Project/Area Number |
23K19095
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0301:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, fluid engineering, thermal engineering, mechanical dynamics, robotics, aerospace engineering, marine and maritime engineering, and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳永 大二郎 東京工業大学, 工学院, 助教 (90981093)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | セラミックス / レーザ融接 / 気泡 / レーザ溶接 / 組織制御 |
Outline of Research at the Start |
セラミックスは強度や耐薬品性,生体親和性などの高さから広く利用されているが,難加工材料であることが知られており,複雑形状の作製には溶接や積層造形が求められる.しかし,セラミックスのレーザ溶接は融点の高さや熱衝撃による亀裂,気泡の発生などの課題により金属の溶接と比較して普及していない.本研究は溶融時に発生する気泡形状や分布メカニズムの解明および適切な熱履歴や雰囲気により気泡を制御し,高強度なセラミックスレーザ溶接を実現する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではセラミックス微小要素のレーザ融接における熱履歴を制御し,溶融プールから気泡を除去することで高強度な融接部を得ることを目的としている.2023年度は直径0.1mm程度のアルミナ微粒子を突き合わせて熱伝導経路を抑えることで,低出力のCO2レーザの照射による効率的なレーザ融接を試みた.加工の様子を高速度カメラで観察することで,溶融凝固時間を計測した.熱履歴が融接部の気泡分布に与える影響を明らかにするため,レーザの出力波形により試料の溶融時間や凝固時間を制御した.これにより,2つの融接された微粒子の破断面において,気泡の分布や結晶構造が著しく変化することを明らかにした.レーザの照射時間が10msと短い場合,破断面にはサブマイクロの気泡が多数確認された.また通常のレーザ融接における試料の溶融時間は0.1mm程度の長さにおいて100msであるのに対して,1000msの長時間レーザを照射した際も気泡は溶融プールから放出されずに破断面に残留した.これにより,浮力や対流による気泡の放出は困難であることが示唆された.また照射時間の増大に伴い破断面の結晶粒径は増大した. 次に,レーザの出力を総照射時間が400~1000msになるように漸減させることで,溶融プールを徐冷し,凝固方向をレーザ光軸方向に制御した.これにより試料断面の気泡はある程度の除去が認められたが,レーザ照射部からみて試料の下部に気泡が残留した.また,結晶粒径は破断面全体にわたって大きく成長した. 徐冷により溶融プールの凝固方向を溶接部方向ではなくレーザ光軸方向に制御したにもかかわらず試料下部に気泡が残留したことから,溶融プール内部を上下に振動する気泡が実験的に示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では2023年度にレーザ照射条件によりセラミックスのレーザ融接部における熱履歴を制御することで気泡の除去を試み,2024年度に加工雰囲気の制御および数値解析を行うことを計画している. 本年度において,従来のレーザ融接条件と比較して単位面積当たりの溶融時間を10倍以上にすることで,先行研究による解析や観察により溶融プールから気泡が抜けるのに十分と思われる時間設定で試料を溶融させた.しかし,上述の研究成果のように溶融時間により気泡を除去することは困難であることが明らかになった.また徐冷した試料ではある程度の気泡除去効果が認められたため,溶融プールの凝固方向が重要であることを示した.また同時に,徐冷することでも放出されず試料下部に補足される気泡が確認された. 計画していた試料の寸法効果に関して,アルミナ粉末から微粒子よりサイズの大きい任意形状のグリーン体を作製し,レーザによる溶融挙動の観察を行っている.この際,微粒子の融接時と同様の気泡の挙動が確認されており,現在成果としてまとめている.これにより溶融プール内部での熱履歴に対する気泡の移動方向を明らかにし,当初の研究目的を達成したといえる. また2024年度に実施する加工雰囲気の制御に関しても装置設計を進めている.凝固組織の再溶融に関しては調査中であるが,大気雰囲気では,凝固時の雰囲気の巻き込みにより多くの空孔が発生し,溶融プール内部で対流する気泡との切り分けが困難であったため,加工雰囲気の制御装置が完成し次第,実験を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにアルミナのレーザ融接部における空孔の分布に与える熱履歴の影響を調査した.これにより,溶融時間は気泡の除去に対して効果が薄いことが明らかになった.そのため,寸法効果に関する実験や溶融凝固組織への再照射など複数の実験は実施しないよう修正した.気泡の除去可能性の高い徐冷に関してより詳細な実験を計画している.特に,徐冷だけでは取り除くことが困難である対流する気泡に関して,レーザ出力の周期的増減による除去を検討する.また,空孔の発生源として考えられる融液中の気泡と体積収縮による雰囲気の巻き込みが切り分けられていない.そのため,当初の予定通り真空チャンバーを作製し,真空雰囲気や不活性ガス雰囲気での融接を試みる.これにより雰囲気の巻き込みを抑制し,熱履歴の制御により得た空孔分布と融液中の気泡の関係を明らかにする.特に,不活性ガスの種類による表面エネルギー差に着目する. 真空チャンバー内部で単結晶サファイア試料に対してレーザ融接を試み,気泡の発生源の1つである基材の空孔を抑制することで,気泡の発生源を1つずつ切り分けて実験を行う.また試料形状を微粒子から焼結体やグリーン体に置き換えることで,基材の空孔率を制御し,その影響を調べる.また,気泡の移動に関するマランゴニ対流の解析を試みる.
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