Project/Area Number |
23K19435
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0801:Pharmaceutical sciences and related fields
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
小柳 円花 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (40983010)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 抗がん剤誘発末梢神経障害 / シュワン細胞 / 髄鞘 / 感覚神経オルガノイド / 痛み / 末梢神経障害 / 感覚神経 / オルガノイド |
Outline of Research at the Start |
抗がん剤誘発末梢神経障害(CIPN)は、殺細胞性抗がん剤の投薬により高率で発症する副作用である。しかしながら、CIPN の複雑な発症機序には不明な点が多く、有効な治療法も確立されていない。 そこで、本研究では、申請者が初めて開発に成功した、「髄鞘を有する3次元感覚神経オルガノイド」を用いて、以下の研究を実施し、CIPNの発症機序解明および新規治療法の創出を試みる。 ①各種抗がん剤の処置下における3次元感覚神経オルガノイドの機能的・形態的変化、疼痛関連分子の発現変化を経時的に解析する。 ②既承認薬のスクリーニングを行い、有効な治療法を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究代表者が初めて開発に成功した「立体的な髄鞘を有する3次元感覚神経オルガノイド」を用いて、感覚過敏と感覚鈍麻が混在する抗がん剤末梢神経障害(Chemotherapy-Induced Peripheral Neuropathy; CIPN)の発症機序を解明することである。令和5年度では、(1)CIPN発症における感覚神経の形態変化の解析、(2)シュワン細胞の髄鞘形成を促進する薬物の一次探索を実施した。 (1)について、ラット脊髄後根神経節を由来として構築した感覚神経オルガノイドにAAVを処置することで、神経線維および髄鞘を個別に蛍光標識した。その後、パクリタキセルの処置を行い、顕微鏡内蔵蛍光スキャナを用いて、タイムラプス解析を行った。その結果、髄鞘形成シュワン細胞が凝集し脱髄する様子が観察された。一方、その条件下で、軸索の退縮については検出されなかった。また、現在、免疫染色や電子顕微鏡での髄鞘や軸索の形態変化について観察を行い、更なる解析を行っている。 (2)について、これまでに、髄鞘形成シュワン細胞マーカーであるMBPの発現を指標とし、初代培養シュワン細胞の分化を誘導する薬物のスクリーニングを行った。その結果、シュワン細胞の分化を強力に誘導する候補薬Xを見出した。候補薬Xは濃度依存的にシュワン細胞の分化を誘導した。また、現在、候補薬Xの類縁化合物をシュワン細胞に処置し、他の類縁化合物でも分化が誘導されるかについて追加の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度には、(1) 感覚神経オルガノイドを用いたCIPN発症における感覚神経の形態変化の解析、(2) シュワン細胞の髄鞘形成を促進する薬物の一次探索の実施を予定していた。(1)について、オルガノイドに抗がん剤(パクリタキセル)の処置を行い、感覚神経および髄鞘の形態変化について経時的な解析を開始しており、現在、複数の実験手法を組み合わせて更なる検証を進めている。(2)について、初代培養シュワン細胞を用いて、候補薬物の探索を行い、シュワン細胞の分化を促進する薬物Xを同定した。現在、候補薬Xによる分化誘導効果の再現性の確認や、類縁化合物の処置により同様の効果が得られるかどうかについて検討を進めている。 したがって、本課題は、おおむね当初の計画通りに進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度では、(1)CIPN の発症における感覚神経の機能変化の経時的解析、(2)新規 CIPN 治療候補薬の二次および三次スクリーニングの実施を計画している。(1)について、感覚神経オルガノイドにAAVでCa2+インジケーターであるGCaMPを導入し、抗がん剤処置後のオルガノイドにおける神経活動変化をCa2+イメージング法により測定する予定である。また、抗がん剤処置後のオルガノイドの神経細胞体を回収し、疼痛関連分子の発現変化について解析を行う。(2)について、これまでに同定したCIPN治療候補薬Xが、抗がん剤処置後にオルガノイドにおいて惹起される脱髄や機能変化を抑制できるかについて評価する。また、CIPNモデルマウスを用いて、疼痛様行動を候補薬が抑制できるかについて検討を行う。
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