Project/Area Number |
23K19489
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0803:Pathology, infection/immunology, and related fields
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
日高 侑也 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (60982717)
|
Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 抗菌カプシド / CRISPR-Cas13a / 大腸がん起因大腸菌 |
Outline of Research at the Start |
疾病は細菌叢破綻に起因することが、明らかになりつつある。現在、有用細菌を追加することは可能であるが、疾病起因菌を含めた特定細菌のみを特異的に除去する技術はない。そのため、起因菌と疾病との因果関係を同定することは困難な場合が多く、医薬品開発における障壁となっている。本研究では、所属研究室で独自に開発した遺伝子標的型のCRISPR-Cas13a搭載抗菌カプシド技術(特願2018-97751)を用いて、特定細菌のみを細菌叢から特異的に除去する技術を開発する。本技術は、どのような細菌にも応用可能であるため、医学のみならず畜産、農業、環境及び食品など多様な分野に革新的な発展をもたらすと期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
多様な疾病は、腸内細菌叢の乱れに起因することが明らかになりつつあり、関連する研究が世界中で盛んに行われている。複雑な腸内細菌叢から疾病起因菌を含めた特定の有害細菌のみを選択的に除去する技術はまだない。そのため、疾病と起因菌の因果関係を同定することは困難な場合が多い。抗菌薬は、標的細菌以外の細菌にも作用してしまうこと、さらには耐性菌の出現も問題となっており、関連疾患の治療において大きな障壁となっている。一方、溶菌性のバクテリオファージ(ファージ)は宿主を厳密に認識し、殺菌することが可能であり、標的細菌の選択的な除去が期待される。そこで本研究では、大腸がんの起因菌として知られているコリバクチン産生大腸菌(pks+ E. coli)を標的細菌とし、その菌に特異的に感染する溶菌ファージを用いた標的細菌の選択的除去技術の開発を目指している。その研究の一環として、初めにpks+ E. coli臨床分離株(pks+ E. coli #75)を宿主として、溶菌ファージの単離を行った。その結果、pks+ E. coli #75を含む臨床分離株56株中38株(約68%)のpks+ E. coliに感染する溶菌ファージ(ΦEC75_05)を単離することに成功した。ΦEC75_05は約88kbpのゲノムサイズを有するFelixounavirus属ファージに分類された。次に、テトラサイクリン耐性pks+ E. coli #75を用いて、in vitro実験におけるΦEC75_05の殺菌性を評価した。その結果、純粋培養及びマウス糞便懸濁液内において、感染多重度(MOI)依存的にpks+ E. coli #75を選択的に殺菌可能であることが示された。現在、in vivo実験において、マウスを用いたpks+ E. coli #75の感染モデル系を構築し、ΦEC75_05の殺菌効果を検証している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、A)大腸がん起因大腸菌株のみを特異的に殺菌する非増殖性抗菌カプシドの作製、B)炎症モデルマウスにおける腸内細菌叢からの大腸がん起因大腸菌株の除去、C)腸内細菌叢のメタ16S解析を用いた細菌叢編集効果の評価を行う。A)大腸がん起因大腸菌株のみを特異的に殺菌する非増殖性抗菌カプシドの作製:大腸がん患者から分離された大腸がん起因大腸菌(pks+ E. coli)由来毒素をコードする遺伝子を標的とした抗菌カプシドの作製が完了している。具体的には、所属研究室において確立されているM13ファージを基盤とした抗菌カプシドの作出技術を用いて、標的とする大腸がん起因毒素遺伝子の認識配列(スペーサー配列)を有するCRISPR-Cas13aを設計し、pks+ E. coliに感染するM13ファージの頭殻(カプシド)に搭載した。現在、作製した抗菌カプシドの殺菌効果を検証している。B)炎症モデルマウスにおける腸内細菌叢からの大腸がん起因大腸菌株の除去:BALB/cByJJcl及びC57BL/6JJcl系統マウスを用いて、経口投与によりテトラサイクリン耐性pks+ E. coli #75を感染させることで、マウス腸内に長期間定着させることに成功している。また、pks+ E. coli #75に感染する溶菌ファージ(ΦEC75_05)を用いたマウス腸内における殺菌効果を検証した結果、ΦEC75_05単独での除去は困難であることが確認された。C)腸内細菌叢のメタ16S解析を用いた細菌叢編集効果の評価:上記B)で行ったΦEC75_05を用いたpks+ E. coli #75に対する殺菌効果及び他の腸内細菌に与える影響を検証するために、マウスの腸内細菌叢に関する解析を行った。具体的には、16S rRNA遺伝子を標的とした次世代シークエンサーを用いたメタ16S解析を行い、腸内細菌叢の割合を解析した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、D)大腸がん起因大腸菌株のみを特異的に殺菌する非増殖性抗菌カプシドにおける殺菌効果の向上、E)マウス腸内における抗菌カプシドを用いた大腸がん起因大腸菌株の殺菌、F)大腸がん起因大腸菌株特異的抗菌カプシドによる腸内細菌叢編集の評価を行う。D)大腸がん起因大腸菌株のみを特異的に殺菌する非増殖性抗菌カプシドにおける殺菌効果の向上:これまでに作製した大腸がん起因大腸菌(pks+ E. coli)由来毒素をコードする遺伝子を標的とした抗菌カプシドにおける殺菌効果の向上を目指す。具体的には、標的とする大腸がん起因毒素遺伝子のスペーサー配列の最適化及び異なるスペーサー配列を有するCRISPR-Cas13aを搭載したM13ファージを基盤とした抗菌カプシドを組み合わせることによって殺菌効果の向上を試みる。E)マウス腸内における抗菌カプシドを用いた大腸がん起因大腸菌株の殺菌:テトラサイクリン耐性pks+ E. coli #75をマウス腸内に定着させたC57BL/6JJcl系統マウスを用いて、これまでに作製した抗菌カプシドのマウス腸内における殺菌効果を検証する。具体的には、マウス腸内におけるテトラサイクリン耐性pks+ E. coli #75の細菌数を指標として、抗菌カプシドの投与量及び投与回数の違いによる殺菌効果を検証する。F)大腸がん起因大腸菌株特異的抗菌カプシドによる腸内細菌叢編集の評価:上記E)で行う抗菌カプシドを用いたpks+ E. coli #75に対する殺菌効果及び他の腸内細菌に与える影響を検証するために、マウスの腸内細菌叢に関する解析を行う。具体的には、16S rRNA遺伝子を標的とした次世代シークエンサーを用いたメタ16S解析を行い、腸内細菌叢の割合を解析する。
|