Project/Area Number |
23K19382
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0703:Biology at organismal to population levels and anthropology, and related fields
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
宇田川 澄生 お茶の水女子大学, 湾岸生物教育研究所, 特任助教 (20979025)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 五放射相称 / 棘皮動物 / 形態形成 / 進化発生 / 進化発生学 |
Outline of Research at the Start |
ウニ、ヒトデ、ナマコなどを含む棘皮動物は、五放射相称という他に類を見ない形態の体を持つが、「なぜ“5”放射なのか」という疑問に対する進化発生学的な答えは得られていない。研究代表者は発生過程で最初に五放射相称の形態を呈する「水腔」と呼ばれる組織に着目して研究を行い、水腔が五放射の形態となるのに先立って異なる遺伝子を発現する複数の領域に区切られていくことを明らかにした。本研究ではこれらの遺伝子が“5”の決定に具体的にどのように関与しているかを機能解析実験によって明らかにし、さらに系統間の比較解析を行うことで『“5”を決める分子生物学的な仕組みとその獲得過程』の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
ウニ、ヒトデ、ナマコなどを含む棘皮動物は、五放射相称という他に類を見ない形態の体を持つが、「なぜ“5”放射なのか」という疑問に対する進化発生学的な答えは得られていない。研究代表者は発生過程で最初に五放射相称の形態を呈する「水腔」と呼ばれる組織に着目して研究を行い、水腔が五放射の形態となるのに先立って異なる遺伝子を発現する複数の領域に区切られていくことを明らかにした。本研究ではこれらの遺伝子が“5”の決定に具体的にどのように関与しているかを機能解析実験によって明らかにし、さらに系統間の比較解析を行うことで『“5”を決める分子生物学的な仕組みとその獲得過程』の解明を目指す。
2023年度は、主な実験対象種であるマナマコにおける遺伝子機能解析実験の手法の確立と、主に水腔における遺伝子発現パターンの種間比較解析に取り組んだ。これまでの研究代表者の研究から明らかになった「水腔における五放射性の確立に関与する候補遺伝子(以下、候補遺伝子)」について、前者については、CRISPR-Cas9を用いたゲノム編集やRNA干渉法を用いた機能解析を試みた。現在までに一部の予備実験が完了し、CRISPR-Cas9システムについてはマナマコにおける有効性が確認された。 後者の種間比較解析については、棘皮動物の主要な系統を網羅するようにバフンウニ、イトマキヒトデ、ニッポンウミシダについて幼生のサンプリング及び候補遺伝子の相同配列の抽出を完了した。さらに、それぞれの種の水腔の発生過程における候補遺伝子の発現動態を明らかにするべく、現在はin situ hybridizationによる空間的発現パターンの解析に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は、主な実験材料として用いているマナマコの親個体を十分に確保することができず、遺伝子機能解析は予備実験を行うに留まった。一方で、予備実験の完了したCRISPR-Cas9システムについてはマナマコにおける有効性が確認されたため、2024年度には実際に候補遺伝子の機能解析を開始できる予定である。 複数種の棘皮動物幼生を用いた比較解析では、解析に用いる予定であった全ての種(イトマキヒトデ、バフンウニ、ニッポンウミシダ)のサンプリングを完了することができた一方で、その後の遺伝子発現解析においては、空間発現解析はマナマコと同一の手法では目的遺伝子の発現を検出することができず、種ごとに複数回の試行を要した。バフンウニにおける一部の遺伝子を除いて現在までに明確なシグナルを検出できておらず、現時点では種間での発現パターンを比較できる段階に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、主材料種であるマナマコの親個体を複数の採集地から確保することで、実験に十分な数の成熟した個体を確保する見込みが立っている。これらの材料を活用し、前年度に予備実験を行なったCRISPR-Cas9システムを主な手法として、候補遺伝子の機能解析実験に取り組む計画である。また候補遺伝子の中には、水腔の発達よりも前の発生段階においても発現する、多面発現的な遺伝子が複数含まれる。これらの遺伝子機能を水腔の発達期に特異的に阻害するためには時期特異的なノックダウン手法が必須であるため、マナマコでも有効な実験系の探索にも引き続き取り組む予定である。 複数種の棘皮動物幼生を用いた遺伝子発現解析に関しては、2023年度の解析では明確な遺伝子発現シグナルを確認することができなかった。 2024年度は、より高い検出精度を確保するため、実験条件の改善や、fluorescent in situ hybridization (FISH)などの手法も検討しつつ、各種の遺伝子発現パターンを明らかにしていきたい。
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