Project/Area Number |
23K19362
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0702:Biology at cellular to organismal levels, and related fields
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秦 有輝 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (20984248)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 発生進化 / 植物幹細胞 / ヒメツリガネゴケ / 植物ホルモン / タンパク質局在制御 |
Outline of Research at the Start |
植物は分裂組織(メリステム)に未分化な幹細胞を維持しており、幹細胞から新たな器官や組織を次々に分化させることで成長する。しかし、幹細胞を維持する仕組みがどのように進化してきたのかはよくわかっていない。これまでに転写後調節によってPpTAW2タンパク質が除去されることがコケ植物の原始的幹細胞の維持に重要であることがわかってきた。本研究では、この幹細胞で起こるPpTAW2の転写後調節の分子機構を明らかにする。本研究は植物において幹細胞性を維持する仕組みの原型に迫るものであり、様々な植物の育種や組織培養技術などに応用可能な知見が得られる。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物は茎頂分裂組織に様々な組織や器官を生み出す能力をもつ多能性幹細胞を維持している。多能性幹細胞の維持に関わる分子メカニズムは被子植物を中心に詳しく研究されてきたが、それがどのように進化してきたのかは不明である。コケ植物は複数の幹細胞を含む被子植物と異なり、茎頂分裂組織にただ一つの幹細胞をもつ。この特徴はシダ植物などの他の原始的陸上植物と共通する特徴であり、原始的な形質であると考えられている。そこで本研究では、モデルコケ植物であるヒメツリガネゴケを用いてコケ植物茎頂メリステムの幹細胞に着目した解析を行った。これまでにコケ植物において幹細胞形成を促進する植物ホルモンであるサイトカイニンが分化促進因子であるPpTAW2の局在を転写非依存的に抑制することがわかった。そこで、ヒメツリガネゴケにおいてサイトカイニンの局在を明らかにするためにサイトカイニンレポーター株(TCSv2)の確立を試みた。TCSv2導入株において、レポーター遺伝子の発現がサイトカイニン処理に迅速に応答し、オーキシンなどの他のホルモンに応答しないことを確かめた。これを用いてサイトカイニンシグナルの局在パターンの詳細な解析を行ったところ、茎頂メリステムにおいて幹細胞特異的に強いサイトカイニンシグナルが局在すること、また茎頂メリステム形成のタイミングに伴って植物体のサイトカイニンシグナルが上昇することなどが明らかになった。幹細胞特異的なサイトカイニンの局在は、PpTAW2の局在と排他的な関係にある。したがって、サイトカイニンが幹細胞からのPpTAW2の除去を担う因子の一つであることが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サイトカイニンがPpTAW2の局在と排他的パターンを示すことが明確になったことからPpTAW2のタンパク質局在制御の実動因子はサイトカイニンの下流にあると考えられ、本研究計画の目的の達成に向けて大きく前進した。サイトカイニン応答性の遺伝子を網羅的に明らかにするRNA-seq解析も実施し、先行していたヒメツリガネゴケ茎頂メリステムのsingle cell RNA-seqデータと組み合わせることで幹細胞特異的に発現するサイトカイニン下流因子のリストも得られている。これらのうちのいくつかはすでにゲノム編集を利用した機能解析実験を開始している。一方で、PpTAW2タンパク質のドメインのうち局在制御に重要な部位を同定する実験では形質転換体の成長が強く抑制されてしまい解析が困難であることが判明した。サイトカイニンによるPpTAW2の局在制御についての研究成果を含む論文をプレプリントサーバーに公開した。
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Strategy for Future Research Activity |
サイトカイニンによるPpTAW2の局在制御についての研究成果を含む論文を国際誌に投稿する。また今後は幹細胞で発現し、サイトカイニンに応答する因子の機能解析を中心に実験を進め、これらとPpTAW2タンパク質の局在制御との関係性を明らかにする。
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