Project/Area Number |
23K19342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0701:Biology at molecular to cellular levels, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 桂成 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (40983929)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | チャネルロドプシン / 振動分光 / ダイナミクス / 時間分解分光 |
Outline of Research at the Start |
チャネルロドプシン(ChR)は光受容イオンチャネルとして機能し、光遺伝学の中心的なツールとして注目されている。しかし、チャネル開閉メカニズムはほとんど明らかになっていない。そのため、イオン輸送特性の改良が進まず、光遺伝学の適用範囲は限定されている。開閉メカニズムの解明には、ChRの構造情報が欠かせない。そこで、光遺伝学への応用に適したChRの開閉メカニズムを、その構造変化を明らかにすることで解明する。メカニズム解明により、ChRに関する基礎的な理解が深まるだけでなく、輸送特性改良に向けた指針も得られる。
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Outline of Annual Research Achievements |
チャネルロドプシン(ChR)は、7本の膜貫通ヘリックスと発色団であるレチナールを有する光受容イオンチャネルである。ChRは、光により神経細胞の興奮状態を操作する光遺伝学の中心的なツールであり、神経科学や脳神経疾患の治療法開発に欠かせない。しかし光遺伝学の発展に反して、ChRのチャネル開閉メカニズムは未解明である。そのため、イオン輸送量や透過イオン選択性の改良が進まず、光遺伝学の適応範囲は限定されている。 開閉メカニズムの解明には、構造情報が欠かせない。ChRの構造測定には、X線結晶構造解析が主として用いられてきた。しかし、結晶化に伴うタンパク質のパッキングにより、最も重要なチャネル開口時や、それ以降における構造を測定することはできていない。そこで私は、結晶化が不要で生理的な環境に近い条件下で構造変化を測定できる振動分光法に注目してきた。 2023年度は、陽イオンの輸送量が多く、光遺伝学への応用に適したChRであるChRmineや、陰イオンを輸送するGtACR1を対象に、時間分解共鳴ラマン測定を行った。その結果、これらChRにおけるイオン輸送経路や、レチナールの構造変化がチャネル開閉にどのように寄与しているのかを明らかにすることに成功した。 その一方で、一価の陽イオンのみを輸送するなど、イオン選択性に関するメカニズムには未解明な点が多い。イオン選択性を生み出すメカニズムを明らかにすることで、例えば光遺伝学で従来用いられてきたChRに対してイオン選択性を新たに付与するための指針を得られれば、光遺伝学による細胞活動操作により多くの自由度を与えることができると見込まれる。 そこで今後は、一価の陽イオンのみを輸送するChRを対象とし、その構造変化を振動分光法を用いて明らかにすることで、イオン選択性を生み出すメカニズムを解明することを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに陽イオンの輸送量が多く、光遺伝学への応用に適したChRであるChRmineや、陰イオンを輸送するGtACR1を対象に、時間分解共鳴ラマン測定を行った。その結果、これらChRにおけるイオン輸送経路や、レチナールの構造変化がチャネル開閉にどのように寄与しているのかを明らかにすることに成功した。これらは、ChRにおけるチャネル開閉メカニズムの解明に貢献するだけでなく、より輸送性能の優れたChRの設計・開発にも繋がる。上記の見解より、本研究課題の進捗状況として概ね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究より、ChRにおけるイオン輸送経路の位置やチャネル開閉の駆動力に関する知見は得られつつある。その一方で、一価の陽イオンのみを輸送するなど、イオン選択性に関するメカニズムには未解明な点が多い。イオン選択性を生み出すメカニズムを明らかにすることで、例えば光遺伝学で従来用いられてきたChRに対してイオン選択性を新たに付与するための指針を得られれば、光遺伝学による細胞活動操作により多くの自由度を与えることができると見込まれる。 そこで今後は、イオン選択性を有するChRを対象とし、その構造変化を振動分光法を用いて明らかにすることで、イオン選択性を生み出すメカニズムを解明することを計画している。
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