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結晶中の分子間相互作用がもたらす結晶物性の制御およびそのメカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 23K19255
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section 0501:Physical chemistry, functional solid state chemistry, organic chemistry, polymers, organic materials, biomolecular chemistry, and related fields
Research InstitutionToho University

Principal Investigator

吉川 晶子  東邦大学, 薬学部, 講師 (30625017)

Project Period (FY) 2023-08-31 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywords有機結晶 / 単結晶X線構造解析 / 分子間相互作用 / 不斉結晶化 / 結晶多形 / 塑性・弾性
Outline of Research at the Start

結晶とは,原子や分子が,周期的に長距離秩序をもって並んだ固体であり,その秩序立った,ある種超分子的な構造の結果,分子や原子単体にはなかった「結晶特有の性質」を獲得することがある.この「特有の性質」である,例えば色(蛍光色含む)や,外部刺激への応答性は,結晶中での分子の並び方によって異なる.本課題では,分子が溶液中で結晶核となって結晶へと成長する際に,まず分子同士を集合させる強制力として,分子間相互作用が働くことに着目した.「結晶特有の性質」としてキラリティや結晶の多形性に焦点を当て,これらと結晶中での分子間相互作用との関連性を調査することで,機能性結晶の効率的創生を目指す.

Outline of Annual Research Achievements

本課題では,分子間相互作用によって分子が集合した結果として得られる,「結晶特有の性質」の探索・制御を目指している.まず例として(1)キラリティの制御や(2)結晶の多形性に焦点を当てて研究を進め,同じコンセプトの中での新たな機能性探索として(3)物理的な応力に応じて曲がる結晶,についても知見を得た.
まず(1)キラリティの制御については,以前にスルホンアミド類縁体に対して考案した「分子間相互作用が分子を対称/非対称に並べる頻度」を示す評価軸を,アミド類縁体に対しても適用した.まず軸不斉を有する,ブロモ環状アミドを新規に合成し,そのキラル結晶・ラセミ結晶を作り分けた.そして結晶構造解析から,臭素に関連する相互作用が,キラリティに大きな影響を与えるとの示唆を得た.そこで,ブロモを有する既知のアミド類縁体(362結晶) に対して,キラリティを評価したところ,ブロモ-酸素相互作用について前述の評価軸が適用できた.よって,評価軸に一般性があることを明らかにできた.また,(2)結晶の多形性については,ベンジル基を有するキノリンスルホンアミドについて,新たな2個の多形を発見し,合計7個の結晶多形を得ることができた(申請時点は5個).現在,異なる相互作用を生じうる置換基を有する化合物を約30種類合成し,その多形性を比較している.(3)については,比較的強い相互作用(水素結合)と,弱い相互作用を生じる置換基(ハロゲン,アルキル基)を組み合わせたスルホンアミドが物理的刺激によって曲がることを見出した.ハロゲン結合の強さを制御することで,塑性と弾性の切り替えが可能であった.
以上のように,分子間相互作用に着目した結晶構築により,3種類の結晶物性(結晶のキラリティ,多形性,曲がり性)に対する新たな知見を得ることができた.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

当初の計画で,申請書に記載した内容はおおむね達成できた.(1)キラリティについては,結晶化にキラリティの獲得について,評価軸の一般性を確認でき,論文作成の最終段階まで進行している.(2)多形性については,研究室独自の結晶化条件スクリーニングを続けることで,新たな結晶多形を得ることができた.さらに,(3)予定にはなかった曲がる結晶については,F, Cl, Br, Iを有し,それぞれ3種類ずつ置換位置の異なるハロゲン化スルホンアミド(合計12種類)の比較により,フッ素体のみが塑性・弾性両方を示すこと,塩素,臭素,ヨウ素体は弾性挙動を示すこと,を明らかにでき,さらにこの結果に対して,計算科学を用いることで,分子間において比較的遠くまで働くクーロン力の大小と,曲がり性が相関していることも見出した.
計画全体のなかでの進捗率としては,(1)は概ね予定の範囲である.(2)は新しい多形が一定期間内で得られるかどうかについては運の要素があったが,多形が得られ,また新たなテーマ(3)が進行したことで,当初の予定よりが進展していると言える.

Strategy for Future Research Activity

令和6年度は,まずほとんどデータが補完できた(1)(3)のテーマについては,成果をとりまとめ,学会発表および学術論文等で成果発表を行う.また,(1)のテーマについては,ケンブリッジ結晶構造データベースからプログラムを用いて大規模解析を行うことで,結晶化におけるキラリティ獲得についての評価をより一般化させたいと考えている.
(2)のテーマについては,無溶媒で7個の多形を与える化合物は非常に珍しいため,この原因を究明すべく,置換基を変更した化合物を約30種類合成し,同様結晶化条件スクリーニングによって多形性を確認しているところである.多形性の確認に時間がかかるため,引き続きデータを補完しながら,予備的実験によって得られたMD計算のデータも用いて,分子間に働く相互作用と多形性について理解を深めることとする.

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] 7個の結晶多形を有するキノリンスルホンアミドに関する構造研究2024

    • Author(s)
      ○吉川 晶子・大德 洋樹・平田 晃大・氷川 英正・東屋 功
    • Organizer
      日本薬学会第144年会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 結晶中における分子間相互作用に着目したアキラルなスルホンアミド分子の不斉結晶化メカニズムの解明2023

    • Author(s)
      ○吉川 晶子・氷川 英正・東屋 功
    • Organizer
      第31回有機結晶シンポジウム
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 芳香族スルホンアミドの結晶が示す塑性に関する研究2023

    • Author(s)
      ○遠田知克・吉川晶子・氷川英正・東屋功
    • Organizer
      第31回有機結晶シンポジウム
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-09-11   Modified: 2024-12-25  

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