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進化的に保存された、生存に不可欠な睡眠の機能の解明

Research Project

Project/Area Number 23K19396
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section 0704:Neuroscience, brain sciences, and related fields
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

宮崎 慎一  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (20981955)

Project Period (FY) 2023-08-31 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywords睡眠 / 遺伝学 / 順遺伝学的スクリーニング / 神経科学 / 線虫
Outline of Research at the Start

近年の研究により、睡眠が動物の生存に不可欠であることが示唆されている。しかし睡眠のどのような機能が生存に不可欠であるかはわかっていない。私たちは「不眠で短命な線虫」に遺伝子変異を入れることで、「不眠だが長期に生存が可能な変異体」を作製することに成功した。この新たな変異体は、「睡眠の機能」に関わる遺伝子に変異が入っていると推測される。本研究の目的は線虫で見つかった「睡眠の機能」に関わる遺伝子変異を哺乳類で再現し、「睡眠の機能」が進化的に保存されているかを解明することである。進化的に保存された「睡眠の機能」の解明は、睡眠不足が関連する多様な疾患の病態生理の解明につながる可能性がある。

Outline of Annual Research Achievements

睡眠は動物の生存に不可欠である。しかし睡眠のどのような機能が、生存に不可欠なのかは不明である。私たちはこれまでに「不眠で短命な線虫」のゲノムにランダムに遺伝子変異を導入することで、「不眠だが長期に生存が可能な変異体」を作製することに成功した。この新たな変異体は、「睡眠の機能」に関わる遺伝子に変異が入っていると推測される。本研究では「不眠だが長期に生存が可能な変異体」の持っている原因遺伝子を明らかにすることを目標としている。
令和5年度中には「睡眠の機能」に関わる遺伝子の同定に必要な技術開発を行うことができた。遺伝子工学の技術としてはCRISPR/Cas9法を用いた遺伝子改変技術を安定して運用できるようになり、点突然変異や小規模な欠失変異を持つ変異体を約3週間という短い期間で取得できるようになった。遺伝子工学の技術に習熟したことで今後の遺伝子同定に関わる実験が加速する。
装置開発の面では生存時間の自動測定装置の開発を行なった。従来の生存時間解析はサンプルサイズが大きくなると測定だけで数時間を要していたが、自動化を行うことで測定に時間を割く必要がなくなり、解析や結果の解釈により多くの時間を割り当てることができる。また光遺伝学と行動観察を組み合わせた実験が可能な顕微イメージングシステムを構築した。新しく構築した顕微イメージングシステムを用いることで、光遺伝学を用いての断眠実験が可能である。現在、既存の光遺伝学用の変異体や自ら作成した変異体を用いての実験を行っており、断眠に最適な条件を検討している。最適な断眠条件を見つけることができれば、断眠が線虫の運動や寿命にどのような影響を与えるのかを明らかにする実験を行うことができる。
以上のように今年度の研究によって、「不眠だが長期に生存が可能な変異体」の持っている原因遺伝子を明らかにするための基盤を整えることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

令和5年度中に挙げた目標は以下の3つであった。1つは「不眠だが長期生存可能な変異体」の持つ原因遺伝子の同定、2つ目は生存時間解析の自動測定装置の開発、3つ目は光遺伝学と行動量定量の実験のできる新規の顕微鏡開発である。
1つ目の目標については、候補遺伝子として挙げていた遺伝子に関してCRISPR/Cas9システムで変異体を作成したところ、予想される表現型を示さないことが分かった。再度全ゲノム解析の結果に立ちもどり、候補遺伝子のリストを再作成して実験を開始している。令和5年度中に、使用できる遺伝子工学の技術の幅が広がったことで、すでに複数の変異体を得ることに成功しており、現在表現型の解析中である。また新たに候補に挙がった遺伝子についてもレスキュー実験やCRISPR/Cas9法による遺伝子変異体の獲得に向けて実験を進めている。当初に挙げた候補遺伝子の中からは原因遺伝子が見つからなかったものの、総合的に判断すると予定通りに進んでいると評価できる。
2つ目の目標である生存時間解析の自動測定装置に関しては、現在プロトタイプを用いての実験中である。いくつかの問題点はあるものの、基本的には順調に開発が進んでいる。現時点では一度に測定できる動物の数が50程度と制限されているが、プロトタイプの開発が終了したら500匹程度までスケールアップする予定である。生存時間解析の自動測定装置が実装されれば、この装置を用いて表現型の解析をさらに加速することが可能である。
3つ目の顕微鏡の立ち上げは令和5年度中におおむね終了した。現在はすでに睡眠に表現型があることが知られている線虫について測定を開始している。新たな変異体が得られ次第、新規の変異体の睡眠を含めた行動の測定と、光遺伝学を用いた神経操作が可能である。

Strategy for Future Research Activity

令和6年度の目標として以下の3点を挙げる。(1) 「不眠だが長期生存可能な変異体」の持つ原因遺伝子を同定する。(2)原因遺伝子のマウスホモログ変異体を作成し、断眠時の表現型を観察する。(3) 新規に作成した生存時間解析の自動測定装置や行動定量用の顕微鏡を用いて、寿命と睡眠の関係性を変異体の計測によって明らかにする。
第一の目標である原因遺伝子の同定は、現在3つの手法で進めている。1つは野生型から増やした候補遺伝子を導入するレスキュー実験、2つ目はCRIPSR/Cas9法による遺伝子変異体の作成、3つ目は3因子交配による原因遺伝子のマッピングである。これらの手法と生存時間解析を組み合わせることで、「不眠だが長期生存可能な変異体」の持つ原因遺伝子を同定する。
第二の目標であるマウスホモログ変異体の表現型解析は、原因遺伝子の同定後に行うこととなる。マウス扱いや脳波の記録手法、脳の取り出しの手技については習得済みであり、原因遺伝子の同定後すぐに実験に取り掛かることができる。
第三の目標である寿命と睡眠の関係性の解明については、現在作成している生存時間解析の自動測定装置を用いて、既知の寿命関連遺伝子と睡眠の間にどのような関係性があるかを明らかにする。新規に立ち上げる装置で得られるデータは従来の生存時間解析のデータと異なり、各ライフステージでの行動量を定量することが可能である。またインキュベータ内に装置を構築しているため、温度制御が可能であり従来よりも信頼性の高いデータを得ることが可能である。この装置を用いることで、睡眠の量がどのように寿命と関連しているかを解明することが可能であると考えている。また光遺伝学を行うことができる顕微イメージングシステムも構築したため、断眠による寿命への影響の詳細な解析も可能であり、こちらの実験も進めることで睡眠と寿命の関係性を明らかにする。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report

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Published: 2023-09-11   Modified: 2024-12-25  

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