Project/Area Number |
23K19406
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0704:Neuroscience, brain sciences, and related fields
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
中嶋 智佳子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (90850454)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 霊長類 / 脳室下帯 / 生後脳 / 神経新生 / ニューロン移動 / 加齢 / 神経発生 / 新生ニューロン |
Outline of Research at the Start |
生後も多くの脊椎動物は脳室下帯という部位において神経幹細胞が新しいニューロンを産生する。新生したニューロンは目的の領域まで移動し、成熟し、脳機能を司る。近年の研究からヒトを含む霊長類において、ニューロン新生および移動においてモデル動物である齧歯類と異なることが明らかとなった。生後の限られた期間における大脳皮質へ新生ニューロンの移動は霊長類独自である。また、霊長類ではニューロン新生が限られた期間に限定される点でも特異的である。本研究では、生後直後から老齢のコモンマーモセットを用いて、さまざまなライフステージにおけるニューロン新生および移動を解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、霊長類の生後の脳室下帯におけるニューロン新生の変化を解明することを目的としている。齧歯類においては、脳室下帯由来の未熟な新生ニューロンは嗅球へ移動し、成体の嗅球ではニューロンの置き換わりが生じる。齧歯類の傷害脳では、新生ニューロンは嗅球の他、傷害部にも移動し、申請者らは近年、脳傷害後に新生するニューロンの移動を促進することで失われた脳機能の回復が可能であることを明らかとした。ヒトにおいても、生後数ヶ月は嗅球および大脳皮質を含む前頭葉に脳室下帯で産生された新生ニューロンが移動することが報告されている。一方で、ヒトを含む霊長類においては生後どの程度の期間、ニューロンが新生し移動しているのか、加齢に伴う変化は明らかとはなっていない。 当該年度では、霊長類モデル動物であるコモン・マーモセットを用いて、加齢によるニューロン新生への変化を、まずは免疫染色法を用いて、脳室下帯周辺の細胞を組織学的に解析した。そして、ニューロン新生の全貌を明らかとするため遺伝子発現解析を実施した。 本研究課題で得られる、霊長類のライフステージにおけるニューロン新生ならびに移動の変化という基礎的知見は、齧歯類モデルを用いて開発された脳外傷・疾患等による脳傷害の治療方法を将来臨床応用するにあたり、有益であり、必須である。また、本研究課題はヒトにおける生後の高次機能獲得の原理を知る上でも重要な基盤研究となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において、異なる年齢のマーモセット脳における脳室下帯周辺の細胞を解析することで霊長類のライフステージおけるニューロン新生の全体像が明らかとなった。遺伝子発現解析についても、発現情報を可視化する方法を確立し、それを用いることで細胞群における変化が見られるタイムポイントを把握できた。応募時に提案した詳細な遺伝子発現解析を進める前に、発現転写物がタンパク質として機能していることを免疫染色法で確認した。これらの解析結果から、生後のニューロン新生が変化するタイミングについての理解が進んだと考えられる。また、当初予定していなかったが、齧歯類の傷害脳におけるニューロン移動の新たなメカニズムを解明し、Nature Communications (Nakajima et al., Nat Commun, 2024) に発表した。霊長類の傷害脳における過去の報告を鑑みるに、今回明らかとなった分子機構を応用することは可能と考えられる。また、齧歯類における成果は、本研究課題で霊長類における神経発生の時期、すなわち脳治療の適切なタイミングを明らかとすることと関連している。 従って、概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)微細形態解析:当該年度で得られた知見を元に、ニューロン新生の変動を解析するのに適した年齢のマーモセット脳を用いて、電子顕微鏡による脳室下帯周辺の形態学的解析を行う。 (2)組織学的解析および遺伝子発現解析:引き続き多様な細胞における遺伝子発現解析を行い、加齢における各細胞において変動する遺伝子を特定する。得られたデータを元に組織学的解析から脳室下帯における各細胞の関与を解析する。 (1)および(2)を統合した結果から、加齢におけるニューロン新生の変化を把握する。
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