Project/Area Number |
23K19521
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0901:Oncology and related fields
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
佐々木 恭 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00584971)
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Project Period (FY) |
2023-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 肝細胞癌 / 腫瘍免疫 / 解糖系阻害 / 乳酸 / 免疫チェックポイント / PD-1 / 酸性化 / 解糖系 |
Outline of Research at the Start |
本研究にて、ヒト肝癌組織における乳酸脱水素酵素(LDHA)と CD8+Tcell/Treg の PD-1 発現強度の関連性を明らかにし、基礎実験にてがん微小環境において肝癌細胞からの乳酸産生亢進により CD8+Tcell の PD-1 発現低下/Treg の PD-1 発現亢進を介して抗 PD-1 抗体抵抗性を示すことを明らかにする。それに対し、解糖系阻害剤 2-deoxy-D-glucose が肝癌細胞の乳酸産生を抑制し、CD8+Tcell の PD-1 発現亢進/Treg の PD-1 発現低下を介して ICI 応答性や抗腫瘍免疫活性を改善することを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
がん微小環境において腫瘍浸潤 effector Tcell(CD8+ Tcell)と制御性 Tcell(Treg)における PD-1の発現バランスは、乳酸により調節されていることが明らかにされた。すなわち、解糖系が亢進し乳酸濃度が高い癌では、CD8+ TcellのPD-1発現は低下し、逆にTregのPD-1発現が亢進することが明らかとなった。このような癌に対して免疫チェックポイント阻害剤(ICI:抗PD-1/PD-L1抗体)を投与すると、CD8+Tcellは活性化されない上に腫瘍免疫抑制細胞であるTregのみが活性化され、ICI抵抗性のみならず急速な腫瘍増大が生じることが危惧されている。そこで、乳酸産生を抑制する解糖系阻害剤:2deoxy-D-Glucose(2DG)をICI(抗PD-1/PD-L1抗体)に併用することにより、“乳酸を介したeffector Tcell/制御性Tcell のPD-1 発現調節機構”に対するモジュレーターとなり、結果としてICI治療抵抗性改善に有用か否かを明らかにすべく本研究に着手した。 現在までに、肝癌細胞(Huh7)からのグルコース依存性乳酸産生に対して、2DGを併用することにより乳酸産生が有意に抑制されることを明らかにした。さらに現在、2DG により乳酸産生を抑制させた肝癌細胞の培養上清が、ヒト末梢血から抽出された CD8+ Tcell/Treg の PD-1 発現に及ぼす影響について、FACS解析を行っている。 in vivo検討についても、肝癌皮下移植マウスモデルを作成し、その皮下腫瘍サンプルを採取し腫瘍解離キットにて腫瘍浸潤T細胞の分離に成功している。今後、本モデルを用いて、2DGが乳酸産生抑制を介して腫瘍浸潤T細胞のPD-1発現に及ぼす影響を検討する準備が整っている。 一方、ヒト肝細胞癌患者における“乳酸産生能に関連したLDHA発現強度“と“CD8+ Tcell の PD-1発現低下”/“Treg の PD-1発現亢進”との関連性については、組織サンプルの薄切が終了し、今後免疫染色を行い解析を行う準備が整っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitro検討において、ヒトPBMCから抽出したCD8+ Tcell/Treg(control)のviability および PD-1発現(FACS解析)が非常に低く、刺激方法や培養時間などこれらを調節する条件検討に時間を要したため、当初計画していた実験に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、in vitro検討において、2DG により乳酸産生を抑制させた肝癌細胞の培養上清が、ヒト末梢血から抽出された CD8+ Tcell/Treg の PD-1 発現に及ぼす影響について、FACS解析を進めていく。 in vivo検討についても、肝癌皮下移植マウスモデルの皮下腫瘍サンプルを採取し腫瘍解離キットにて腫瘍浸潤T細胞の分離を行い、2DGが乳酸産生抑制を介して腫瘍浸潤T細胞のPD-1発現に及ぼす影響の検討を進めていく。 一方で、ヒト肝細胞癌患者における“乳酸産生能に関連したLDHA発現強度“と“CD8+ Tcell の PD-1発現低下”/“Treg の PD-1発現亢進”との関連性についても、免疫染色を行い解析を進めていく。
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