高濃度ドープによる面内ヘテロ型二次元トンネルトランジスタの開発
Project/Area Number |
23K19193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0402:Nano/micro science, applied condensed matter physics, applied physics and engineering, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小倉 宏斗 東北大学, 工学研究科, 助教 (60983327)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 遷移金属ダイカルコゲナイド / 元素置換 / トンネルトランジスタ / ヘテロ接合 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、二次元半導体の面内ヘテロ接合による高性能トンネルトランジスタの実現を目指す。申請者は、高濃度にキャリアドープした層状半導体の多層結晶による面内ヘテロ接合を作製し、接合界面におけるトンネル電流の実証に世界で初めて成功した。本研究では、ゲート電圧によるスイッチング動作の制御性に優れた単層膜に焦点を当て、高濃度ドープおよびヘテロ接合の作製を行い、面内ヘテロ型のトンネルFETの高性能化を目指す。これにより、将来の超低消費電力デバイスの実現に向けた研究基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
原子層半導体である遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)を、トンネルトランジスタ等の電子デバイス応用に繋げていくことは、電子情報デバイスの益々の低消費電力化が望まれる近年において、非常に重要な課題となっている。このようなデバイス応用に向け、TMDに対する電子状態制御やキャリアドープを行う上で、元素置換が重要な役割を担っている。令和5年度は、元素置換手法として、TMDの上面のカルコゲン原子のみを別原子に置換することを考えた。特に、本研究では、WSe2の上面のSe原子のみをS原子に置換した、WSeS結晶に着目し、研究を進めた。SiO2/Si基板上に機械的に剥離した単層WSe2に対し、室温下での水素プラズマ処理を行うことで、上面のSe原子がS原子に置換され、WSeSが作製されることを確かめた。また、デバイス作製および元素置換ドーピング手法の開発に向け、当該WSeS結晶の真空下での熱的安定性についても検証した。この熱的安定性の評価において、所属研究室独自のその場観測装置を用いることで、WSeSの加熱時におけるフォトルミネッセンス(PL)スペクトルをリアルタイムで測定した。この結果、300℃近傍でPLピークの著しい減衰が見られたことから、300℃以上において、WSeS上面のS原子が脱離すると考えられる。以上の結果は、置換ドーピングされたTMD結晶の電子デバイス化や、新規な元素置換手法の開発に繋げていく上で、重要な知見を提供する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
元素置換の一環として、TMDの上面カルコゲン原子を置換することに着目し、TMD系における元素の置換・脱離に関する知見を得ることに成功した。これは、原子層半導体の電子状態制御および置換型ドーピング手法の開発に繋げていく上での基盤になると考えられ、ナノ材料の低消費電力デバイス応用を推進する本研究において、重要な成果である。このことから、研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、プラズマ処理によるカルコゲン原子の置換および、WSeS結晶の高温下でのカルコゲン原子の脱離について調査した。今後は、プラズマ処理と加熱処理を併用し、より高濃度に置換ドーピングされたTMD結晶の作製に挑戦する。作製した結晶に対し電極作製およびデバイス測定を行い、キャリアタイプやキャリア濃度を算出する。また、当初の計画にあった面内ヘテロ接合の作製も行い、トンネルFET動作の検証を目指していく。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)