Project/Area Number |
23K19117
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0302:Electrical and electronic engineering and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 海斗 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (40975330)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 分布制御 / 大規模システム / 振動子 / 確率システム / 制御理論 / 最適制御 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,多数のシステム(エージェント)から成る超大規模な群を思い通りの分布に,効率よく制御することである.本研究では群の分布を確率分布で表し,確率分布の制御問題として定式化する.特に,群制御で生じうる以下二つの構造を組み入れた,実問題に即した群制御向け確率分布制御手法を確立する. (1)エージェント毎に別々の制御入力を用いることが不可能な場合を考慮し,全てのエージェントで共通の制御入力を用いる制約を取り入れた分布制御手法を構築する. (2)制御信号を通信する際のパケットロス等を考慮するため,確率的に変動するパラメータをもつシステムに対する分布制御手法を提案する.
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Outline of Annual Research Achievements |
大規模なシステム群を所望の分布に制御することを目的として,確率分布の制御問題を検討した.群の大規模性に対応できるスケーラビリティをもつ制御方策を与えるため,群をなすシステム全てで共通の制御入力のみが利用可能な制約のもと,確率分布制御問題を定式化した.神経細胞群などをモデル化できる振動子集団を具体的な制御対象として検討した.本問題では,円周上の振動子分布を表す密度関数が制御対象であり,フォッカー・プランク方程式によって時間発展する.制御目標は,設定された所望分布に振動子分布を収束させることである.本問題の挑戦的な点は,制御の自由度が低いことにより,振動子分布が所望分布に一致する制御が一般に存在しないことである.そこで,所望分布への収束が可能であるか(可到達性)を検討した.振動子モデルの解析で標準的に用いられる平均化法のもとで可到達性を解析,現在も進行中である. また,分布制御において制御の効率性を高めるため,分布の最適制御問題に取り組んだ.分布制御の最適化は,解析的・数値的に困難であるが,エントロピー正則化がその困難性を緩和することを既に課題実施者は明らかにしている.この正則化の効用をより明らかにするため,線形システムと二次形式コストに対する最適分布制御に取り組んだ.結果として最適制御が陽に求まることや,正則化を無くす極限における最適解のふるまいを明らかにした.これらの結果は論文にまとめ,現在査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では,群制御への適用を前提とした分布制御理論を確立することを目標としており,群制御特有の問題構造として重要かつ典型的な制約として,システム全体で共通の制御入力のみが許される設定での分布制御に焦点を当てた.本問題の困難性である「分布の可到達性」を満たす,あるいは近似的に満足するための十分条件を既に導出しており,当初の想定通りの成果が得られたといえる.一方で,本研究でもう一つ焦点を当てる群制御の構造として,システムパラメータが確率的に変動する場合の分布制御問題も検討している.特に線形システムのパラメータがマルコフ連鎖で変動する場合を考え,最適解を得るために解くべき方程式を導出した.しかしその方程式は,パラメータ変動を伴わない線形システムの場合と大きく異なる構造をもち,解析解を導出することが想定以上に困難であることが分かりつつあり,その対応策を検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
システム全体で共通制御入力を用いる分布制御の大きな課題である可到達性の解決の道筋が見えた一方,ここで用いる制御では分布情報が完全に利用可能である状況を想定している.実応用においては,制御にフィードバックする分布情報に誤差が乗ることは不可避であるため,それも考慮した上での可到達性を検討する.また,可到達性が成り立たず,所望分布への完全な収束が不可能な場合でも,どの程度なら所望分布へ群分布を近づけることができるかを定量的に解析する.確率的な変動パラメータをもつシステムの分布制御については,最適制御を解析的に与えることが困難であることが分かったため,本年度導出した解くべき方程式の効率的な数値解法を検討する.半正定値計画問題などの効率的に解ける問題への変換を検討する.
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