Project/Area Number |
23K19102
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0301:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, fluid engineering, thermal engineering, mechanical dynamics, robotics, aerospace engineering, marine and maritime engineering, and related fields
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Research Institution | Hiroshima Institute of Technology |
Principal Investigator |
下地 治彦 広島工業大学, 工学部, 教授 (90976531)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 月着陸機 / 航法誘導制御 / 着陸脚 / 不整地 / 月探査 |
Outline of Research at the Start |
各国で月面探査が活発化しており、当面は平坦で着陸しやすい地点に着陸し拠点設営が進むと考えられる。一方で、月面には傾斜や凹凸のある不整地が多く存在し、月面全体の探査・活用には、不整地への着陸技術の獲得は不可欠である。不整地への安全・確実な着陸は、接地前に傾斜や凹凸を測定し、月面に沿う姿勢と速度で接地する航法誘導制御技術と、凹凸・傾斜があっても地面にならって安定な着地を実現する着陸脚の技術を融合させた対応が必要である。本研究では、これらの2つの技術を適切に融合することで着陸の安全性・確実性を向上させるロジックを開発する。また、月面環境を模擬するシミュレータを構築し、試験による検証を実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
月面の傾斜や凹凸のある不整地に安全・確実に着陸するには、着陸脚のみの工夫ではなく、着陸脚技術と航法誘導制御技術との融合をはかり、接地時の姿勢と速度を適切に設定して転倒につながる運動を抑えることが有効である。 本研究では、解析的検討として、(1)航法誘導制御系(以下、GNC)において、接地時の姿勢と姿勢角速度を最適にする着陸シーケンスの検討、(2)傾斜・凹凸を吸収する着陸脚の構成の検討、(3)GNCと着陸脚の技術を融合して、不整地に安定に着陸する方式・条件の明確化を進めている。さらに、実験的評価として、モータで探査機モデルの位置を制御することにより、月面の重力下での着陸を模擬するハイブリッドシミュレータを開発し、解析的検討結果の実験的な検証を進めている。 これまでに、解析的検討では、シミュレーション用の簡易モデルを構築し、GNCとの協調の有効性を確認できており、計画通りの進捗である。 一方、実験的評価では、2次元と3次元の2種類の事前検証装置を製作し、簡易評価を実施した。その結果、脚先が月面に接触した瞬間の摩擦の影響が想定以上に大きく、探査機姿勢や角速度の工夫で着地の安定性が向上することを確認できるものの、類似な実験条件でも接地後の運動に大きなばらつきが生じた。ロジック検証の確実性を高めるため、接地時の摩擦のばらつきを抑えるように、着陸脚先モデルの設計にフィードバックを行っている。また、ハイブリッドシミュレータの設計の詳細化を進める中で、機構の一部に見直しが必要な項目が明らかとなった。これらの影響で、23年度中にハイブリッドシミュレータの製造を完了する計画のところ、やや遅れが生じ、現時点ではハイブリッドシミュレータの製造・調整の段階にある。改良点は明確になっており、今後、ハイブリッドシミュレータの製造・調整に注力してスケジュールの挽回をはかり、計画通りの成果を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析的検討では、簡易な探査機モデルを構築してシミュレーションを実施し、GNCとの協調の有効性を確認しており、おおむね計画通りの進捗である。今後、ハイブリッドシミュレータを用いた実験の結果を取り込み、探査機モデルを改良し、解析の詳細化をはかっていく予定である。 実験的評価では、予備試験として、斜面を用いて月面重力を模擬する評価装置(2次元評価装置)での試験と、自由落下を開始する高さの調節により接地時の垂直方向速度を月面での接地と合わせた3次元評価装置での試験を実施した。これらの試験の結果、GNCの工夫で接地時の姿勢と姿勢角速度を適切に設定し着陸の安定性を向上させる効果を確認できたものの、接地の瞬間の脚先と地面との摩擦のばらつきによって「躓く」ような動きが生じるなど、接地後の運動のばらつきが大きくなり、結果の整理が難しくなった。そこで、ハイブリッドシミュレータ用には、脚先の接地点の形状を工夫することを、探査機モデルの設計へのフィードバックとして取り込んだ。具体的には、脚先の形状は、鋭角な接触を避け、丸みを与えてすべりやすくして、極端な摩擦力の発生を防止する見直しを行っており、早期に探査機モデルを完成させる計画である。 また、ハイブリッドシミュレータの設計の詳細化の中で、探査機モデルを上下動させる機構において、水平方向の剛性を高める必要性が確認され、機構の見直し(吊り下げる方式からガイドレールで支持する方式への変更)を進めた。 これらの見直しのため、解析的検討は計画通りに進捗しているものの、実験的評価の方にやや遅れが生じ、23年度中にハイブリッドシミュレータを完成させる計画であったところ、まだ、製造・調整を進めている。ただし、問題点に対する対策も明確になり、設計への取り込みも順調に進んでいるので、今後は製造、調整などの作業を加速し、スケジュールの挽回をはかる。
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Strategy for Future Research Activity |
前項の「現在までの進捗状況」に記載した通り、23年度の検討の結果より、(1)探査機にモデルについて脚先の接地時の摩擦に配慮した形状への見直し、(2)ハイブリッドシミュレータの上下動機構の剛性を高めた方式への見直し、という修正事項があるものの、着陸脚技術とGNCの融合により着陸の安定性向上を目指す研究全体の方針・進め方に大きな変更は発生していない。本年度の研究活動は、ハイブリッドシミュレータの設計・製造の遅れの挽回を進めていくものの、基本的には当初の計画通りに進める。 本年度前半を目標に、(1)(解析的検討)ハイブリッドシミュレータを用いた実験結果を取り込んで、解析用探査機モデルを改修し、着陸シミュレーションの詳細化を実施し、(2)(実験的評価)ハイブリッドシミュレータを早期に完成させて着陸試験を実施する。本年度後半には、(3)(解析的検討と実験的評価の融合)解析とハイブリッドシミュレータ試験の結果を相互ににらみながら解析と試験を進化させ、安全な着陸のための条件の明確化をはかる。 最終的に、年度末に成果のまとめを行う計画である。
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