Project/Area Number |
23K19228
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0403:Biomedical engineering and related fields
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
齋藤 圭太 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主任技術員 (20375190)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 超偏極MRI / ラパマイシン / LDH活性 |
Outline of Research at the Start |
超偏極は化合物のNMRシグナルを数万倍に増幅させる技術で、超偏極した13C標識化合物を生体に投与してMRIで撮像することにより、化合物の代謝をin vivoでモニターすることが可能になる。本研究では超偏極した13C標識ピルビン酸を担癌マウスに投与し、腫瘍内で代謝されて生成する乳酸を測定し、この乳酸の生成を指標としてラパマイシンの効果をin vivoで評価する。次に近年報告されたAPN活性を測定するための13C標識化合物を用いて腫瘍内のAPN活性を測定し、腫瘍の成長・血管新生・血流とAPN活性の相関を明らかにする。また、APN活性がラパマイシンの抗血管新生作用の指標となり得るかを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
扁平上皮細胞癌(SCC)をマウス右足に接種して担癌マウスを作成し、腫瘍のサイズをMRIを用いて測定した。ラパマイシン投与群と非投与群で腫瘍の成長を比較した結果、ラパマイシン投与群で有意に腫瘍の成長が抑制された。これにより、ラパマイシンがこの腫瘍の治療として有効であることが確認できた。 担癌マウス計測用のコイルとパルスシークエンスのテストを行い、担癌マウスの超偏極13C-MRI計測ができる環境を整えた。また、超偏極した13C標識ピルビン酸とその代謝物である乳酸を短時間で連続撮像するためのパラメーターの最適化を行った。これにより、超偏極13Cピルビン酸をマウスに投与した後の腫瘍内におけるピルビン酸の分布及び代謝を時間を追って計測することに成功した。 SCC担癌マウスに超偏極13Cピルビン酸を投与して撮像した結果、正常組織に比べて腫瘍内で乳酸への代謝が多く見られた。また、ラパマイシン投与群と非投与群を撮像した結果、非投与群では腫瘍の成長とともに乳酸の生成も増加したのに対し、ラパマイシン投与群では投与前に比べて投与後で有意に乳酸の生成が減少し、ラパマイシンのピルビン酸代謝への影響をin vivoで評価することに成功した。また、摘出した腫瘍中の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のタンパク量をウエスタンブロッティングで測定し、ラパマイシン投与群でLDHが有意に減少することを明らかにした。これにより、超偏極13C-MRIで見られた乳酸生成の減少はLDH活性の減少が原因の一つであることを明らかにした。 また、超偏極13Cピルビン酸をSCC培養細胞に加えてその代謝をNMRを用いて測定する系を構築した。これにより、MRIでのin vivoでの担癌マウスの測定結果とNMRでの培養細胞の測定結果を比較できるようになり、ラパマイシンの腫瘍抑制・ピルビン酸代謝抑制のメカニズムの解明に役立つと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究室ではすでにMRI装置や超偏極装置などが導入されており、研究に必要な装置・器具は一通りそろっていたため、スムーズに実験を開始することができた。超偏極装置を使用できる時間の割り当てが限られていることと、装置の不具合により超偏極の実験ができない期間もあったが、その期間はMRIパラメーターの最適化、細胞実験や摘出した腫瘍を用いた実験を行い、装置が使用できた期間に集中的に超偏極実験を行ったことで、当初予定していた超偏極13C-MRI計測の最適化と超偏極13Cピルビン酸をプローブとしたSCC担癌マウスでのin vivoでのLDH活性の測定、腫瘍の成長とLDH活性へのラパマイシンの効果の評価はおおむね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き超偏極13Cピルビン酸をプローブとしたSCC担癌マウスでのLDH活性の評価を行う。ラパマイシンの投与量と投与期間を変えて測定し、LDH活性減少効果との相関を調べる。また、ピルビン酸の取り込みや腫瘍内の血流へのラパマイシンの効果を調べ、乳酸生成減少のメカニズムをより詳細に解明する。 また、当初の研究計画通り、超偏極13C-MRIを用いたアミノペプチダーゼN (APN)活性のin vivoでの評価及びラパマイシンのAPN活性への影響を調べる。初めにAPN活性測定用13Cプローブ(APNプローブ)の偏極条件の検討を行う。次に超偏極したAPNプローブを担癌マウスに投与し、13C-MRIで撮像して腫瘍内での代謝を測定し、腫瘍の成長とAPN活性の関係を調べる。また、APN活性が腫瘍の血管新生のマーカーになるか検証するため、鉄造影剤及びガドリニウムを用いた1H-MRIにより腫瘍内の血管・血流を測定してAPN活性との関連を調べ、さらに腫瘍を摘出して免疫染色・ウエスタンブロッティングでAPNタンパクその他の血管マーカーを調べ、in vivoでのAPN活性と比較する。また、ラパマイシンを投与した担癌マウスを計測し、腫瘍のAPN活性へのラパマイシンの効果を in vivoで明らかにし、APNプローブが治療効果の指標となり得るかを検討する。
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