Project/Area Number |
23K19394
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0704:Neuroscience, brain sciences, and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 史子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50981924)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 自閉スペクトラム症治療薬 / 自閉スペクトラム症モデルマウス / 大脳皮質機能異常 / ASD治療 |
Outline of Research at the Start |
本計画ではバルプロ酸(以下VPA)胎内曝露マウスをASDモデルとして、大脳皮質内の興奮性を抑制する薬物、具体的には既存の抗てんかん薬の投与により、ASD様行動異常の改善が可能かを行動実験、神経活動解析によって検討する。動物実験レベルで有用なASD治療薬候補をスクリーニングし、既存薬のASD治療薬への転用を試みる。将来的な臨床試験期間を大幅に短縮し、早期のASD治療薬発見につなげるとともに、ASD様症状発現の機序解明の一端となることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、自閉スペクトラム症(ASD)様症状(行動異常)を示すバルプロ酸(VPA)胎内曝露マウスを用いて、ASD様行動異常を改善する可能性のある薬物を探索し、有効である薬物Aを見出した。また当該薬物の用量依存性も確認した。 VPA胎内曝露マウスにおいては、神経前駆細胞の分裂増殖・文化誘導に異常を生じた結果、興奮性投射神経細胞数増加による大脳皮質肥厚化が確認されており、大脳皮質内の機能性バランスが興奮性に偏ることが予想され、そのことがASD様行動異常につながる可能性が示唆される。 そこで、大脳皮質機能のバランス異常を改善すると考えられている抗てんかん薬等をVPA胎内曝露マウスに生後4週齢から8週齢のあいだ摂取させたのちに、VPA胎内曝露マウスが示すASD様行動異常の一つである自発行動量減少が改善されるかを検討した。オープンフィールドを10分間探索させ、自発行動量(移動距離)を測定したところ、複数の候補薬のうち、薬物AにVPA胎内曝露による自発行動量減少を改善する効果が見られた。 本研究で用いるVPA胎内曝露マウスは、妊娠マウスに妊娠期間を通じて抗てんかん作用発現に必要な閾値よりやや低濃度のVPAを飲水に混ぜて投与することで得られており、抗てんかん薬を服用しているヒト妊娠女性の胎内状況により近い状況を再現していると考えられる。ゆえに生後マウスが示すASD様行動異常はヒトで生じている以上を正確に反映している可能性が高いと考えられ、本研究で自発行動量減少改善効果が見られた薬物Aは、実際のASD治療に役立つ可能性が高いと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画①ー④(以下参照)のうち、①を遂行し、自発行動量の回復効果が見られる薬物Aを見出し、当該薬剤について③の用量依存性の確認を行った。1年で計画の半分弱をこなせているため、進捗状況としてはおおむね順調と思われる。
① 候補薬をVPA胎内曝露マウスに一定期間摂取させたのちに、オープンフィールドを10分間探索させ、自発行動量(移動距離)を測定する。 ② 自発行動量の回復効果が見られる薬物が見つかった場合、自発行動量測定後のマウスから大脳皮質スライスを作製し、投薬の有無による神経活動の変化を、神経活動依存的に発現が誘導される最初期遺伝子の発現量を指標に測定する。 ③ 有効な候補薬の将来的な臨床応用を考慮して、用量依存性を確認する。 ④ 他のASD様行動異常についても改善効果が認められるかについてソーシャル・インタラクションテストや3チャンバー社会性試験により、社会性の評価を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画 ① 候補薬をVPA胎内曝露マウスに一定期間摂取させたのちに、オープンフィールドを10分間探索させ、自発行動量(移動距離)を測定する。 ② 自発行動量の回復効果が見られる薬物が見つかった場合、自発行動量測定後のマウスから大脳皮質スライスを作製し、投薬の有無による神経活動の変化を、神経活動依存的に発現が誘導される最初期遺伝子の発現量を指標に測定する。 ③ 有効な候補薬の将来的な臨床応用を考慮して、用量依存性を確認する。 ④ 他のASD様行動異常についても改善効果が認められるかについてソーシャル・インタラクションテストや3チャンバー社会性試験により、社会性の評価を行う。 に従い、①で見出した薬物Aに関して②と④を行う(③は確認済み)とともに、他にも有効な薬物があるかを探索するため、①によるスクリーニングも継続する。
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