Elucidation of the interaction between cellulose crystals and water molecules
Project/Area Number |
23K19305
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0603:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
王 ハン 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (40978946)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | テラヘルツ時間領域分光法 / THz-TDS / 水 / セルロース / 木材 / ボールミル |
Outline of Research at the Start |
遠赤外線領域のテラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)を用いて、セルロース結晶領域と水分子の相互作用メカニズムを解明し、セルロース結晶と水分子相互作用が細胞壁の力学特性に与える影響を定量化する。 THzは低周波振動からセルロース結晶(量、構造、空間分布)と水分子の情報を同時に把握できるため、これらの成分および相互作用が細胞壁力学特性に与える影響を定量化できる。マクロ分子スケールでセルロース結晶と水分子の結合および解離メカニズムを解明し、微視的成分の含有量/状態などが細胞壁構造の力学的性能に与える影響を定量化する。植物生理学や材料科学などの分野の研究に新しい手法を提供することを挑戦する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、THz時間領域分光法(THz-TDS)が水分子およびセルロース結晶構造に対して良好な応答特性を持つことを利用して、セルロース結晶構造中の水分子とセルロースの相互作用、および水分子の含有量がセルロース結晶の力学特性に与える影響を探究することである。
2023年度には、無水条件下でのセルロースの力学特性を把握するため、セルロース結晶I、セルロース結晶II、およびセルロースIからセルロースIIへの転化状態にある膨潤セルロースなどの様々なセルロース試料について、乾燥条件下で異なる時間ボールミル処理を行い、その結晶構造を異なる程度で破壊した。その後、THzスペクトルおよびX線回折チャートを測定し、その結晶構造変化後の性質を分析した。その結果、今まで基準とされたX線回折法によって、セルロースIからセルロースIIへの転化状態にある膨潤セルロースはボールミル後に微小なX線回折チャート変化だけを確認できた。一方、THzスペクトルによって膨潤セルロース中のセルロースIとセルロースIIそれぞれの特徴吸収が明らかに変化し、ボールミル処理によって結晶構造が変化することを確認した。セルロースIの含量が減少し、セルロースIIの含量が増加することが確認された。つまり、乾燥条件下で単にボールミル処理を行うだけで膨潤セルロースの結晶構造を変化させることができ、この結晶構造の変化は初めてTHzスペクトルによって確認された。 これらが円滑に進捗しているため、次年度からは様々な含水率状態にあるセルロースおよび木材の結晶性評価およびその力学特性を把握することに挑戦する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023-2024年度の目標は、異なる含水率条件下でのセルロース結晶構造と水分子の相互作用関係の変化を確認することであった。2023年度には、異なる含水率条件下でのさまざまなセルロースのTHzスペクトル測定を完了し、含水率変化によるTHzスペクトル変化を確認した。また、乾燥条件下でボールミル処理された膨潤セルロースがセルロース結晶構造の変化を引き起こすことをTHz-TDSによって初めて確認した。今まで基準とされるX線回折法で確認しにくい微小な結晶の構造変化は、THz領域でセルロースIとセルロースIIそれぞれ特徴的な吸収および変化として明確に確認できた。10%水酸化ナトリウム処理によって得られた膨潤セルロースでは、乾燥条件下でボールミルすることによって、セルロースIの成分は減少し、セルロースIIの成分は増加した。これらの結果は整理され、論文として発表された。無水条件下でのセルロース結晶の物理的破壊により構造変化を確認した上に、今後は含水率を変化させ、また構造と力学特性を確認する予定である。そのため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の結果に基づき、今後の実験では異なる含水率条件下でのセルロースをボールミルし、さらにその構造変化を確認する。確認した結果によって、結晶構造変化に最も早い含水率条件を確認できると考えられる。そしてTHz-TDSによって、セルロース結晶の力学特性変化をさらに調査する予定である。そのため、新しいセルロース結晶粉末および木材薄片試料を準備し、異なる含水率条件下で力学的引張試験を実施するとともに、THzスペクトルおよびx線回折チャートを同時に測定する。これにより、THz-TDSを用いて、セルロース結晶構造を有する材料が異なる含水率条件下、すなわち水分子の存在量がセルロース結晶材料の力学特性にどのように影響するか、および水分子とセルロース結晶構造の相互作用モードを明らかにすることを目的とする。この研究は、セルロース材料(例えば木材や植物細胞壁)の研究に新しい方法とその理論的根拠を提供することを目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)