Project/Area Number |
23K19140
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0303:Civil engineering, social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安井 碧 京都大学, 工学研究科, 助教 (10981954)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 膜ろ過 / 指標ウイルス / 表面相互作用 / LRV / ウイルス / 物理除去 / 水処理 |
Outline of Research at the Start |
腸管系ウイルスの除去はその高い感染力と水処理における生残性から最重要課題の一つとされている。腸管系ウイルスの水処理システムにおける除去能を評価するために、原水中の豊富に存在するウイルスを代替指標として用いる試みがある。膜ろ過や砂ろ過といった物理除去工程では、ナノサイズのウイルスの除去には表面相互作用が重要な働きをしているとみられ、指標ウイルスの選定の際にも表面相互作用を考慮する必要がある。そこで、本研究では物理除去に表面相互作用の及ぼす影響を評価し、指標ウイルス候補の表面特性測定結果と腸管系ウイルスの表面特性の推定値から、表面特性の点から最も指標ウイルスにふさわしいウイルスを提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では膜ろ過や砂ろ過といった物理的に汚染物質を除去する水処理工程において、ウイルスのようなナノサイズの微小粒子がどのように除去されるのか、表面相互作用の影響を解明し、水処理工程で腸管系ウイルスの除去指標となりうる指標ウイルスの提案を試みている。 これまでの研究において、指標ウイルスとしてトウガラシ微斑ウイルス(PMMoV)およびアイチウイルス(AiV)を選出し、その表面特性を測定するためにウイルス培養と超遠心を用いた精製方法を確立した。PMMoVは植物ウイルスであるため、宿主となる植物の育成から始め、大量培養の手順を整えることに成功した。また、AiVは宿主としてVERO細胞を用い、CO2インキュベータ内で培養する体制を整えた。両者の精製には塩化セシウムによる密度勾配遠心を用いた。これによってこれまで表面特性が不明であった指標ウイルス候補となるウイルスの表面特性を測定することが可能となった。精製したウイルスストック液を用いて、ウイルスのゼータ電位をpHごとに測定したところ、測定を終えたウイルスは中性条件下で負に帯電していることを確認した。荷電状態の面では測定を終えた指標ウイルス候補の間で大きな違いは生じていないと考えられる。 ウイルスの表面特性評価と並行し、膜ろ過試験に用いる膜の表面特性の評価を試みた。測定に用いる膜としてPVDF素材の平膜を選出し、そのゼータ電位をpHごとに測定し、中性条件下では負に帯電していることを確認した。この膜と候補となるウイルスの組み合わせでは中性条件下でのろ過時に静電反発が生じることが推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度ではウイルスの表面特性測定を終えている予定であったが、培養法の確立に時間がかかり、ゼータ電位測定のみしか行うことができなかった。当初はウイルスの疎水性評価まで終えている予定であったため、遅れていると判断した。一方で、2024年度に実施する予定であった膜のゼータ電位測定を本年度に行うことができた。また、ウイルスの疎水性評価および膜ろ過試験による除去率評価に向けた準備はすでに進めており、大幅な遅れではないと判断した。 これらの理由から、本研究は当初の予定からはやや遅れているものの、計画期間内に終えることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はまず指標ウイルス候補の表面特性測定を終えるべく、測定試料の準備を進める。残りのウイルスおよび実験条件におけるゼータ電位測定の他に接触角測定結果を用いた疎水性評価を行う予定であり、接触角の測定は東京大学にて装置をお借りすることを打診済みである。また、ゼータ電位測定を終えた膜の接触角測定も同様に実施する予定である。 物理除去試験として膜ろ過試験を実施する。いくつかの平膜・中空糸膜を選定し、指標ウイルスを添加した原水を用いて、膜ろ過前後のウイルス濃度を比較することでその除去率を評価する。膜とウイルス間に生じる表面相互作用を拡張DLVOモデルにより算出し、ウイルス除去率と比較することでその影響を評価する。拡張DLVOモデルとは静電相互作用と親水・疎水性相互作用を相加的に評価できるモデルであり、過去の研究にて構築し、使用したものである。本研究においてもデータが出そろえば本モデルの適用が可能である。
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