Project/Area Number |
23K19260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0502:Inorganic/coordination chemistry, analytical chemistry, inorganic materials chemistry, energy-related chemistry, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 実奈 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (60982890)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 光電気化学 / 紫外線照射 / 固体酸化物形セル / 電極反応 / 欠陥化学 |
Outline of Research at the Start |
固体酸化物形燃料電池 (SOFC) や高温水蒸気電解セル (SOEC) に代表される固体酸化物形の高温電気化学デバイス (SOC) では、電極での表面交換反応および拡散反応の促進が課題である。本研究は、SOC電極材料の高温・紫外線照射下での欠陥化学の変化および電極性能の調査を目的とする。具体的には、モデル電極として百nm 程度の膜厚の緻密な空気極薄膜をパルスレーザー蒸着 により電解質上に成膜し、紫外線照射有/無条件下で交流インピーダンス測定を行う。等価回路解析により抵抗成分分離を行い、紫外線照射の有無による各抵抗成分および化学容量変化を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高温で固体酸化物系セルへ紫外線を照射した際の応答に着目している。本年度は、実験環境の構築、セリア系電解質を用いた電気化学測定および再現性確保のための条件最適化を行った。 環境構築は、紫外線を透過する石英でチャンバーを作成し、光照射窓を設けた炉に差し込むことで、高温で安定した光照射が行えるようになった。 測定試料は、市販および液相法で得られた粉末を圧粉・成形・焼結させた緻密ペレットを鏡面研磨し、光照射面に電子伝導体Ptや混合導電体(La,Sr)CoO3-δを物理蒸着により堆積させ、非照射面には集電体としてPtやスパッタ蒸着またはPtペースト塗布を施したものを用いた。ペレット両面に集電メッシュを押し当て、片面への紫外線照射時/非照射時の開回路電圧経時変化を測定した。いずれの試料でも、室温から200℃程度の低温域ではノイズが大きく、これは大きなバルク抵抗によると考えた。250℃から450℃程度までは、非照射状態で0mVの開回路電圧が得られ、光照射による電圧上昇と、照射停止による初期電圧までの減少が生じた。応答速度から2つ以上の反応を含むと考えた。速い応答は高温ほど小さくなることから、電子-正孔対生成および再結合に関連したショットキー接合によるものと考察した。一方、遅い応答では、光照射および停止から定常状態になるまでの緩和時間に特異的な関係が確認された。交流インピーダンスで光照射による低周波抵抗成分の減少が確認されており、成分は特定できていないが、光照射による抵抗減少が生じていることが確認された。 当初は材料種や電極種の影響評価を予定していたが、個体差が確認されたため、再現性の確立を目指した。起電力の再現は達成できていないが、水蒸気分圧制御や電極形状・厚さの工夫により光照射応答は安定して確認できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験環境の構築は当初の予定通り遂行できたが、個体差や同一試料内での再現性という課題に直面したため、電解質や電極種類による比較が困難になり、試行回数に対して振ることができるパラメータが少なくなってしまったため、当初の予定よりもやや遅れている。しかし、再現性確立のために実施した電極形状や厚さの検討によりイオン伝導体特有の起電力の有無には三相界面の存在が重要であることと示唆され、起電力の起源解明や光照射が電極反応に与える影響を考える上で必要な、新たな観点を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、個体差や再現性によりサンプル間比較が困難であるという課題に対し、これまで見出してきたパラメータ制御および表面処理を行いて再現性確立を目指す。また、低温での測定を可能にしたり厚さの影響を検討したりするため、薄膜試料を用いた開回路電圧測定を行う。さらに、電解質ではなく電極への光照射の影響を切り分けた検討を可能にするため、ジルコニア系電解質に対してPtや混合伝導体 (紫外線吸収をする材料) を集電体として蒸着し、光照射時の電気化学測定を行う予定である。
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