Project/Area Number |
23K19152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0303:Civil engineering, social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
水谷 壮志 関西大学, 環境都市工学部, 助教 (30981568)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | CFRP / 接着接合 / 鋼管部材 / せん断遅れ理論 / 設計 / 接着 / 補修・補強 |
Outline of Research at the Start |
鋼管柱基部や鋼管リブ接合箇所の腐食損傷や疲労き裂は,構造物の倒壊などの重大な事故につながる可能性がある.本研究では,鋼管部材の補修・補強において,部分的にCFRPが接着された鋼管を対象として,設計方法の確立を目的とする.鋼管部材にCFRPを接着した際の理論的な検討は少なく汎用的な設計方法が確立されていない.また,鋼管の部分的にCFRPを接着した際の理論解析は国内外を問わず検討されていない.本研究では,せん断遅れ理論により力の伝達を評価して,理論的根拠に基づく設計式を提案する.理論解析は有限要素解析および載荷試験により検証する.さらに,劣化損傷やリブを有する実構造に近いモデルについても検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
鋼管柱基部や鋼管リブ接合箇所の腐食損傷や疲労き裂は,構造物の倒壊などの重大な事故につながる可能性がある.本研究では,部分的に炭素繊維強化樹脂(CFRP)が接着された鋼管を対象に,設計方法の確立を目的としている.標識柱などのようにリブを有する鋼管構造では,CFRPを分割して接着する必要があるが,このような構造に対するCFRP接着補修・補強方法は確立されていない.2023年度は,鋼管部材へ部分的にCFRPを接着したモデルを対象に理論解析および載荷試験を実施した.このモデルは基本的な構造として,リブの無い単純な鋼管とした. CFRP接着鋼管では,接着剤を介して鋼管からCFRPへ力が伝達される.そのため,理論解析には接着剤による力の伝達を評価できるせん断遅れ理論を用いた.理論解析では,外力として軸力または曲げモーメントが作用する場合に対して,鋼管およびCFRPの断面力および接着剤に生じるせん断応力の算出式を導出した.さらに,理論解析の結果を用いて,CFRP接着補強・補修の設計に必要なパラメータの算出式を提案した. 載荷試験は理論解析と荷重の条件が一致するように一軸圧縮試験および4点曲げ試験とした.試験体には,ひずみゲージを貼付し,載荷荷重とひずみの関係を計測し,載荷試験と理論解析との差異を分析した.載荷試験のひずみゲージによる実験値と理論解析から求めたひずみは傾向が一致した.4点曲げ試験によるCFRPのはく離の観察から,CFRP端部のはく離が曲げモーメントにより引張を受ける側で生じることが確認された.これらの成果は,国内での学術発表を予定している. 今後は,CFRP接着鋼管のはく離試験,CFRP接着鋼管の片持ち梁に対する理論解析,リブを有する鋼管に対するCFRP接着補修・補強の設計について検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は,基礎的なモデルとしてリブの無い単純な鋼管にCFRPを接着したモデルを対象として研究を遂行した.一部の載荷試験については,試験体製作の影響で実施を次年度に見送ったが,理論解析に注力することができた.そのため,研究内容は順調に進んでいる.本年度の研究成果は,日本鋼構造協会の「鋼構造シンポジウム2024」に投稿中である.以下に本年度の進捗について記載する. 理論解析には接着剤による力の伝達を評価できるせん断遅れ理論を用いた.理論解析では,外力として軸力または曲げモーメントが作用する場合に対して,鋼管およびCFRPの断面力および接着剤に生じるせん断応力の算出式を導出した.理論解析の妥当性は有限要素解析により確認し,両者が一致していることを確認した.理論解析の結果を用いて,CFRP接着補強・補修の設計に必要なパラメータの算出式を提案した.今後,鋼管およびCFRPのせん断力の影響を追加することで,実構造に近い力学条件への適用が可能となる. 載荷試験は理論解析と荷重の条件が一致するように一軸圧縮試験および4点曲げ試験とした.試験体には,ひずみゲージを貼付し,載荷荷重とひずみの関係を計測し,載荷試験と理論解析との差異を分析した.載荷試験のひずみゲージによる実験値と理論解析から求めたひずみは傾向が一致した.ただし,一部の結果は誤差が生じた.試験体へのCFRP接着は手作業で行っており,均一ではないことによるためだと考えられる.4点曲げ試験によるCFRPのはく離の観察から,CFRP端部のはく離が曲げモーメントにより引張を受ける側で生じることが確認された.この結果は有限要素解析から得られるエネルギー解放率の傾向からも推察されており,載荷試験により妥当性が確認できた.今後,リブを有する鋼管に対しても載荷試験を実施し,リブの有無による影響を確認する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,CFRP接着鋼管のはく離試験,CFRP接着鋼管の片持ち梁に対する理論解析,リブを有する鋼管に対するCFRP接着補修・補強の設計について検討する. CFRP接着鋼管のはく離試験では,エネルギー解放率のはく離指標により,実構造の照査へ適用できるかどうか確認する.はく離強度の誤差について分析するために,試験体を小型として,試験数を増やす.また,強度試験として実施が容易な曲げ試験とする.得られた強度試験の結果は,実構造物を想定した試験体と比較することで,スケールによる影響を分析する. 片持ち梁に対する理論解析は標識柱のような実構造物の荷重条件を模擬し,せん断遅れ理論を適用する.これまでの理論解析に,鋼管およびCFRPのせん断力を加えて理論を拡張する.また,必要に応じて接着剤の垂直応力についても追加を検討する.理論解析による断面力の導出が完了すれば,CFRP接着補修・補強の設計に必要な定着長やエネルギー解放率のパラメータについて分析する. リブを有する鋼管に対するCFRP接着補修・補強の設計は本研究の最終段階である.有限要素解析を用いて実構造に近いモデルを作成する.これまで導出してきた定着長やエネルギー解放率を用いて,CFRPの補修・補強量の設計およびはく離を防止するための設計を確認する.さらに,実際にリブを有する鋼管にCFRPを接着した試験体の載荷試験を実施して,CFRP接着による補修・補強効果を確認し,設計式の妥当性を確認する.
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