有尾両生類の高温忌避温度を決定する分子センサーの同定
Project/Area Number |
23K19410
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0704:Neuroscience, brain sciences, and related fields
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
堀 翔吾 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 助手 (60982345)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 温度適応 / 温度感知 / TRPチャネル / 両生類 / 温度生物学 / 有尾両生類 / TRPV1 / TRPA1 |
Outline of Research at the Start |
低温環境に適応した有尾両生類は、30℃程度の低い温度から高温を忌避する動物群である。申請者は、有尾両生類のTRPV1が2残基のアミノ酸置換を獲得することで、より低い温度から活性化するよう高感度化していることを明らかにした。一方で、4種の有尾両生類のTRPV1の活性化温度は個体の忌避温度と必ずしも一致しなかった。この結果は、有尾両生類が種によって、高温感受性を決定する分子を使い分けている可能性を示唆する。 そこで本研究では、神経や個体レベルでのチャネル阻害実験や遺伝子破壊実験を通し、各種有尾両生類の高温忌避に対するTRPV1、TRPA1の寄与と選択性を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
地球上には様々な温度環境が存在する。その中で、我々動物は温度を感知し、時に忌避し、時には好むことで、生存に適した温度域を選択している。本研究は低温環境に適応した動物群である有尾両生類を対象に、「異なる温度環境への適応に伴う高温忌避温度の変化の獲得」における、代表的な高温センサーTRPV1、TRPA1の寄与を明らかにすること目的に1) 選択的阻害剤の同定2)感覚神経レベルでの温度感知に対するTRPV1、TRPA1の寄与の検討3)個体レベルでの高温忌避行動へのTRPV1、TRPA1の寄与の検討の3つの項目で研究を行うことを計画した。本年度は先ず項目1について実施した。具体的には、高温忌避行動を誘導するチャネルを特定する準備段階として、忌避温度が異なる3種の有尾両生類(アホロートル、ハコネサンショウウオ、イベリアトゲイモリ)において、有尾両生類TRPA1の温度応答を遮断する選択的阻害剤の探索を行った。TRPA1阻害剤であるA967079及びHC-030031によるTRPA1の高温応答に対する阻害効果を2本電極膜電位固定法により検証したところ、これらの阻害剤は全ての有尾両生類TRPA1において高温応答を阻害しなかった。これにより、項目2-3については、阻害剤を用いたアプローチは困難であるとされる。そこで項目2については、siRNAによるノックダウンを用いることにする。項目3については、CRISPR-Cas9による遺伝子破壊体を作成し、それを使用して行動アッセイを行う。これらの項目2-3について、本年度は試薬の購入や飼育環境の整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
温度応答を測定する際に使用するバス液を加熱するインラインヒータが故障し、実験系の再構築が必要となった。それにより1)有尾両生類TRPA1の高温応答に対する阻害剤の効果の検証が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に従い以下の2つの実験を行う。 1. 感覚神経レベルでの温度感知に対するTRPV1、TRPA1の寄与の検討 温度感知へのTRPV1あるいはTRPA1の寄与を裏付けるべく、感覚神経レベルで高温の感知に必要なチャネルを同定する。具体的には、有尾両生類各種から感覚神経細胞(後根神経節)を単離し、2本鎖RNAの細胞導入によるRNA干渉法によりTRPV1、TRPA1のノックダウンを行う。その後、Ca2+に結合する蛍光色素を用いた蛍光イメージングを行う。これにより、神経レベルでの温度感知に対するTRPV1、TRPA1の寄与を明らかにする。 2. 個体レベルでの高温忌避行動へのTRPV1、TRPA1の寄与の検討 高温忌避行動へのTRPV1もしくはTRPA1の関与を裏付けるために、過去の論文(T Hayashi and T Takeuchi, 2015及びJ F Fei et al.,2018)を参考にCRISPR-Cas9を用いたTRPV1ノックアウトを個体の作成を行う。有尾両生類のゲノム編集では遺伝子編集を行ったF0個体でも表現型解析が可能であることを利用し、F0個体の幼生を用いた行動解析によりTRPV1ノックアウトによる高温忌避行動への影響を評価するとともに、1の項と同様に感覚神経レベルの表現型を解析する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)