Project/Area Number |
23K19439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0801:Pharmaceutical sciences and related fields
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
徳川 宗成 同志社女子大学, 薬学部, 特任助教 (90981902)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 多発性骨髄腫 / レナリドミド / 薬剤感受性 / 脂質 / 耐性化 / IMiDs / 血中脂質 |
Outline of Research at the Start |
レナリドミドは、多発性骨髄腫の標準治療薬である一方、薬剤耐性症例の出現が臨床応用上の障壁となっており、奏効患者の層別化に有用な薬剤感受性に係る情報が求められている。最近、臨床検体を用いた解析から、レナリドミド奏効性に関連する血中脂質バイオマーカーが見出された。本研究は、血中脂質が骨髄腫のレナリドミド感受性の調節因子であるという仮説のもと、当該薬剤の抗腫瘍活性における脂質の関与を分子レベルで明らかにする。本研究により、血中脂質に基づく薬剤感受性の規定メカニズムが同定されれば、有効患者層を特定するマーカーの確立に加え、骨髄腫の耐性獲得を回避する新たな治療法開発の足掛かりになると期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
レナリドミドは、多発性骨髄腫の標準治療薬であるが、有効な患者層を特定する方法論は確立されていない。これまでに、レナリドミド投与前の多発性骨髄腫患者の血清成分分析から、特定の脂質分子種の血中含量が薬剤奏効性と有意に相関することを見出している。本研究では、レナリドミド治療効果に関連する血中脂質分子種をバイオマーカーとして確立することを目指し、脂質化合物がレナリドミド応答性に及ぼす影響を分子レベルで明らかにする。 本年度は 、まず着目した脂質分子種が、多発性骨髄腫細胞株のレナリドミド感受性を上昇させるか検討した。複数の各種骨髄腫細胞株を、レナリドミドおよび当該脂質分子種で共処理し、生存率を調べたところ、いずれの細胞株においても、レナリドミドの生存抑制作用を顕著に増強させるような相乗的効果は認められなかった。 一方、一部の細胞株では当該脂質を添加することで、レナリドミドの作用に上乗せして①生存率が低下すること、②レナリドミドのネオ基質IKZF1が発現低下することが観察された。また、特にこれらの傾向は、レナリドミドの感受性が高い細胞株で認められた。以上の結果は、本脂質分子種がリッチな環境で生存する骨髄腫細胞においては、レナリドミドの作用が相加的に高まることを示唆している。 ただし現段階で、注目している脂質分子が骨髄腫細胞内のシグナル伝達にどのように影響するかはほとんどわかっていない。レナリドミドのネオ基質を発現変動させるという結果から、これらタンパク質の転写・翻訳、あるいは安定性を制御している可能性がある。また、レナリドミドの免疫調節作用に当該脂質分子種が関わる可能性もあり、次年度以降はこれらの解析へつなげていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究開始時点で取得していた、臨床検体での分析情報を支持する実験結果が得られている。 すなわち、各種骨髄腫細胞株を用いた検討により、レナリドミドの生存抑制作用、ならびにネオ基質IKZF1等の発現抑制作用に対し、脂質化合物が部分的ではあるものの相加的に働くことが明らかとなった。このことは、当該脂質分子がレナリドミドの作用を高める可能性を示すもので、本作用機構について、現在さらなる解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
注目している脂質分子種とレナリドミドの作用との関連を解析するため、 前年度に続きレナリドミドの①骨髄腫細胞に対する直接的な抗増殖作用、さらに今後は②T細胞等に対する免疫調節作用への影響をそれぞれ検討する。 ①骨髄腫細胞におけるネオ基質IKZF1/3あるいはレナリドミド標的分子セレブロンなどの発現について、脂質分子種がどのように制御するか、転写・翻訳・タンパク安定性などの観点から解析する。また機能制御への影響についても、関連分子に対する阻害剤、ノックダウン等により確認する。 ②レナリドミド存在下で活性化することが知られているT細胞について、IL-2のようなサイトカインの発現などを指標に、脂質分子種が免疫調節活性を上昇させるか解析する。 また、上述の検討により観察された効果が、レナリドミドの類似化合物であるポマリドミドにおいても同様に認められるか解析する。 以上の検討を踏まえ、血中脂質により規定されるレナリドミド感受性の分子基盤解明を目指す。
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