表面形状の2階微分測定に基づく自由曲面形状計測法に関する研究
Project/Area Number |
23K19106
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0301:Mechanics of materials, production engineering, design engineering, fluid engineering, thermal engineering, mechanical dynamics, robotics, aerospace engineering, marine and maritime engineering, and related fields
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
増田 秀征 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (30982425)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 形状計測 / 自由曲面 / ロータリエンコーダ / オートコリメータ / 自由曲面形状 / Deflectometry |
Outline of Research at the Start |
表面形状の測定手法として、局部傾斜角度測定に基づく手法が注目されている。オートコリメータを用いた装置が多く開発されているが、測定可能な対象は平面または数km程度の曲率半径をもつ極めて平らな曲面に限られている。本研究では、オートコリメータを用いず、自己校正型ロータリエンコーダにより表面の局部傾斜角度を間接的に測定できる新たな角度計測システムを開発する。さらに、形状の2階微分測定を可能とすることで、角度測定に基づく形状測定法を平面から自由曲面測定に拡張する。最終的には、平面から数m程度までの曲率半径をもつ表面形状(自由曲面)を±5nm(世界最高精度)の絶対精度で測定可能なシステムの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、放射光技術の進歩や半導体製造プロセスの発展に伴い、集光ミラーなどの高精度な自由曲面形状光学素子の需要が増加している。原子単位での加工が実現される一方で、その形状を測定・評価する技術は確立されておらず、製造におけるボトルネックになっている。 そこで本研究では、局部傾斜角度測定に基づく表面形状計測手法を発展させ、自己校正型ロータリエンコーダにより局部傾斜角度を間接的に測定し、測定角度範囲を拡大した新たな角度計測システムの開発を行っている。さらに、形状の2階微分に相当する量を測定することで、これまでほぼ平面形状に限定されていた角度測定に基づく形状測定法を自由曲面測定に拡張し、最終的には、平面から数m程度までの曲率半径をもつ自由曲面形状を±5 nm(世界最高精度)の絶対精度で測定可能なシステムの構築を目指している。 初年度においては、直径1 mm程度のレーザビームを測定光として用い物体表面からの反射光の角度変化を回転テーブルによる回転で補償する機構を導入し、表面形状の局部傾斜角度の変化を自己校正型ロータリエンコーダにより間接的に測定できるシステムを開発した。これにより、角度測定のダイナミックレンジを拡大することができる。このシステムを用いて曲率半径4 mのシリンドリカル形状を持つミラーの測定を行った。その結果、通常の局所傾斜角度に基づく測定手法では測定が困難である10000”程度の範囲にわたって、0.4 nm程度の繰り返しで測定が可能であった。この結果は、国際学会(IMEKO 2024 XXIV World Congress, 2024年8月)で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、物体表面からの反射光の角度変化を回転テーブルにより補償する機構の開発を行った。上記機構は、物体表面からの反射光方向が試料表面の局部傾斜角によらず一定となるように、試料を設置する回転テーブルを回転させることで実現される。回転テーブルの角度については、角度の国家標準と共通した測定原理を持つ自己校正型ロータリエンコーダによって高精度に測定される。従来の局部傾斜角度に基づく手法では、測定可能な角度範囲はオートコリメータの測定角度範囲(高精度なものでは1000”程度)に限定されていたが、開発機構においては、反射光方向が一定となるように制御するため、オートコリメータの測定角度範囲に限定されず、より大きな角度ダイナミックレンジでの測定が可能となる。具体的には、本機構では直径1 mm程度のレーザビームを試料に入射させ、試料からの反射光をオートコリメータにより測定し、この情報を用いて回転テーブルの角度を制御している。 このシステムを用いて、まず長さ300 mmの平面試料の測定を行った。この結果、測定の繰り返しは0.65 nm程度であり、平面度の国家標準器であるフィゾー干渉計による測定結果とも数 nmオーダで良好な一致が見られた。よって開発したシステムが高精度に平面測定可能であることが示された。さらに曲率半径4 m、長さ180 mmのシリンドリカル形状を持つシリコンバーミラーの測定が行われた。これは通常の局部傾斜角度に基づく測定手法では測定困難な試料である。開発したシステムでは測定可能であり、測定の繰り返しは0.38 nmと十分な繰り返し性が得られている。以上のように、自己校正型ロータリエンコーダを用いたシステムの基礎的検証が現在までに行われており、計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後についてはまず、開発したシステムの曲面形状測定能力のさらなる評価を行う。回転時の誤差解析や、その他の測定手法との測定結果の比較によりこの評価は行われる。 さらに、形状の2階微分に相当する量を用いた測定システムの開発を行う。一般に、曲面試料を対象とした場合、測定点の走査に伴い測定用レーザビームの光路長が変化するため、検出位置での集光ビーム径や形状が変化し、測定結果に影響を及ぼす。この影響は逐次測定に伴い累積され表面形状測定の系統誤差要因となると考えられるため、平面から自由曲面形状へ拡張する際の大きな課題である。そこで、ビームラインをさらにもう一つ生成することで、表面形状の2階微分(表面の僅かに離れた2点間の微小な角度差)が測定可能な新たな2ビーム光学系を開発する。任意の表面位置における形状の2階微分は、平行にシフトした2本の測定用レーザビームの反射角度差から求める。これによりビーム位置検出の系統誤差を除去できる。2ビームは、新たなペンタミラーを追加し、1 mm程直動ステージで移動することで生成する。さらにレーザビーム間隔は干渉計により高精度に測定できるので、2階微分データから局部傾斜角度(1階微分)が求められ、表面形状が再構成される。 最終的に、二階微分測定と自己校正型ロータリエンコーダによる測定を組み合わせたシステムを構築し、曲面試料を測定することでこの性能の評価を行い、±5nmの絶対精度で測定可能なシステムの構築を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)