観点で良い一致を示した。次年度では、成形時のマクロスケール解析についても異方性粘弾性構成則を導入することで、成形時の残留変形から長期変形までを一貫して予測する粘弾性マクロスケール解析を構築し、成形時の残留応力の緩和について議論する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は申請時の計画通り、(1)熱可塑性複合材料の成形時残留変形および長期変形量の測定実験と(2)粘弾性マルチスケール解析手法の構築を実施した。
(1)では、非対称積層板の残留変形から長期間にわたるクリープ変形量までを測定した。その結果、本研究で対象とした熱可塑性複合材料は熱硬化性複合材料より残留変形が大きい一方で、長期変形は小さいという結果が得られ、両材料には変形量に差異があることを明らかにした。さらに、動的粘弾性試験の結果から、熱可塑性複合材料は高温域での応力緩和挙動が早く、成形の段階で緩和が既に完了している可能性があるという知見を得た。(2)では、異方性粘弾性と幾何学的非線形性を考慮したマクロスケール解析の構築が完了し、長期変形量を予測することができることを示した。一方で、(1)での実験から成形時のマクロスケール解析にも異方性粘弾性構成則を導入する必要があることが分かったため、次年度に取り組み、粘弾性の有無による成形時残留応力の差異を考察する予定である。
以上の研究成果から、熱可塑性複合材料の成形時残留変形および長期変形について、粘弾性に関する視点から新たな知見が得られ、今後の議論における検討事項を発見できたことから、現在の進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

2024年度は、成形時の残留変形から長期変形までを一貫して予測することのできる粘弾性マルチスケール解析手法を完成させる。また、いくつかの熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂の樹脂種における残留変形と長期変形の測定実験を追加実施し、変形量に与える樹脂種の影響を実験的・数値解析的に議論する。具体的には、下記の3項目について取り組む。
(1)成形時の残留変形を予測するマクロスケール解析に異方性粘弾性構成則を導入する。構築した残留変形解析の結果から、弾性構成則を用いた場合と粘弾性構成則を用いた場合における熱可塑性複合材料の残留応力の違いを議論することで、熱可塑性複合材料の長期変形量が小さくなった要因を明らかにする。
(2)粘弾性ミクロスケール解析を構築し、マクロスケール解析と接続することで粘弾性マルチスケール解析手法を完成させる。はじめにミクロ解析の樹脂を等方性粘弾性体とみなし、樹脂単体の動的粘弾性試験で取得したマスターカーブからミクロ解析の樹脂弾性係数と緩和時間を決定する。応力6方向にそれぞれ一定ひずみを与えたミクロ解析からマクロ材料パラメータを同定し、実施項目(1)で構築したマクロスケール解析を実施する。解析結果を2023年度に取得した実験結果と比較することで、本研究で構築したマルチスケール解析の妥当性を検証する。
(3)樹脂種による残留変形と長期変形量の違いを定量化する。繊維基材にNon-crimp fabric (NCF)を用いて、いくつかの熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂について非対称積層板を作製し、成形時の変形量とその後1か月にわたる長期変形量を三次元測定機にて測定する。ここで得られた実験結果とマルチスケール解析結果を比較し、樹脂の動的粘弾性試験結果と照らし合わせながら、残留変形と長期変形の樹脂種による違いを考察する。最終的に残留変形と長期変形量に影響を与える要因を明らかにする。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report

URL: 

Published: 2023-09-11   Modified: 2024-12-25  

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