Project/Area Number |
23K19443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0801:Pharmaceutical sciences and related fields
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
森田 時生 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 研究員 (70975606)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 点鼻製剤 / 脳指向性 / 噴霧特性 / 脳指向性医薬品 / 品質評価 / 点鼻剤 / IVIVC / IVIVE |
Outline of Research at the Start |
脳指向性の点鼻剤は、脳をターゲットとした創薬の新規モダリティとして期待されている。一方、点鼻剤は薬物の血中濃度推移と局所・脳内における薬物動態が一致しないため、血中濃度を指標に有効性・安全性を推定することができない。従って、脳指向性点鼻剤を開発には、その脳移行動態の予測方法を確立が求められている。本研究は、点鼻剤の開発促進に貢献することを目的に、点鼻剤の脳移行性制御に向けて、in vitro 手法を用いた物理化学的特性評価により、その鼻腔内動態、鼻粘膜透過性を明らかにする。また、得られたパラメータを組み合わせ、生理学的薬物速度論 (PBPK) モデルの構築に挑戦する。
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Outline of Annual Research Achievements |
脳指向性の点鼻剤は、通常の投与経路では脳への送達が不可能な中分子ペプチド医薬品などを脳移行させる新規モダリティとして期待されている。一方で、点鼻剤は薬物の血中濃度推移と局所・脳内における薬物動態が一致しないため、血中濃度を指標に有効性・安全性を推定することができない。従って、脳指向性点鼻剤を開発するためには、その脳移行動態の予測方法を確立することが求められる。本研究は、脳指向性点鼻剤の薬物動態制御を目的に、in vitro 手法を用いた点鼻製剤の物理化学的特性評価により、その鼻腔内動態、鼻粘膜透過性を明らかにすることを目的としている。 今年度は、鼻腔模型を用いた点鼻剤の鼻腔内動態の予測に向けて予備的な検討を行った。まず、点鼻剤の特性とデバイスの特性が模型内の点鼻剤の動態にどのような影響を与えるかを評価するために、市販の点鼻製剤を利用してその噴霧特性を評価した。なお、FDA は後発医薬品の生物学的同等性の指標に、スプレーパターンとプルーム形状の同等性を求めているが、本邦では規制の対象となっていない。医療用ステロイド点鼻剤の先発品と後発品2製剤について噴霧特性を評価した結果、すべての製剤でスプレーパターンおよびプルーム形状が大きく異なることを明らかにした。すなわち、同じ有効成分の製剤であっても、添加剤の種類やデバイスの種類によって噴霧特性に大きな違いがあることが示唆された。使用した製品は局所適用製剤であるが、脳指向性の製剤設計においては、噴霧特性に由来する鼻腔内の沈着挙動の変化が有効性に重大な影響を及ぼす可能性がある。今後、噴霧特性の違いが鼻腔模型内の動的な薬物挙動にどのように影響を及ぼすかを粒子画像流速計を用いて明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
鼻腔模型を用いた点鼻剤の鼻腔内動態の評価では、当初3Dモデルを用いて鼻腔模型を作成することを予定していたが、既報で使用実績がある受注生産された市販品を用いることに計画を変更した。模型の納品に時間を要するために、進捗がやや遅れた。模型を使用した粒子画像流速の解析は、予備的な検討を行った結果、課題はあるものの実現は可能であることが示唆された。次に、模型内での動的噴霧動態を比較するための予備検討として、市販の点鼻製剤について、先後発間の噴霧特性の解析を行った。その結果、使用した3製剤噴霧特性が大きく異なることが明らかにできた。 次に、鼻粘膜モデルを用いた薬物の鼻粘膜透過性の評価については、既報に従った RPMI2650 細胞の培養法により、既報の結果を非常に良好に再現する結果が得られた。従って、RPM2650 を用いた粘膜透過性試験系の樹立は概ね順調に進んでいる。 IVIVEによるヒト脳移行性予測については、関連する文献を調査した結果、現状ヒトにおいて脳に選択的に移行する製剤が存在しないため、予測結果の妥当性検証が大きな課題になることが示唆された。そのため、本研究の今後の方針について、当初予定していた体内動態予測と鼻腔内動態予測のうち、模型で検証が可能な鼻腔内動態予測に注力することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、①鼻腔モデルを用いた点鼻剤の鼻腔内動態の評価においては、今年度に噴霧特性が異なることが検証できた市販の点鼻製剤について、その粘度や粒子径などの物理化学的特性の評価を行う。さらに、前述の製剤を利用して、鼻腔模型への投与実験を行うことで、噴霧特性が静的な沈着部位の違いに与える影響を評価する。さらに、粒子画像解析法を用いた点鼻剤の鼻腔内動的挙動の評価を行うことで、製剤間の噴霧特性の違いにより、鼻腔内の粒子の速度や挙動がどのように変化するかを明らかにする。 次に、②RPMI2650 細胞株を用いた鼻粘膜透過性の評価については、今年度確立した培養条件を修正し、より生理的な鼻粘膜の特徴に近い条件 (TEER 値の類似性や、ヒトプライマリー呼吸上皮細胞との化合物の膜透過の一致について) が得られるかを検証する。また、RPMI2650 細胞株透過について、ヒト鼻粘膜透過性との相関は十分な検証がなされていない。そこで、経鼻投与後のヒト体内動態データがある薬物について膜透過性を評価し、RPMI2650 細胞株の膜透過とヒトの吸収率について in vitro to in vivo 相関を得る。これにより、RPMI2650 細胞株の膜透過性から、経鼻投与した薬物の吸収が予測できる可能性がある。また、製剤についても検証することで、添加剤の違いに伴う製剤間差を RPMI2650 細胞株の膜透過により区別できるかを評価する。 ③IVIVE による予測については、製剤の物理化学的パラメータを用いて、数値流体力学シミュレータを用いた鼻腔内の噴霧挙動の予測に挑戦する。なお、結果は①で得られた動的挙動情報により妥当性を検証する。これにより、脳移行の予測のために重要な部位への薬物沈着が可能な製剤の物理化学的特性値を推定する。
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