Project/Area Number |
23K19506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0901:Oncology and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂口 仁美 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40979580)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 上皮性卵巣癌 / 脂肪酸 / 卵巣癌 / 脂質代謝 / LSR |
Outline of Research at the Start |
卵巣癌の原因の一つに脂質代謝がある。申請者らは、網羅的なタンパク解析により卵巣癌細胞の細胞膜に発現するリポタンパク受容体Lipolysis-stimulated lipoprotein receptor (LSR) を同定し、LSRが卵巣癌の脂質代謝に関係することを示したが、LSRのリガンドは未解明である。申請者らは、高脂肪食/通常食マウスの血清からメタボローム解析を用いて、腫瘍増殖促進因子・抑制因子となる脂質分子を同定した。本研究では、これらの因子が卵巣癌に与える効果やシグナル経路、代謝経路を含めた作用機序を解明し、これらの脂質分子と抗LSR抗体との併用での腫瘍抑制効果を確認する。
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Outline of Annual Research Achievements |
我々は先行実験で卵巣癌細胞の細胞膜に発現するリポタンパク受容体LSRを同定し、LSRが卵巣癌の脂質代謝に関係すると示したが、LSRのリガンドは未解明である。メタボローム解析を用いて、高脂肪食/通常食マウスの血清から腫瘍増殖促進因子(コレステロール(Chol)、オレイン酸、アラキドン酸(AA))と腫瘍増殖抑制因子(リノール酸、リノレン酸)を同定した。 本研究では、LSR陽性卵巣癌細胞株を用いて、上皮性卵巣癌の増殖促進/抑制に関する脂質分子の同定、脂質代謝機能の解明と臨床応用を目指している。 これまでの研究実施状況として、LSR陽性卵巣癌細胞株 (KURAMOCHI, RMG-I) に、1%FBS条件下で腫瘍増殖促進因子(Chol、オレイン酸、AA)をそれぞれ投与すると、いずれも有意に細胞増殖を促進し、以降より有意に増殖効果を認めたChol、AAに着目しシグナル経路/代謝経路を探索した。 Cholの投与ではAkt経路、AAの投与ではMAPK経路の活性化を確認し、またミトコンドリア内への脂肪酸輸送を担うCPT1Aの阻害薬を併用した場合、有意にそれぞれの脂質分子の増殖効果を抑制した。 In vivo実験では、LSR陽性卵巣癌細胞株をSCIDマウスに皮下移植し、腫瘍体積が100mm3程度の時点で、高Chol食/通常食を投与すると、通常食マウスと比して高Chol食マウスで有意に腫瘍増殖が促進された。一方でマウスへのAAの経口投与実験はこれまで報告がなく、飼料組成・投与の方法を検討中であるが、少数のマウスでの予備実験では、AAの経口投与での腫瘍増殖促進効果は認めた。一方、腫瘍増殖抑制因子(リノール酸、リノレン酸)は、1%FBS条件下でのリノール酸、リノレン酸の単独投与では増殖抑制効果が認めず、今後、腫瘍増殖促進効果因子との同時投与での腫瘍増殖促進作用を相殺する効果があるか実験する予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、網羅的タンパク解析で見出した卵巣癌細胞の細胞膜に発現するリポタンパク受容体LSR陽性の卵巣癌細胞株を用いて、上皮性卵巣癌の増殖促進/抑制に関係する脂質分子の同定と卵巣癌の脂質代謝機能の解明を行なっている。 In vitroの実験「① 増殖促進因子(コレステロール、オレイン酸、アラキドン酸) が活性化する卵巣癌細胞のシグナル経路/代謝経路を探索する」、「② 増殖抑制因子(リノール酸、α-リノレン酸) が卵巣癌細胞の増殖を抑制することを証明する」は、概ね順調に進展し、②では増殖抑制因子単独での抑制効果は認められなかったが、今後増殖促進因子と同時投与を行い、増殖促進作用が相殺されるか検討する。 CPT1A阻害薬、脂肪酸合成酵素阻害薬を用いた実験での脂質代謝経路の解析は、CPT1A阻害薬でのコレステロール、アラキドン酸の脂質分子の増殖効果を抑制したことからミトコンドリアを介した脂質代謝は関与すると考察するが、さらに脂肪酸合成酵素阻害薬を併用した場合の実験結果も併せ、脂質代謝経路や脂質分子の機能解明に繋げることを目指す。 In vivoの実験結果「③ 増殖促進因子(コレステロール、オレイン酸、アラキドン酸) 、増殖抑制因子(リノール酸、α-リノレン酸) と抗LSR抗体をマウスに投与し、腫瘍増殖の促進、抑制、阻害を評価する」も、概ね順調に進展しており、コレステロールについては、高コレステロール食での腫瘍増殖促進効果を認め、今後、抗LSR抗体併用での腫瘍増殖抑制効果の証明を予定している。In vitroでの腫瘍増殖抑制因子併用での増殖促進作用の相殺を確認できた場合、in vivoでも同様の効果を証明したい。アラキドン酸では前述したように、予備実験により経口投与での腫瘍増殖促進効果を確認したため、実験条件を概ね決定し、高コレステロール食を用いた実験と同様に進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、まずはin vivo実験では、コレステロール、アラキドン酸の増殖促進因子と脂肪酸合成酵素阻害薬を併用した場合の腫瘍増殖効果を検証する。また、増殖抑制因子との併用で、増殖効果が相殺されるかを積極的に検証する予定である。 In vivo実験では、まずアラキドン酸の腫瘍増殖促進効果を本実験で確認する。さらに、増殖促進因子と抗LSR抗体の併用、またin vitroでの実験結果をもとに増殖促進因子と増殖抑制因子の同時投与での腫瘍増殖促進効果の相殺を検証していく予定である。 これらの実験結果をもとに、腫瘍増殖因子、腫瘍抑制因子と卵巣癌の脂質代謝機能について考察し、さらに抗LSR抗体を用いた腫瘍増殖阻害効果により臨床応用を目指している。
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