Project/Area Number |
23K19471
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0803:Pathology, infection/immunology, and related fields
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 良子 (森良子) 和歌山県立医科大学, 先端医学研究所, 助教 (20362337)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 原発性胆汁性胆管炎 / 樹状細胞 / エンドソーム / RIN3 / 低分子量G蛋白質 / Rab7a / 疾患モデルマウス / T細胞 |
Outline of Research at the Start |
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は国内に推定5万人の患者がいるとされる難病であり、重症化するケースも多い。研究代表者らはエンドソームの機能に関与するRab7aやVPS41を樹状細胞特異的に欠損させるとPBCを自然発症することを明らかにしてきた。Rab7aやVPS41の上流で働くRIN3が近年行われたGWASメタ解析の中でPBCの感受性遺伝子として報告された。RIN3の発現増加でRab7a欠損と同様の異常が生じることから、本研究では樹状細胞でのRIN3の発現増加がPBCの発症を誘導するとの仮説を立て、これを検証する。さらにRIN3の高発現によるPBCの発症に腸内細菌が関与するのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは樹状細胞特異的にエンドソームとライソソームの機能が関与するRab7aやVPS41を欠損させるとエンドソームとライソソームの異常による抗原提示の増強が起こり原発性胆汁性胆管炎(PBC)を自然発症することを明らかにしてきた。Rab7aとVPS41の上流で働くRIN3は近年行われたゲノムワイド関連解析でPBCの発症に関わる遺伝子群に含まれている。そしてRIN3の過剰発現によりエンドソーム異常が生じることが報告されている。本研究はRIN3の発現が樹状細胞で増加することでPBCの発症を誘導するとの仮説を立て、検証を行なっている。 まず、研究代表者らは樹状細胞特異的RIN3高発現マウスを作成した。樹状細胞特異的にRIN3を高発現させるためROSA領域にloxpとRIN3遺伝子を挿入しCD11c-Creマウスと交配した。このRIN3のN末端にはHAタグが入れてあり、RIN3の蛋白質発現を抗HA抗体で検出できる。作成した樹状細胞特異的にRIN3を高発現したマウス(RIN3高発現マウス)の骨髄由来樹状細胞を培養し、RIN3の発現を細胞内のHA抗原を染色してFACSで確認したところ、発現が認められた。今後ウエスタンでも蛋白発現を確認する。RIN3の発現増強が確認出来たら樹状細胞のエンドソーム異常を共焦点レーザー顕微鏡にて観察する。 現在までに2匹の老齢RIN3高発現マウスを解剖したが、肝臓の表面の不整など明らかな病変や異常は認められなかった。今後匹数を増やして老齢マウスから若齢マウスまで各時点で採血し、血清中の肝障害のマーカーであるASTやALTや胆管炎のマーカーである血清の胆道系酵素ALPとLAPの濃度を測定し、肝臓の組織染色から胆管周囲を観察することでPBCを発症するのかを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在所属している研究部が2023年4月に開設した研究部であり、マウスを東京大学から和歌山県立医科大学へ移送した。マウスの移送に伴い2ヶ月以上の検疫及びモニタリング検査を受ける間マウスを操作することができず、交配を進めることが出来なかった。さらに動物実験施設の工事により凍結胚を起こすことも一定期間できなかったためより遅れてしまった。 その後も動物実験施設の環境の変化によるものかマウスの繁殖が中々軌道に乗らず、実験に使用できるマウスが得られるまでに予想よりも時間がかかってしまった。また、樹状細胞特異的にRab7aやVPS41を欠損させるとライソソームの異常により原発性胆汁性胆管炎(PBC)を発症するという最初の論文をまとめており、論文の投稿を進めながら本研究課題を進めているため若干の遅れが出ている。 2024年に入ってからマウスが順調に得られており今後マウスの解析を行う。既に2匹を解析しリンパ節腫脹や脾臓肥大は認められず、肝臓表面の不整も確認できなかった。今後数匹解析し血清検査や肝臓の組織染色を行い顕微鏡観察することでPBCの発症を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
RIN3高発現マウスでHAタグのついたRIN3 (HA-RIN3)が発現していることは細胞内染色にて確認しているが、RIN3の発現量がどの程度増強しているのかを調べるため、骨髄由来樹状細胞を培養し、RT-PCRでmRNA量を、抗HA抗体を用いたウエスタンブロットでHA-RIN3の蛋白量を検証する。さらに抗RIN3抗体を入手し、特異的抗体でウエスタンブロットすることで内在性のRIN3も含めてRIN3の発現量を検証する。樹状細胞にてRIN3発現量の増強が確認出来たら、樹状細胞のエンドソームとライソソームを染色して共焦点レーザー顕微鏡にてエンドソームとライソソームの異常を観察する。 PBCの発症について、今後RIN3高発現マウスの老齢マウス及び若齢マウスでALPやLAPの血清中の濃度や肝臓切片のHE染色やシリウスレッド染色などの組織学的解析を詳細に行い、胆管周囲の炎症や線維化について観察する。 今後解析する個体数を10匹に増やしてもRIN3高発現マウスでPBC発症が認められない場合は、予定していたとおり、研究代表者らが作製したPBCモデルマウスである樹状細胞特異的Rab7a欠損マウス及び樹状細胞特異的VPS41欠損マウスを用いて腸内細菌と腸管免疫細胞がPBC発症にどのように関与するのか詳細な解析を進める。 具体的な実験の内容は樹状細胞特異的Rab7a欠損マウス及び樹状細胞特異的VPS41欠損マウスに何種類かの抗生物質を混入した水を摂取させ、PBCの発症率が低下するかを検証する。その結果、PBCの発症率が低下する場合においてどの抗生物質がPBCの発症率の低下に関わっているのかを特定し、PBCの発症に関わる腸内細菌叢を特定する。
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